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私が旅をする理由

私が旅をする理由は、旅先で出会う新たな価値観、感性を感じることが自分の世界観を広げてくれるからだ。

見知らぬ土地、初めて見る景色、初めて接する人、初めて食べるもの、街のにおいや空気感、時間の流れや人との距離感など、自分の生活圏を出ることで今まで自分の中になかった感覚、情報、感情、感性が呼びおこされる。

旅先の食事で新しい自分との出会い

旅先での食事はとても重要だ。

食事が美味しいと感じなければ、訪れたその土地の印象まで下がってしまいかねない。旅の最大の目的は食事、といっても過言ではないだろう。

旅行をする人の約65%が「美味しいものを求めて」旅行をしている。多くの人が「美味しいもの食べるため」に旅行をし、これは数年前から変わらない旅行の目的のようだ。(出典:公益財団法人日本交通公社 観光地域研究部「JTBF旅行実態調査」)

私も旅先での楽しみのひとつに「食事」を重要視している。
話題の料理は食べてみたいし、美味しい食事を楽しみたい。ただ、私は旅先での食事は美味しいものを食べるだけでなく、新たな自分にも出会えるチャンスだとも思う。

私は子供の頃から「茄子」がどうしても苦手だった。
ふにゃっとした食感だったり、うま味を感じられず、茄子料理は避けてきた。しかし、ワーキングホリデーでカナダに滞在していたとき、*ビーガン料理レストランで食べた茄子の炒め物が想像以上に美味しく、それ以来帰国後も茄子料理が食べられるようになった。

*ビーガンとは:動物に苦みを与えることへの嫌悪から、動物の肉(鳥肉・魚肉・その他の魚介類)と卵・乳製品を食べず、また動物製品(皮製品・シルク・ウール・羊毛油・ゼラチンなど)を身につけたりしない人たちのことを言います。

(出典:日本ベジタリアン教会)

苦手なものでも旅のマジックがかかるのか、新しい土地では「ちょっと食べてみよう」という気持ちにもさせてくれる。食べてみると意外にも美味しく感じられ「なんだ、食べられるじゃん、私」「ただの食わず嫌いだったのかも」と、避けてきた食べ物も美味しいと感じる自分に出会うことができた。

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さらに、「ビーガン料理」というのは日本ではなかなか馴染みがない。ベジタリアン、ビーガン、という思想の人々が多い海外、特に欧米では「ベジタリアン料理」「ビーガン料理」に出会う機会も多い。日本では「ベジタリアン料理」「ビーガン料理」を食べたことがなかった私も、新たな食文化に触れることができた。そして、「ベジタリアン料理」「ビーガン料理」ってなんだか味気なさそう、、という先入観もなくなった。

私が訪れた、カナダのトロントにある「Grasshopper Restaurant」というベジタリアン料理、ビーガン料理レストランでは、メニューが豊富で野菜だけでなく、ベジタリアンやビーガンの方向けのハンバーガーやナゲットも提供している。残念ながら現在は閉店しているようだが、海外へ旅に出た際にはこのように日本では馴染みがない食文化に触れることができるのも旅の魅力のひとつである。

自然の景色で感性が磨かれる

私が旅をする目的には自然に触れること、というのも重要なポイントだ。

日々仕事に追われていると、毎日家とオフィスの往復、人と車が行き交う道を忙しなく進み、メールやSNSなどデジタルにあふれた日常が当たり前になる。しかしそんな日常から離れ、海や川のそば、木々や花の中を歩いたり、日の出や夕焼けをぼんやりと眺めることで忙しない生活から解き放たれる。

私は旅先でよくビーチに出向く。沖縄出身のため海は生活に馴染んでおり、身近なものだけれど、旅先でもなぜか海に引き寄せられる。

少々マニアックな旅行先かもしれないが、ベトナムの離島にあるビーチがとても心に残っている。

ベトナム最大の都市、ホーチミンから飛行機で1時間ほどの距離に位置するフーコック島。まだ広くは知られていないが、ベトナムのリゾート地として注目されている島だ。島ならではのゆったりとした空気感やまだ都市開発がされていない自然なままの風景がとても魅力的。歴史的にみるとベトナム戦争の悲しい歴史がありますが、島の半分が国立公園として保護されているほど、自然豊かな場所である。

日々の忙しさから離れ、このような自然の中で過ごすことは、我々人間も自然の中の一部であること、自然とともに生活していることを改めて実感する。空や海、街並みをみて、その土地の風を感じ、美しいものを美しいと思える心を保つことができる。「綺麗だな」「気持ちいいな」「静かだな」そういった忙しい日常では忘れがちな感情を呼びおこしてくれる。

