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6つの美大・芸大の卒業制作展に行った記録

2021年1月から3月にかけて、6つの大学・9箇所の卒業制作展を見てきたので、備忘録も兼ねて感想を綴ります。デザイン系の学科を中心に見ています。時系列順に並んでいるので、大学の順番はごっちゃになっていますがあしからず。

背景

高校2年生、1月。何がきっかけか忘れましたが、卒業制作展に行こうと決めました。確か、家庭内で進路検討会を開催したのだと思います。

志望校はおろか、大学に行くかどうかすら考えていなかった私ですが、「判断材料はできるだけ集めておくのが良いだろう」という考えはありました。それと「卒展面白そう〜」という好奇心も。

思い立ったらすぐに行動する人間です。1月中旬に思いつく限りの美大・芸大の卒展開催情報を調べ、カレンダーに入れていきました。

多摩美術大学 統合デザイン学科

初めての卒業制作展。会場は上野毛キャンパス。統合デザイン学科は、統合的な課題解決ができるような、企画力やプロデュース力を養う学科です。

「統合」とあるだけあって、表現手法が多種多様な作品が見られました。空間をデザインしているものもあれば、キャラクターデザインや写真、イラストレーションやハードウェアのプロトタイプなど。平日で人もあまり多くなく、それぞれの作品を見ることに没頭できたのが良かったです。

東京芸術大学 美術学部

「芸術界の東大」と喩えられる「藝大」。会場は東京都美術館と上野キャンパスの2箇所です。

美術館の展示では順路がある程度決まっていたので、油絵や日本画など普段は立ち寄らない分野の作品も見られました。その中でも、人物を描いたもので幻想的な色や空気を感じられる作品があり、心に残っています。

デザイン科の展示は、コンセプトや作品に至った経緯が丁寧に解説されているという印象を受けました。無意識にそういった作品に注目しているだけかもしれませんが。説明を読むことで「どうしてこうなったんだろう?」という疑問が解消される感覚が好きです。

サービスデザイン的なものは少なく、多摩美術大学のプロダクトデザインや、武蔵野美術大学のデザイン情報のような作品が多かったと認識しています。

京都市立芸術大学 美術学部

2月13日〜14日は、京都まで足を運びました。本当は大阪芸術大学や京都精華大学なども見られたかもしれませんが、都合上2つの大学のみとなりました。

京都市立芸術大学では毎年「作品展」と称し、卒業制作だけでなく美術学部の1回生から4回生、さらに大学院美術研究科の1・2回生も含めた作品の展示を行っています。

主にデザイン科を中心に見て回りました。デザイン科では「デザイン科基礎」を共通で履修した後、ビジュアル・デザイン、プロダクト・デザイン、環境デザインの3つの専攻に進んでいきます。

興味のある情報デザイン分野ではなかったものの、見せ方や表現手法は参考になりました。

2回生の課題で、製品企画・パッケージデザインをするものがあったのですが、メインビジュアルがアナログで描かれていたのが記憶に残っています。デジタルではなくアナログな道具を用いることで、基礎力が養われるのでしょう。

京都芸術大学

こちらは市立ではなく、「学校法人 瓜生山学園 京都芸術大学」です。
他の卒展と比べて、学生がフレンドリーで人も多い展示でした。興味がある展示も多く、歩いていて飽きることがありませんでした。

他大学にはない、キャラクターデザイン学科の展示。ゲーム作品やイラストレーションなど幅広く、思っていた以上に自由に表現されていました。

プロダクトデザイン学科の展示は、制作の背景についての説明がわかりやすく、作品を身近に感じられました。

情報デザイン学科は、イラストレーション作品(イラストレーションコース)が多く、多摩美大の文化祭を連想しました。ビジュアルコミュニケーション デザインコースは、画面上のデザインというよりは立体造形も含めた表現が印象的です。

多摩美術大学 情報デザイン学科 情報デザインコース

横浜赤レンガ倉庫で展示されていました。

情報デザインコースでは、4年次でゼミに所属し、卒業制作を進めます。その中でも特にサービスデザインゼミの展示は見ていてわくわくしました。コンセプトのみにとどまらず、ビジネスモデルまで考えられていて、ユーザー体験も含めた設計がされています。ハードウェア・UIプロトタイプを組み合わせて作品が作り上げられていて、見ごたえがありました。

多摩美術大学 生産デザイン学科 プロダクトデザイン専攻

情報デザインコースの卒展会場の近くで開催されていたので立ち寄りました。他大学(女子美、京都芸大)のプロダクトデザインよりも、サイズの大きい作品が多いと感じました。「コト」より「モノ」のデザインに重きを置かれている印象です。

武蔵野美術大学

学内展示。デザイン情報学科の展示を中心にまわりました。生徒数が約7000人(2015年調べ)と格段に多く、興味のあった学科の展示でさえもすべて見ることができないほど、たくさんの作品がありました。

デザイン情報学科の展示では、体験の設計というよりも自己表現寄りの印象を受けました。どれもグラフィックが美しく、中でも映像や冊子、イラストレーションといった平面のものが印象に残っています。

女子美術大学

相模原キャンパス。デザイン・工芸学科プロダクトデザイン専攻の展示を主に見て回りました。

子ども・教育に関連したプロダクトが多いということが特徴的でした。また、立体のプロトタイプのみでなく、冊子やアプリケーションと組み合わせたキットになっているという作品もありました。今まで見たプロダクトデザイン系展示のなかでは、「サービスデザイン」と近い作品が多く、興味深い展示でした。

まとめ

今回、実際に作品に触れることで、より理解が深まりました。同じ名前の学科・専攻でも、大学によってそれぞれの色があるということを再認識しました。

現在(高校2年・3月)は第一志望を決め、総合型選抜に向けて準備を始めています。なんとか次のステップに進むことができてよかったです。

以上、卒展の記録でした。読んでくれた方、ありがとうございます。

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