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猿丸先生の俳句No.9

テレビ画面端に時刻や春愁

このテレビが何処なのか、何時であるかを読み手に委ねたことで、読み手の世界が無限に広がる。小さな景を詠んだかに思えるが、実は世界観の広い句である。
春に感じる愁いには特に理由や意味はない。
ニュース番組の画面の端に当たり前にある時刻はもうすぐ午後四時を指す。
夕飯の支度をする前のため息。
テレビ画面の端の時刻が午後四時になるまでの愁い。
詩情溢れるこの季語に究極のさりげなさを合わせている名句。

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