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合同技術同人誌を2冊ほど作ってみた話

Yuki Mihashiです。2019年の9月と12月に複数人で技術同人誌を作ったので、きっかけから頒布後までの話を書いておこうと思います。

ちなみに私はまとめ役として、執筆以外の作業を主にやっていました。

作った本

感嘆本表紙

「カンタン!Scratchでできること」
https://yuki384.booth.pm/items/1728327
物理エンジン、自作言語、3D等々、だいぶぶっ飛んだ内容を詰め込んでいます。

ステップアップ表紙

「Scratchステップアップ本」
https://yuki384.booth.pm/items/1728085
「カンタン!Scratchでできること」よりも初級者向けの本です。ゲーム作品が多めで、身近な作品例で楽しめます。

2冊とも、「こんな事もできるんだ!」とビジュアルプログラミング言語の可能性を知ってもらうために、中高生らで企画・執筆した書籍です。

詳しくは以下のサイトから…!↓

Scratchとは?
「Scratch財団がマサチューセッツ工科大学メディアラボ ライフロングキンダーガーデングループ(MIT Media Lab Lifelong Kindergarten Group)と共同開発している、無料の教育プログラミング言語」というものです。

私にとってのはじめてのプログラミングだったと記憶していますが、とにかくこれが好きで、いろいろ作って遊んできました 🐱

https://scratch.mit.edu/

きっかけ 「申し込めば、 企画倒れしないよね?」

さて、なぜ本を書くことにしたのかという話です。
もともと、Scratchを4年ほど続けてきて、本という形でScratch Tipsなどをアウトプットしたいなーと考えていました。

そこでこのツイートをみて、ますます 「書きたい!」 という気持ちが強くなりました。

ちょうど同じ頃に、技術書典7という技術書の同人誌即売会の、サークル出展募集がありました。

締切や目標があると企画倒れしにくいという理由で、3ヶ月後の技術書典での頒布を目指し作ることに決めます。

特に深く考えず、申し込んでみました。

「やりたいなあ」「読みたいなあ」ではなく、「やります」になった瞬間です。

企画

一人で書いても良いのですが、いろんな方向性の作品をまとめたかったので、1冊目は4人、2冊目は5人の Scratcher に声をかけ、企画を進めていきました。

「Scratch でこんなこともできるんよ!」といった方向性の本を書くということは決まっていたので、一人一章ずつ好きにプロジェクトの解説をして、多様な内容を一冊の本にまとめることにしました。

1冊目は企画も複数人で練っていましたが、2冊目は私が企画を提案し、賛同いただけた方に執筆してもらう、というやり方に変わっています。

2冊とも、基本はテキストベースのチャットで打ち合わせを進めています。

執筆と編集

どちらも、入稿の締切と編集作業にかかる時間を計算して、原稿提出締切を設定しています。

1冊目で「締め切りどおりに原稿が上がってこない場合がある」ということを学んだので、2冊目は1冊目より早めに入稿できるよう、原稿締め切りを少々早く設定しました。

執筆者に書いてもらった原稿をチェックし、それぞれの修正や提案をし、承認してもらい、というサイクルを何回か繰り返した後、印刷所へ入稿するための作業へ移ります。

執筆以外の作業(校正等)は私一人が担当していたので、コンフリクトが起きることはなく、スムーズに進められました。

1冊目で、締め切りどおりに原稿が上がってこないのと、提案をしばらく見てもらえなかったときが辛かったです。

2冊目では事前に「締め切りまでに原稿を出しましょう」というお約束をしたことと、提案を見やすいプラットフォームに変更したことで解決しました。

デザインから印刷まで

ここは完全に私のみの作業です。分担するより一人のほうが楽だと考えたので、一人でちまちまやっていました。

見出しなどの見栄えはどうしてもCSSであれこれしたかったので、一度epubで書き出し後、PDFに変換し、最後にAdobe Acrobat で微調整をしました。

殆どの場合は、こんなに面倒なことをしなくとも、Re:VIEWのPDF書き出しで問題ないでしょう。

期間について
初めは訂正が必要な部分が出てきた場合に備えて、1週間半くらい見積もっていましたが、2回目は校正作業等を早めに何度もやっておくことで、この工程にかける時間は4日間ほどに縮まりました。

