ホロスコープレポートサンプル①

◆◆◆◆さんホロスコープレポート

～茨の下に広がる豊穣の闇を整理し、世界を母性的に破壊する～


　下の図は、◆◆◆◆さんが生まれたときの星の配置を記したジオセントリックという種類のホロスコープです。

　◆◆◆◆さんのホロスコープを眺めてみて印象的だったのは、

・バイアコンバスタでの満月とブラックムーンリリスの合
・双子座での火星と金星の合
・金星と火星のアウトオブバウンズ
・留の木星と太陽とハウメアのグランドトライン
・セレスと金星のパラレル
・ドラコニックの月とジオセントリックの木星の合
・冥王星とＭＣの合
・木星と恒星アルヘナ、ヴェガ、フェイシーズのパラン
・第 9 調波図魚座 14 度での太陽と木星の合と水星のトライン

です。今回はこれらに着目して読んでいこうと思います。

　ブラックムーンリリスとは、月の遠地点のことです。◆◆◆◆さんは遠地点にある満月の下産まれたということになります。まず、この月から読んでいこうと思います。

①月
　◆◆◆◆さんの月は、蠍座の８度、第 11 ハウス、赤緯は南緯 18 度にあります。まず、サビアンシンボルと赤緯のシャーマニックシンボルをみてみます。これは、天体が位置する度数ごとにあてられた元型のようなものです。


蠍座 8 度（サビアンシンボル蠍座 9 度）
「仕事中の歯医者」
～技術や才能をもって、過去の常識を治療する～

赤緯南緯 18 度（シャーマニックシンボル南緯 19 度）
「陶酔の道」
～蛇の体に入り、天空に伸びる大木の秘密の葉に至る～

　◆◆◆◆ さんの月は、「仕事中の歯医者」と「陶酔の道」のシンボルをまとって、理想や希望、コミュニティなどを管轄する第 11 ハウスにあります。シャーマニックシンボルの南緯 19 度は、クンダリーニと関わっています。この月は、次の項で詳しく読みますが、性の聖なるタブーと関連するブラックムーンリリスと合（だいたい同じ位置にあるという意味です）、さらに、同じく後の項で詳しく読みますが、金星火星とはセスキコードレイトという角度関係にあります。また、月にとって天秤座の後半（15 度）から蠍座の前半（15 度）にかけての領域はバイアコンバスタと呼ばれます。バイアコンバスタは、焼け焦げるような道、茨の道などと解釈されます。
　リリスはアダムの最初の妻でしたが、諍いを起こし荒野へと逃げました。秘教的な占星術を研究している高橋ともえさんはブラックムーンリリスについて、天国からの風が吹き込んでくる豊穣の闇であり、失楽園の記憶を刺激して、私たちにいつも遠く遥かな記憶をよみがえらせようとしてくれるものだと説明しています。焼け焦げる茨の道に輝く遠地点の満月。傷ついたリリスを照らしえぐり療しながら強く何かを志向していくようなイメージが浮かびます。また、◆◆◆◆さんが生まれた日、太陽に先駆けて「みなみのうお座」のフォーマルハウトという恒星が昇っています。生まれた日の太陽に先駆けて昇った星をヒライアカルライジングスターと呼びます。みなみのうお座は水瓶座の甕から流れる水を飲む魚です。ペルシアのロイヤルスターでもあり、南の見張り番とも呼ばれるこのフォーマルハウトをヒライアカルライジングスターに持つ人は、日常の中に魔法をみて遠大な夢を描きますが、その夢は人類全体の理想とつながっているといいます。◆◆◆◆ さんが豊穣の闇の中で志向することは、広く世界に還元されていくべきものだと思います。

②ブラックムーンリリス
　続いてブラックムーンリリスについてサビアンシンボルを確認します。◆◆◆◆さんのブラックムーンリリスは、蠍座の7度、第11ハウス、赤緯は月と同じ南緯 18 度にあります。

蠍座 7 度（サビアンシンボル蠍座 8 度）
「深海の潜水夫」
～自分の心の深層に広がる潜在意識の海に潜り冒険する～

　◆◆◆◆さんのブラックムーンリリスは、「深海の潜水夫」のシンボルをまとって、月と同じく第11ハウスにあります。何かを夢み求めて足下の茨を掘り、その下にある集合意識の海を探検していくようなイメージ。

③太陽
　続いて、ブラックムーンリリスと月の対岸にある太陽を読んでみます。
　◆◆◆◆さんの太陽は、牡牛座の 8 度、第 5 ハウス、赤緯は北緯 14 度にあります。

