<コロンビア大スポーツ経営学修士課での学び>【スポーツ裁判】 Bryan Stow vs LA Dodgers (2/2)
*本投稿記事は、過去別サイトに投稿したものをnoteに移管したものです。よって少し時系列が変になっている可能性があります事、お許しいただき度。
前回本裁判の全容を説明いたしましたが、今回はその裁判内容、並びに結果についてお話したいと思います。(第一回を見ていない人はこちらへ)
本裁判ですが、一番の焦点となったのは、Dodgers側に今回の暴行の責任があったかなかったかという点。
原告はDodgers球場における照明が不十分であること、並びにParkingのSecurityが不十分であるために本事件は起き、もしそれら問題がクリアされていたらこの事件は防げたとして、同球団に対して民事訴訟を起こしました。
まあ多くの読者の方はこの時点で、そもそも何故犯人二人でなく、Dodgersをしかも単独で訴訟するのか疑問に感じているかと思います。
これについては、決してStow家が認めた訳ではないですが、"Big Pocket Strategy”という米国の民事裁判でよくつかわれる手法を用いたと思われます。
Bryan Stow氏は完治不能な症状を今回の暴行で患ってしまい、日本みたいな国民保険が無い米国においては、莫大な医療費を今後払い続けざるを得無いことが見えていました。また、同氏は間違えても富裕層とは言えず、その為にこの医療費を払える見込みがありませんでした。つまり、このままいったら医療費を払えずに死んでしまうと。
それなら、上記医療費の出どころとして可能性のある処を訴え、その金額を取ろうとの考えの下、Dodgersに対する訴訟を起こしたと思われます。(何せ、要求額がUSD 50Millionですから。。。そうそう払える人はいません)
裁判では、Stow側は訴訟時の通り、照明が暗いこと、また当日のSecurityに不備が多く、Security Guardの中には開幕戦当日になっても具体的にどの様な業務をすべきかわからないものもいたとの証言等を訴えました。
一方のDodgersは、当日のSecurity Budgetは歴代で最高額であり、歴史的に斯様な事件が無かったことや、Securityに割いた金額等から球団側の責任はなく、犯人二人のみが罰せられるべきと訴えました。さらには、Stow氏が試合前から友人と大量のお酒を飲酒しており、また試合中も飲酒を継続し、試合中・試合後ともにDodger StadiumにいるDodgersのファンに対し同チームを侮辱する暴言を継続して吐いた事から、Stow氏本人の責任も追及しました。
さて、そんな裁判ですが結果として、陪審員12人の内9名がDodgersを有罪とし、結果USD 15Millionものお金が同球団からStow氏に払われることになりました。。。
この裁判結果については様々な見解がありますが、個人的にはこの結果になったのは米国の陪審員制度の問題が根深いと思っています。
民事裁判であるにもかかわらず、カルフォルニア州法では原告が”陪審員裁判”にするか、日本でも良くみられる裁判官が判定を下す”ベンチ裁判”にするか選ぶことができます。
今回原告は陪審員裁判を選定し、彼らにBryan Stow氏の追った痛々しい傷、また彼は莫大な医療費なしでは生きられないことを訴えることで、陪審員の感情を動かしたと思われます。
陪審員はあくまで一般市民から選ばれた人々で、裁判や法律のプロでないため、こういった場面で法律に基づいた判断は下せなかったのではないでしょうか。
個人的にも本裁判については、Dodgersに責任はないのではと思う一方で、同球団からお金を取れなかったらStow氏は亡くなると考えると、Dodgersには悪いものの、Deep Pocketの彼らからお金が払われたことは少しほっとします。
裁判ってこういった感情が絡むと複雑ですね。。。
さて、その後のStow氏ですが、相変わらず両親に付き添われて生活している様ですが、元気にいまでも大好きなSF Giantsを応援しているみたいです!
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