見出し画像

絵に描いた餅でも、絵さえ描けないよりはマシか

先週、パッカーズ (Green Bay Packers) はリーグで最低のチームにさえ平然と負けたため、無事にリーグ最弱のチームとなったことがわかった。

開幕前には「もっとも選手の平均年齢が若いチームである(=だから身体が強い→したがってイケる!)」みたいなことを言っているやつもいたが、現実にはただ経験に乏しいだけで、(少なくとも全体としては)能力的にぜんぜんダメな集団が形成されるに終わった。
でもまあ、ファンは仕方ないので観る、カネを払う……何とは言わないが秋元某の顔が思い浮かぶね。

とまれ、明らかに今年は完全に終わった。したがって、ここからはドラフト指名権の最上位を目指して負け続けるのが当面の最適解になる。タンキング (tanking) の時間である。こうなると、開幕週はともかくとして奇跡のカムバックで挙がってしまった 2 勝目が痛い。

今週のスコアはこれだ。

無事に完敗。
試合前にはパッカーズの選手のほぼ全員が健康で出場できる、という報告が出て驚かされた(このような事態が前回いつ起きたのかはわからない)が、そんな影響を微塵も感じさせないド大差での決着となった。最後のほうはレッドゾーンでじたばたしていたようだが、結局なにもせずに終わったらしい。

とはいえ「負けろ負けろ」の声の中でも、ある程度は見どころを作ってもよいのではなかろうか。相撲とか競馬みたいな愚にもつかない見世物でも、当事者はいちおう頑張っているような顔をするのが普通だ。なんというか、あまりにも目標にむかって一直線で、さすがに品がなさすぎる。サカリのついた犬でももうちょっと回り道をすると思う。

オフェンスはドロップと反則を繰り返してあっという間に終わり、いつチャンネルを合わせてもだいたいミネソタ (Minnesota Vikings) がボールを持っている。モニタの前ではこれだけ漫画ばっかり読んでいるのだから、現地でこんなものを観るハメになったらどれだけ苦痛だろうか。現地のファンには悪いけれども、コタツと電話があって助かった。

ジョーンズ (Aaron LaRae JONES; #33) のドロップに始まり、走っているレシーバーの後ろに投げ、短く投げ、正しく投げても落とし、甘い読みで投げてインターセプション寸前になる(このプレイはこないだも見た気がする。DB が横からスライドしてくるのをラヴ (Jordan Alexander LOVE; #10) はあまり察知しない)。そして、珍しく正しく遂行されたときには誰かが反則をしている

セットするころにはプレイ・クロックの残り時間がほとんどなくなっていたり、サードダウンからまったく更新の見込みのないスクランブルを繰り返してしまうラヴもたいがいヒドいのではあるが、彼を取り巻く環境もそれに比肩するヒドさではある。余談ながら、ラヴは滑りこむ動作もどこかぎこちないので、このままだとそのうち頭をハードヒットされて死ぬと思う。試合に出なくなるのとどっちが先かは知らないが……。

前半終了直前までファーストダウンの更新すら行われなかった

この試合で個人的にもっともびっくりしたのは 2Q 2:36 のパスだ。
ラインの左側から 10 ヤードまっすぐ走って左に折れたダブズ (Romeo Izziyh DOUBS; #87) がターゲットで、投げられたボールをサイドラインぎわで捕って外に出るだけの――オープンになっていれば誰でもこなす――簡単な軽作業だ。みんなニコニコ、アットホームな職場です。
しかし、次のプレイが始まる前にミネソタがチャレンジ権を行使した。当初、何の判定に対するチャレンジか誰もわからず、祖父が妙な顔をして「捕ってるよな?」というから、僕も「さすがにこれを捕れないやつは NFL にはいないよ」と応じた。

ところが捕ってないのである。

審判もふくめた少なくない人間が「捕った」と思ったが、リプレイを見ると足をフィールドに残すのに一生懸命で、肝心のボールのほうが手の中でバブルしている。おまけに「ちくしょう!」というよけいな動きまでするものだから、おそらくミネソタも自信を持ってチャレンジした(判定は覆って「パス失敗」)。
おお、ロミオ、ロミオ……どこに投げたら君は捕れるのか?

もちろん、3Q の 8:08 でリード (Jayden Kevon REED; #11) が空中で捕ったボールをそのままメテラス (Joshua METELLUS; #44) に手渡したのもたまげた(記録はインターセプション)。比較的ちゃんとしたパスが飛んだこともふくめて、なかなか見る機会のないプレイだった。
いっぽう、その直後のプレイでパッカーズの CB1 であるジャイアー (Jaire Zakar ALEXANDER; #23) はすんなりと料理されて 21 点差になった。文字通り、あきれ返るほどに力の差を象徴する光景だった。さすがにここから先のことは知らない。

しかしまだ 10 週もあるのか。
例年なら「早いなぁ~」といっているころだが、今年は長いなぁ。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?