牡牛座 8 度（サビアンシンボル牡牛座 9 度）
「立派に飾られたクリスマスツリー」
～外は冬でも内では聖なる価値が強調され、周期的な再生を確信している～

赤緯北緯 14 度（シャーマニックシンボル北緯 15 度）
「逡巡」
～行く道が分かれていても、同じところに帰ってくる～

　◆◆◆◆さんの太陽は、「立派に飾られたクリスマスツリー」、「逡巡」のシンボルをまとって、楽しみや創造性などを象意する第 5 ハウスにあります。シンボルはどちらも安定感があります。この太陽は月＆リリスとはオポジション（対岸にあるという意味です。）さらに、木星＆太陽系外縁天体ハウメアとはグランドトライン（幸運の大三角）を描いています。
　例えば木星（ジュピター）や天王星（ウラノス）など、一般に有名な惑星には男神の名前がつけられたものが多いですが、ハウメアのように最近になって発見された準惑星や小惑星には、女神の名がつけられたものが多いです。女神たちが活躍する時代がやって来たことを示していると考えられます。

　聖なる大地の母ハウメアは、ハワイの創世神話「クムリポ」に登場する大地の女神パパや、最初の人間の女性ライライと同一の女神であるという説もあります。マカレイという豊かなものを引き寄せる魔法の杖のような棒を持っていて、この棒を木にあてると実がたわわに実り、海へ差し入れると魚を引き寄せ、さらにこの杖で若返りたくさんの子供を産んだという話があります。◆◆◆◆さんの安定感のある太陽は、木星やハウメアと調和的に、楽しみや豊かさを自家生産することで対岸にあるリリスと月を照らし支えているようです。ただし、グランドトラインには自己防衛が強く閉鎖的、という解釈もあります。その閉鎖性を突破して豊かさをさらに拡大するには、対岸にある月とリリスを活かすことが重要だと思います。
　◆◆◆◆さんの月とリリスは、ドラコニックという種類のホロスコープでは山羊座の７～８度にあり、ジオセントリックの木星と重なっています。ドラゴニックのホロスコープは、ジオセントリックのホロスコープにおける太陽の通り道（黄道）と月 の通り道（白道）の交点であるドラゴンヘッドと呼ばれるポイントを春分点（牡羊座 0 度）に合わせ、すべての惑星や感受点を距離感そのままに移動させて作るホロスコープです。ある程度年齢を重ねてから自覚されてくる、より潜在的な部分を表現しているともいわれてます。
　茨の道の豊穣の闇を掘っていった先で出会う、ドラゴニックの月と重なる木星に、自家生産した豊かさを他へ還元していくための秘密がありそうです。

④木星
　ですので次はキーとなりそうな木星を読んでみようと思います。
◆◆◆◆ さんの木星は山羊座の 8 度、第 1 ハウス、赤緯は南緯の 22 度にあります。

山羊座 8 度（サビアンシンボル山羊座 9 度）
「ハープを運ぶ天使」
～宇宙的なリズムに対する理解と同化～

赤緯南緯 22 度（シャーマニックシンボル南緯 23 度）
「黒い影に囲まれて眠る、白く発光する女性」
～無意識の海に眠っている人間全体としての創作力～

　◆◆◆◆さんの木星はドラコニックのダークムーンリリスと同じ山羊座の 8 度にあり、「ハープを運ぶ天使」、「眠る女性」のシンボルをまとって、個人の根幹を表す第 1 ハウスにあります。そして、留です。留とは、地球からみて天体が進む方向を変えるときに、一時的に止まってみえることをいいますが、留のときはその天体のエネルギーがダイレクトに、強くふりそそぐといわれます。この木星はハウメアとはトライン、そして準惑星のマケマケとセレスとはバイクィンタイルという角度で結ばれています。マケマケも留で、セレスと合。

