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どんな経験も、わたしをつくる。

”心がざわざわする” 大切な友人がそう言った。

彼女が大切にしているワンちゃんが入院して、だんだん元気になっていると信じたい自分と、覚悟をしなければと言い聞かせている自分で、落ち着かないのだと思う。

私も幼い頃からずっと動物と時間を共にしてきたから、そういう場面は幾度となく経験してきた。後悔のないように毎日愛情を注いでいても、私の心でつぶやく言葉は一緒だ。

”目の前にいるかけがえのない存在は何をしてほしいのか。話せるなら話してほしい。代わることができるなら代わってあげたい。生きたいのか、楽になりたいのか。延命治療は人間のエゴではなのか。ねえ、お願いだから教えてくれない?”

たくさんの感情が溢れ出し、複雑に絡み合ってしまうから、言葉で表現するのは難しい。でも心がざわざわするという彼女の言葉の温度は理解できる。

言葉の意味を100%理解できなくてもいい。それよりもその人の言葉の温度を感じて、心に寄り添えることが大切だと私は思う。

言葉の温度を感じるには、たくさんの人に出逢い、たくさん経験すること。こんなに幸せでいいのかと思える最高の経験から、この世から消えてしまいたいと思う最悪の経験まで。

経験上、私にはやらないと決めていることがある。それは自分が経験していないことに共感するということ。なぜなら相手と交わす言葉に温度差を感じてしまうから。

例えば、誰かがうつ病だとカミングアウトした時、うつ病になったことのない人が「それは大変だったね。今は大丈夫?」と共感しながらも質問する場面に遭遇することがある。そしてそういう場合は、「なぜうつ病になったのか?」など踏み込んだ質問を重ねていくことが多い。

私はうつ病を経験したことがないから、どういうものか分からない。経験していないことを理解するのは本当に難しい。未経験者の共感しようとする言葉たちが安っぽく感じられて、言葉に温度を伝えられない。それが嫌だから、そういう場面は終わらせるか、立ち去るようにしてる。

それよりも、”どういう人生を歩んできて、何を大切にして生きているのか、どんな感性を持っているのか” その人の本質を知りたい。そうすることで相手と交わす言葉たちの温度を上げていきたい。

こうして言葉を綴りながら過去を振り返ると、身も心もボロボロになった経験すべてが笑い話。どれも経験して良かったと心から思える。

今の”わたし”をつくっているのは、今に至るまでの経験たち。

その経験たちが私の人生を彩り豊かにしてくれて、他人の言葉の温度を感じられるようにしてくれた。でもまだ人生の半分も生きていない。私が知っていることなんて、この世界の1%未満。だからもっと世界を知っていきたい。

そして、これからも自分の人生に交わる人たちを大切にしたいし、心から大好きだと思える人たちとはずっと手を繋いでいたい。

人生、一度きり。10年後の”わたし”が、もっとキラキラしてると嬉しい。

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