青年海外協力隊③ 訓練所

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世の中そんな捨てたもんじゃないと思うYUKIです。

宗教の勧誘の方がいらっしゃったのですが、「この世はサタンに支配されている」「悪いことばかり起こっている」とおっしゃっていたので、「まぁそんな悪いことばっかじゃないよ」とも思う今日この頃です。コロナウイルスは人類にとってとても脅威だとは思いますが、それによって医療や科学技術が進歩したり、政治体制も見直されるわけで、人類にとって”壁”って必要だと思うんですよね。実際に罹患された方や亡くなられた方もいらっしゃるわけで、「ふざけんな!必要な犠牲だったとでも言うのか!?」と思われるかと思います。もちろん、そう思っているわけではなくて、どんな災害(今回も災害レベルだと認識しています)でも、被害にあわないよう努力し続けることが必要だと思うし、被害が出たとしても、尊い命が失われることはないようにすべきだと思います。あくまでも長い目でみたときにという話です。今はその場その場、その時々で全力で最適解を見出し、実行していくことが求められるでしょう。

それは子どもたちにとっても同じ。昔は”親父”がその役を担っていたとされていますが、今は時代の変化とともに、”壁”の在り方が変わってきていると思います。常に”生活”という”壁”にさらされているアフリカの子どもたちが暗い顔をしているかというと、そういうわけでもなく、どちらかと言えばハッピーな毎日です。小さな幸せに気づくことができるのも、また一つの幸せの真理のような気がします。

二本松訓練所

さて、前置きが長くなりましたが、今回は訓練所についてお話していこうと思います。上の写真は福島県二本松市の安達太良山の麓にある「岳温泉」です。正確には、その近くにある公園です。私が入った二本松訓練所は、その近くにあります。

JICAが保有する訓練所は主に2つで、南米や大洋州派遣がメインの長野県「駒ヶ根訓練所」と、アフリカ派遣がメインの福島県「二本松訓練所」。駒ヶ根訓練所は、高速道路ICの近くにあるらしく、よくSAに買い物に行ったりするそうです。

私は新卒ということもあり、”技術補完研修”を受けることになりました。他の隊員より1週間早く入所して、日本語で学校教育に関する知識や実技を学びました。担当する先生は、学校教育現場出身の方で、その後、JICAお抱えの講師になった方のようです。私が帰国してから、その枠に募集がかけられていたので、担当された方は引退されたのでしょうね(けっこう年配の方でしたから)。この技術補完研修は駒ヶ根訓練所に入る隊員も一緒に受けます。そこから長野まで移動ですから、大変だったと思います。

それから他の隊員が入所してきました。1週間先輩ということもあり、いろいろ案内することもありました。とはいえ、すぐに慣れるほど適応力のある方ばかりなのですが(笑)。訓練所では、派遣国も職種もバラバラのが形成され、それぞれに担当の職員がつきます。「担任の先生みたいなもんだよ」とその職員の方はおっしゃっていましたが、まさにそんな感じで、管理されているとかそういった感じはありませんでした。各班の班長(だいたい年配の方やしっかりものの人が担当)が班をまとめていました。班ごとに部屋(完全個室)が割り当てられ、廊下にみんなが集まるスペースがあるので、そこでミーティングをしたり、お茶したり、勉強したり、おり紙折ったりしてました。8畳ぐらいに、テーブルが一つある感じです。サザエさん家みたいな感じですね。

語学訓練

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午前中は語学訓練。その前に以下の行事があります。

朝礼 日ごとに別の国の国歌と国旗の掲揚があります。自国のときはテンションあがります。タンザニア国歌をそれまでにマスターしておこうと隊員間で話し合い、みんなが知らない言葉で歌うっていう優越感w

運動 ラジオ体操と散歩。ランニングするガチ勢と、テニスやキャッチボールをする遊び勢、朝日を見に行くオシャレ勢がいた気がします。みんな自由にやってますね。あとに語学訓練が控えているので、さすがに二度寝をする人はいませんでした。

朝食後に訓練開始です。

一番はじめにクラス分け面接があります。英語力のチェックですね。クラス分けはすぐに発表されたのですが、各クラス4,5人で、私は真ん中ぐらいのクラスでした。周りのTOEICの点数を聞いてみると、500~600ぐらいだったので、留学の成果がここで発揮されたという感じでしょうか。2か月で200も上がったら、たいしたもんでしょ?そうでもないですか?