イースター島の神話で、人間を創造したというマケマケ。

　2005 年に発見されたマケマケの解釈ついては、現時点で情報が極めて少ないため、ここでは名前を紹介するのみとさせていただきます。星はその名前や背景の神話を意識することでスイッチが入るともいわれています。教科書的な解釈を鵜呑みにせず、自由に想像して星座を描き、自分の神話と重ねていくことがこれからの占星術のあり方であり、星になるための道だと思われます。
　さて、母性愛を象徴するセレスは、火星と木星の軌道の間にある小惑星帯にある最大の星です。先に紹介した高橋ともえさんによれば、太陽系において小惑星帯は、木星などの一般に有名な惑星よりもより古い時代の名残を保持しているそうです。そのため、小惑星（セレスは準惑星に分類されますが）を読んでいくことでより微細で深い部分に触れることができます。また、この軌道にはかつて、マヤ歴にも登場する「マルデク」という惑星があったという説があります。マルデクは性的なエネルギーと関連しているそうですが、今では砕け散ってしまい、その名残の小惑星に様々な女神の名がついています。小惑星を知ることは、砕け散り忘れ去られ葬られた女神的な何かを復興していくことにつながるので、とても大切なものだ思われます。
　話を木星に戻します。◆◆◆◆さんの木星はマケマケ、セレスとバイクィンタイルで、ドラコニックの月＆リリスと合。シンボルと絡めて解釈すると、前述した自家生産の豊かさを活かすための、リリスの先にある、宇宙のリズムと同化した人間全体としてのクリエイティビティ、秘密に辿りつくためのヒントの一つは、セレスが象徴する母性愛にあるといえそうです。

⑤セレス
　ですので次は、セレスについて詳しく読もうと思います。

マルデクの名残、セレス。

　◆◆◆◆ さんのセレスは獅子座の 13 度、第 8 ハウス、赤緯は北緯 27 度にあります。

獅子座 13 度（サビアンシンボル獅子座 14 度）
「人間の魂が、表現のための機会を探している」
～生命力そのものを表現する～

赤緯北緯 27 度（シャーマニックシンボル北緯 28 度）
「生命の輪」
～旅の果て、黄金の炎の中へ入り一体となる～

　◆◆◆◆さんのセレスは、「人間の魂が、表現のための機会を探している」、「生命の輪」のシンボルをまとって、密室や他者との深い関わり、相続、死と再生を象意する第 8 ハウスにあります。北緯 28 度のシンボルは、◆◆◆◆さんの月とリリスが位置していた 19 度のクンダリーニのエネルギーと関連しており、その神秘的なエネルギーの使い手となることを示しています。獅子座にとっても自己表現は重要なキーワードです。◆◆◆◆さんの月とリリス、そしてグランドトラインの力を外へ解放するためのキーは、木星につづいてセレスが握っているようです。このセレスは、「傷ついたヒーラー」と呼ばれる小惑星カイロンとトライン。言語やコミュニケーションを司る水星ともトライン。そしてこの水星は、今生で挑戦すべき因果を示すドラゴンヘッドとクィンタイル。傷を癒しながら、茨の下の豊穣の闇を潜った果ての密室で眠っている生命力と母性愛を解き放ち表現するということ。また、このセレスは、金星とパラレル（赤緯的に同じ位置にある）です。眠っている生命力と母性愛を呼び覚まし表現するヒントは金星にもありそうです。ですので次は金星を読んでいきます。

⑥金星
　◆◆◆◆さんの金星は双子座 22 度、人間関係を象意する第 7 ハウス、赤緯はセレスと同じ北緯 27 度にあり、アウトオブバウンズです。夏至点冬至点の赤緯度数をこえたところにあるアウトオブバウンズの惑星は、太陽の影響域を超えてはっちゃけてしまえる熱量をもっています。同じくアウトオブバウンズの火星とも合であり、非常に存在感ある金星になっています。サビアンシンボルを確認します。

双子座 22 度（サビアンシンボル双子座 23 度）
「木の高いところの巣にいる３羽の雛鳥」
～情報の混乱した世界で、価値体系の再構築をはじめる～

　この金星は、前述したように月＆リリスとセスキコードレイトで火星と合、水星とはクィンタイルです。火星との合は、中性的で、男性性と一体になったヴィーナスというイメージも浮かびます。豊穣の闇を旅する中で出会ってきた無形の生命力や神秘的なエネルギーを、他者との具体的な関係の中で言語化して整理し、男性性も発揮しながら情熱的に表現していくことで、◆◆◆◆さんの中の眠れる女神は復活してくるのかもしれません。また、◆◆◆◆さんの冥王星は乙女座で MC と合です。この冥王星はドラゴンヘッドとはトラインです。無形のエネルギーを ◆◆◆◆さんなりに整理、再構築して表現することで、社会に影響を与えていくことができそうです。

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　ここで、冒頭で挙げた特徴の内まだ触れていない、

・木星と恒星アルヘナ、ヴェガ、フェイシーズのパラン
・第 9 調波図魚座 14 度での太陽と木星の合と水星のトライン
についてみていこうと思います。


　パランとは古代エジプトからある手法で、惑星を通じてその人に影響する恒星をみるときに使います。◆◆◆◆さんのパランの内目立っていたのが、木星とアルヘナ、ヴェガ、フェイシーズのパランです。今ある情報を提示させていただきます。