いちばん大切なことは入稿形式に沿っているかです。見出しのデザインなどにこだわる前に、入稿形式を確認するほうが重要でした。

全体の流れは以下のようになりました。

1. Markdown形式でもらう原稿をチェックする
2. 完成後、Re:VIEW形式に変換する (ここからGitHubで管理)
3. 文中の画像をPhotoshopで編集して、可読性をあげる
4. CSSで見出し等のデザインを作る
5. 出力したepubファイルをcalibreというソフトでpdfに変換する
6. Adobe Acrobatで微調整をする
7. 表紙をつけてページ数調整とサイズ調整をして入稿

印刷所は、多少高くても直接搬入ができるところが楽だと思います。

ちなみに、B5で96ページの本を200部刷るのに70000円ほどでした。

また、別でダウンロードカードというものも用意しました。これは裏面にPDFをダウンロードするためのURLとパスワードが記載されている名刺サイズのカードです。

頒布

さて、イベント当日は以下の部数と、ダウンロードカードを用意しました。

技術書典 (9/22)
・用意した数: 200部
・売れた数: 約88部

技術書博覧会 (12/14)
・用意した数: 既刊60部, 新刊80部
・売れた数: 既刊約20部, 新刊約18部

残りはそれぞれBOOTHで販売しました。

イベントへの搬入ですが、技術書典では提携印刷所を利用した直接会場へ搬入してもらえました。技術書博覧会ではぎりぎりで入稿できるかつ安い印刷所を選んだので、自力で搬入しましたが、140冊の本を運ぶのはとても辛かったです。

イベント後

イベント後はBOOTHで販売しました。1冊目の1刷は私の自宅から発送して、1冊目の2刷と2冊目はBOOTHの倉庫サービスを利用しました。

それぞれの特徴は以下のようにまとめられます。

倉庫サービスの利点・欠点
・梱包作業をしなくてよい
・お互い住所と本名を非公開でやり取りできる
・入荷に一ヶ月ほどかかる
・利用料がかかる
・送料が別途かかる(自宅発送より高め

自宅発送の利点・欠点
・送料が安くすむ
・封筒等は別途購入する
・購入者は住所を知らせる
・発送方法を自分で考える
・梱包と発送が手間

謝礼の支払い

お金に関しては、全て私が負担して、執筆者の方がリスクを負わないような仕組みにしました。なるべくやり取りの回数を少なくしたいという理由もあります。 

謝礼は入稿前あたりで予め決めておき、イベント直後に作業しました。

著者全員に書籍と謝礼金を、売り子さんには交通費を、それぞれ渡しました。

一つ考えておくことは、「どうやって支払うか」ということです。今回は著者が全員中高生だったので、KyashとLINE Pay、銀行口座振り込み、現金書留等々、それぞれが利用可能なサービスを使いました。(なぜかというと、親による制限がかかっている場合が多いからです)

まとめ

大変なこともあったりしましたが、楽しかったです!!!

友達と本を作れて本当によかったです。貴重な経験させてもらいました(´∀`*)

2冊目は締め切りに余裕を持つというのと、お金周りの扱いを決めておくという点を意識したことで、1冊目よりスムーズに進められました。

あと、複数人で本を書くときは、それぞれの分担を決める&共有することを意識してやると良さそうです 💭

複数人で同人誌を書こうとしている方にとって、少しでも参考になれば幸いです…!

著者の皆様、そしてここまで読んでいただいた皆様、ありがとうございました!

🐱きつねこ本公式サイト📕

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