語学クラスはとても楽しかったです!文法もちょろっとやりますが、どちらかと言えば、Conversation(会話表現)Presentation(プレゼン)がメインでした。ディベートもしたかな?ガチガチの感じでもなく、ユーモアあふれる感じです。日本の紹介や派遣される国と事業についてのプレゼンをしましたが、だいたいみんな笑いを取りにきます(笑)もちろん、英語でね。雪が降れば、休憩時間にみんなで雪合戦に行くぐらいのゆるさですね。課題も出たりするので、ゆるゆるというわけではないですが。。。Class Tripといった催しもあり、ネイティブの先生と一緒に街を散策し、英語を使いまくります。これもまた楽しい!

後半はまた別の教室に移動して、専門訓練です。

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今度は、職種ごとに専門の英語表現を学びます。といっても、講義ではなく、ガンガン授業やる訓練です。他の職種の人はプレゼンや説明会をやったと言ってました。エイズ対策の人はコンドームの普及活動という場面想定でやったとか。職種によって様々です。夕食後の自習時間は、主にこの準備におわれます。だいたい5,6本やったかな?事前に英語の指導案(Lesson Plan)を提出します。これも大変。でも略案でOK.

生徒役も質問とフィードバックを求められるので、そういった英語表現も必要になります。最後に担当の先生からのフィードバックです。授業の内容よりもそこで使う英語表現のフィードバックが主です。「授業はできてあたりまえ」のスタンスで進みます。授業中に先生が質問してきたりもするので、その準備もしておくことになります。

派遣前研修

訓練所で行われるのは、語学訓練だけでなく、研修も行われます。感染症予防とか、協力隊とは?とかですね。一般企業でもある初任者研修のようなものです。唯一違うのは、毎週水曜日に行われる予防接種。肝炎や狂犬病といった、普段しないような予防接種をここで行います。そのあとは特に何もなくなるので、語学訓練の予習や準備をまとめて行う人が多かったです。

このあと夕食になるのですが、日によっては、夕食後に研修を行うこともありました。いろいろな職種の隊員が集まっていますから、自主研修を行ったり、筋トレマニアたちが指導したり、「運動会しようぜ!」みたいなこともありました。ほとんどの企画に参加しましたが、どれも面白い!訓練所最後の自主研修は、理数科教師が研修をしました。「理数科教師って変な人ばっかりだよねなぁー」っていうイメージをもたれていたので、「本当に授業できるん?」とか言われた日にゃあ、やらんにゃいけんじゃろう!!実験したり、インド式計算法の授業をしたりしました。「面白かった!できる人の集まりやったんやねw」と言われたのはうれしかったですが、どんなイメージやってん。。。って話ですw

休日

基本、土日がOFFです。とはいえ、朝食の時間が決まっていますから朝起きますし、毎日の朝礼でルーティーンができあがっています。運動する人は毎日してました。外泊もできますし、何よりすぐ近くに岳温泉がありますから、よく行ってました。安達太良山にハイキングに行く人も。これも隊員で自由に企画してましたね。

華金は飲みに行きました。国で集まったり、職種で集まったり、同年代で集まったり、地域で集まったり。でもまぁ結局近くで飲んでるので、みんな集まっちゃうんですけどねw それもまたいい。門限が決まっていますから、22時までにはおひらきです。「小さい町だからあんま客入ってねぇし、俺らが使ってやらんとな!」ぐらいに思っていたのですが、浅はかでした。実は地元の方々が「世界に飛び立つ隊員のために、22時まで店は自由に使わせてあげよう」という配慮があったそうなのです。これを知ったときには、心打たれました。同時に、それだけのことをしてもらってるわけだから、頑張らないといかんなと強く責任をもつようになったのです。

最後に。。。

東日本大震災の直後ということもあり、被災地へのボランティアも募集していました。訓練の最終日に、出所を延期してもらって、何人かの隊員で陸前高田市へボランティアに行きました。まだ禁止区域に指定されている地域もある頃でしたから、現場はまぁ悲惨なものでした。むしろ、何もないというのが印象的でした。「ここには○○があったんだよ」と現地の方がお話してくれたのですが、信じられないものばかりでした。ボランティアの活動自体は、被災地に戻れないご家庭の草むしりという簡単なものでしたが、そんなことですら依頼しなければならない背景を知り、報道では伝えきれないのだろうと感じました。少しでも手助けになれたことを誇りに思います。

長くなりましたが、これから派遣される方、参加を考えている方の参考になれば幸いです。青年海外協力隊って、派遣前にこんなことやってるんだよ!っていうことを知っていただけただけでもうれしいです。

いよいよ次回、タンザニアへ出発です! ~タンザニア編 本赴任前に~ へ続きます。

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