公園でボクシングBOYと仲良くなった話。

こんな状況で新しく人と出会うなんて、オーラスで役満逆転、くらいないと思ってた。

数日前、近所の公園にランニングと軽いトレーニングをしに行った。割と広い公園で運動にしに来ている人も少なからずいた。僕はもちろん誰とも話す気もなかったし、黙々とトレーニングをしていた。

すると、小さい男の子が僕に話しかけてきた。
「お兄さんボクシングやってるの?」

おそらくアクションの練習で僕がシュッシュ言っているのをみていたのだ。人に見られる予定ではなかったから少し恥ずかしかったが、こんな状況で全くしらない子供に話しかけられた驚きと興味が織り混ざっていった。

念のためあまり近づかないようにしながらも、よくよく話を聞くと、彼は小学4年生でボクシングを習っているそうだ。小学生でボクシングとは珍しいと思いながら耳を傾けながら、トレーニングを続けていた。

いつも一人でやっている時は息も上がるしそこそこにきつい運動なのだが、彼の話を聞きながらだとあまり息が疲れが出ていないことに気づいた。

元メジャーリーガーのイチローさんがトレーニングのインタビューで、偶然人と話しながらあっという間で体の反応も悪くなかった、と言っていたのを思い出した。無意識に過去の情報の答え合わせをしてしまう。

いかんいかんと思い、再び彼の話をよくきいた。

学校でいじめられてはないが、特異な目で見られると。自分が一番強いからそんなやつは無視するんだ教えてくれた。

こちらから聞いてないのにこの話をしてきたということは、彼自身心に引っかかっているんだと思った。

ボクシングをやっていたり、他に出身や親のこともあり確かに人とは違う環境だろうなと。子供は非情で彼にそのまま伝わって、彼なりに折り合いをつけようとしているのを感じる。それでも、負に落ちない部分があるのが表情などから伝わってきた。

僕は基本聞き手に徹していたが、
「お前が一番強いなら、一番優しくなきゃだめだな」
と口から出ていた。後から振り返れば恥ずかしい気がしてきた。

子供は苦手だと思っていた。
小中学生の学習塾のアルバイトとしていたことがあった。小学生と中学生は接しやすさは天と地なのは何故だろう。中学生相手には僕の気難しさが出てしまうのだ。

コロナ禍の中で彼はたくましく見えた。
学校も休校になり友達とも会えていない。家では勉強しなければいけないし、自由に遊ぶこともできない。自分が小学生だったらどれほどストレスだろうか。きっと野球もできていなかっただろう。

それもあって見知らぬ僕に話しかけてきたのかも。
会話することはストレスの軽減に大事だと聞いたことはある。実際彼との会話の中にかすかに気持ち良さを感じていた。

あの公園に行けば彼に会えるだろうか。

彼のためではなく、自分のためにきっとまたあいに行ってしまうだろう。

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