アルヘナ
　◆◆◆◆さんに影響している恒星の内、最もタイトにパランしてるのが、双子座の踵の位置にあるアルヘナです。古代のエジプトでは夏至、冬至、秋分、春分に太陽神が地上に触れるとき、踵を傷つけながら物質界に自らを結びつけると信じられていました。アルヘナがあらわすようになったのは不死の、あるいは神聖な存在の踵です。大いなる誇りをもって地上の茨に触れ、信念に従って進むことと関連しています。この星が木星とパランすると、
「世界を知的に探検したいという欲求」、「霊的な信念の中に洞察を求める」、といった解釈ができます。

ヴェガ
　こと座。凶暴な動物でさえ飼いならす音楽家オルフェウスの神話とのつながりで、神秘的な技能や異世界とのつながり、あるいは否定的な解釈では欺瞞を象徴します。この星が木星とパランすると、「壮大な計画にとりつかれている」「夢が現実を覆い隠す」などといった解釈になります。

フェイシーズ
　射手座の目の位置にあるのがフェイシーズです。キーワードは「凝視」。ターゲットを定め、目的を達成すべく信念を集中すること。射手座の持っている弓は狙ったものを必ず射とめる強力な兵器です。恒星の研究で有名なブレイディはフェイシーズのエネルギーについて、「恒星の世界の中でもっともハードで暴力的であり、偉大な指導者にも恐ろしい独裁者にもなりえる」と語っています。とてもパワフルな恒星のため、何に集中するかがとても重要になると言えそうです。この星が木星とパランすると、「強力であるが潜在的に不愉快な宗教的、または哲学的な意見」、「学んだり探究したりしたいという強迫的な願望」という解釈になります。

　ドラコニックのリリスと合の木星がアルヘナ、ヴェガ、フェイシーズとパラン。リリスの豊穣の闇は、清も濁も含んでいます。不愉快なもの、強迫的な感情や思考も含めてそのどろどろを再構築した上で何に狙いを定めて表現していくかが重要になってくるといえそうです。
　また、木星以外では、月とミラクのパランも印象的です。ミラクはアンドロメダ座の腰帯の位置にあり、受容性や審美的傾向を象意し、月とのパランは「平和への欲求」、「感傷的な感情」という解釈になります。混沌の中で何かに狙いを定めるとき、ミラクの光も頼りになるかもしれません。月とパランする恒星は前世とかかわりがあるという説もあります。

・第九調波図魚座 14 度での太陽と木星の合と水星のトライン
　第九調波図は、人生の最終目標を表すともいわれているホロスコープです。一般に、合となる天体を重視します。◆◆◆◆さんの第九調波図では、魚座の 14 度で太陽と木星が合で、水星とトライン。第九調波図は実際の星の配置を記したホロスコープではないので、赤緯は省略して、サビアンシンボルを読んでみようと思います。

魚座 14 度（サビアンシンボル魚座 15 度）
「本物の砲弾を使った砲火射撃での仮想攻撃の前に、将校が部下を指導している」
～大気のなかに隠れた霊的な世界での闘争や混乱に立ちむかわねばならない立場～

　魚座の 11 度から 15 度は、「シークレットな価値を持つ組織や団体に奉仕し、このなかで自分を作り替えていく」という象意を含んでおり、15 度には何らかの重要な技術を受け継ぐという解釈もあります。闘争や混乱を含む豊穣の闇を探検する中で、どんな組織と関わり、何を受け継ぎ、それをもって何をなすのか。◆◆◆◆さんの場合、太陽視点での星の配置を記したヘリオセントリックという種類のホロスコープにおいて、「地球」も、ジオセントリックの月と同じ蠍座の 8 度方向に位置しています。サビアンシンボルは

蠍座 8 度（サビアンシンボル蠍座 9 度）
「仕事中の歯医者」
～技術や才能をもって、過去の常識を治療する～

でした。知的冒険、混沌の中で何かを受け継ぎ整理し、神秘的表現をもって母性的に戦い癒していく人、という感じがします。冒頭に記したように、

～茨の下に広がる豊穣の闇を整理し、社会を母性的に破壊する～

というイメージです。

　この度は貴重なチャートを読ませていただきありがとうございました。◆◆◆◆さんをとりまくフィクションのひとつとして、楽しんでもらえたらうれしいです。