訪れたあるビーチで感動した出来事がある。

フーコック島のビーチは海も透き通っており綺麗だが、砂浜もとても綺麗だ。砂浜を歩くとなんと、「キュッキュッ」と音がする。砂浜を歩いて「キュッキュッ」と音がするようなビーチは歩いたことがない。たまたま歩いたビーチでそんな体験をし、とても感動したことを覚えている。あとで調べてみるとそのような砂を「鳴き砂」というらしい。

一口にビーチと言ってもそれぞれにそれぞれの風景があり、それぞれの美しさがある。だからどれだけビーチを訪れても、新たな旅先でまた海を眺めに出かけるのだろう。

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人との出会いは貴重な財産

旅先での人との出会いはとてもとても貴重な経験であり、自分の財産である。地元にいては出会えなかったでろう、日本にいたら出会えなかったであろう、見知らぬ土地での人との出会いは、自分の価値観に大きく影響を与える。

上記で述べたカナダでの滞在中、カナダ大陸の東側に位置するトロントから、大陸の西側に位置するバンクーバーまで、鉄道に乗って何日もかけてひとり旅をしたことがある。その列車内で出会ったひとりのカナダ人中年男性。なにかをきっかけに簡単な会話をしただけだが、私がひとりで大陸横断の旅をしていることを知るととても感銘を受けた様子。列車を降りた後、街に出るためタクシーを待っていると、なんとそのタクシー代を払わせてくれ、とタクシー代を渡してくれた。たまたま道中でであった見知らぬ人にそこまでするだろうか。

私も会話をする中でその男性にとても感銘を受けている。
自分の会社を経営しながら、さらに自分の学びのため大学に通っているというのだ。普段はオンライン上で学んでいるがその時は年に数回の通学のため鉄道を利用しているとのことだった。自分のビジネスをしながら、それだけに満足せず学びたいと思うことを大人になっても学び続ける。単純に「すごいな」と思ったと同時に、自分の人生を豊かにするために好奇心を持って学び続けること、大人になってもその気持ちを忘れずにいることにとても感動した。

旅の終盤、いつかタクシー代のお礼がしたい、連絡先を聞いておくべきだった、と後悔した。その時のほんの何十分かの交流だったけれど、とても心に残っていて、本当に素敵な大人に出会ったと自分の中の大きな財産となっている。

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"Be kind to a stranger" 「見知らぬ人に親切に」

その男性が言っていた言葉だ。

もちろん、すべての人が良い人たちばかりではない。危機管理をしっかりすることも旅には必要なこと。自分の身は自分で守る。これも旅をする中で学んだ大事なことだが、そのときその土地でしか出会えない人との出会い、というのも旅では大事にしていきたい。その男性との出会いは、ひとりの人としての在り方や優しさ、理想の大人像みたいなものを感じた経験だった。

また、もう一つ上記で述べたベトナムでの滞在時も、色んな人に出会った。特にベトナムはなかなか英語も通じないところも多い。それでも一生懸命、身振り手振りと笑顔で歓迎してくれたり、道が分らないときも親切に連れ行ってくれたりと、とても優しい人たちが多かった。

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知っている土地に再度訪れることもあれば、全くの見知らぬ土地を旅することもあるだろう。そんなときはどうしても現地の方の助けが必要な時もある。そこで勇気を出して知らない人に話しかけたり、助けを求めると、思った以上に人の優しさに触れられる。軽くあしらわれたりすることもあるかもしれない。だが、だからこそ知らない土地で人の優しさに触れることはいつも以上に温かく感じる。そして自分が逆の立場になったとき、旅行者が困っていたら「知らない他人」だからと無関心でいるのではなく、手を差し伸べられるような人でありたい。

旅は人を育てる

旅は人を色んな面で成長させてくれる。新たな土地、景色、食べもの、人との出会い、そのすべてがその人を作り上げる要素となる。もちろん、良いことだけではない。旅をする中で気を付けなければいけないこともあるため、自分の危機管理能力も鍛えられる。良い経験、良くなかった経験、旅先での経験はすべて自分の財産だ。

自分の生活圏を出てみることで見える世界も変わってくる。
自分のアンテナにひっかかる要素が増え、日頃のニュースでも入ってくる情報が変わってくる。それは旅をすることで自分の視野が広がった、価値観が広がったんだと思う。あのとき訪れたあの場所は大丈夫かな?あの方は元気かな?など旅での経験が自分の世界観を広げてくれる。

旅は日常生活では得られない学びがたくさん。だから私は旅をする。旅をすることで新しい景色、新しい価値観に触れて自分の感性を磨き、それを充実した日々の生活に生かしていきたい。

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