見出し画像

高橋ゆきの哲学

さて、例えばもし、私が日本の首相になったり、もっと大きな組織のトップになったとしたら――。私はまず最初にどんなことを決めたいだろう。たぶん、私が現在いる株式会社ベアーズのように、「情熱と覚悟で暑苦しいほど愛ある経営を」ということで、沢山の人に愛を注入する作業を行うだろう。

そしてもう一つ大事なことを。それは私の「No.2」になってくれる人を探すだろう。え、それって、なんでも自分の言うことを聞いてくれる忠実な部下のことかって?いいえ、それは違う。No.2は、自分の半身であり、一番信頼できる存在であること。それは必ずしも一人とは限らない。

例えば、あなたの一番仲の良い友達は?会社を見回してみて一番信頼できる人は?…それが私の考えるNo.2なのだ。決して役職や階級のことではない。ベアーズの話をしよう。当社では、夫であり代表取締役社長である高橋健志がNo.1。妻であり取締役副社長である、つまり私 高橋ゆきがNo.2だ。

私と夫の高橋の関係は、家族であり、会社を経営する表裏一体の関係性だ。明確に定めたわけじゃないけれど、社長が前面を、No.2の私が背後を守っているイメージ。新興のベンチャー企業ではありがちだが、外面ばかりピカピカに見せておいて、中身はボロボロっていうケースは珍しいことではない。ベアーズはそんな仲間入りはせず、私たちはNo.1とNo.2の役割を分けて互いにカバーし合ってここまでやってきた。

ベアーズの今日があるのは、No.2が頑張ってきた成果といっても過言ではない。こう言うと、それは何も私の自慢事の話ではないのだ。社内を見渡せば、いまでは沢山のスタッフたちが、ここベアーズという器に集ってきてもらい、ひとつの目標に向かって日々“幸動中”だ。そんな彼らは誰かがNo.1であり、誰かがNo.2なのだ。そしてすべてのNo.2が、誰かを支えて、押し上げている。実は互いが互いのNo.2だったりするわけだ。

これでお分かりいただけたであろうか。私が今からお話ししたいこと、それは組織におけるNo.2の重要性を説いた「No.2理論」だ。

歴史を見てみても、時代を動かす偉人たちの側には必ずNo.2がいた。例えば、大化の改新を進めた中大兄皇子における中臣鎌足。江戸幕府の勝海舟のNo.2だった坂本龍馬。Apple社のスティーブ・ジョブズの右腕、デザイナーであるジョナサン・アイブなど。実はNo.2こそが絶対的なキーマンであり、全ての組織や人間関係は、No.2によって天国にも地獄にもなると思っている。それほどNo.2という存在は大切なのだ。

私には、これまでの「高橋ゆき」を支えてくれたさまざまなNo.2がいた。例えば、初代アシスタントのとしちゃん、家事育児のパートナーだったスーザンなど――。私自身は凸凹の多い穴だらけの存在だ。そんな私だけれど、彼女たちNo.2がいてくれて、はじめて「高橋ゆき」はひとつの完全な球体になれる。No.2というのはそれほど大事な存在なのだ。

これからNo.2理論について、さまざまな角度から皆さんに伝えていきたい。それは組織の調和を整えるし、人間関係はより深いものに昇華していくもの。ビジネスだってきっとうまくいくと思うし、そして何よりもそこに「愛」が生まれるのだ。

私のNo.2理論を聞いてほしい。

このコラムは、欲を言えば全世界のあるゆる人たちに読んでもらいたいのだけれども、特に若い人に読んでもらいたいと思っている。若い人は新しい世界を体験したいし、その世界を知りたいと思っている。本当は会社の先輩や上司と飲みに行ったり、お茶したりしながら、そうした世界の成り立ちや仕組み、そして技術などを教えてもらうんだと思うけれど、いまはつながりたくても簡単に手をつなげる世界じゃなくなってしまった。

だからこそ、私のような人間が発信する知識を吸収してもらい、それが共感に変わって、そして新しい世界を共に築いていけたらと考えている。あとは行動していくかどうかだ。No.2理論を人生の羅針盤のように活用してもらいたい。

これからお話しする内容は、私とベアーズの半生を振り返りながら、多くの人たちと関わってきた経験から紡いできた「No.2理論」。それを伝えられたら最幸だ。皆さんとともに追っていこうと思う。すべてを読破してくれたあなたは、きっと「No.2」人材になろうとしたり、「No.2」人材が欲しくなってくるはず。だって、人は誰でも誰かのNo.2なのだから――。