まぶたの裏にひかりを

 目がさめるといきなり部屋が明るい。いまは7月中旬の朝6時。まだ闇が恋しくて目を閉じたけれど、まぶたの裏を容赦なく光があかるく照らしてくる。

「もういい、あきらめた!」とベッドから転がるように落ちる、いや起きる。気持ちは勢いがあるけれど関節がうまく作動しないので転がる反動で起き上がることしかできない。

 もうちょっと闇の中で寝ていたいならカーテンを閉めてから寝ればいいとわかっているけれど、夜は暗いのでカーテンを閉めることをすっかり忘れてしまうのだ。

 そしてカーテンが開いているとほんの時折り、衝突防止のライトの軌跡を見ることができる。私はそのライトを見るのが本当に好きで、夜を思い出す時はいつも夜空とライトがセットになっている。もうこれだけでカーテンを開けて寝ても赦される。

 そして翌日もまぶたの裏に光を感じながら目がさめる。

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