母が犬を拾う話

ウチの家族は私以外の全員が生き物を拾ってくる。買ってくる場合ももちろんあるのだが、母は、庭に「落ちていた」20kgほどの大型の老犬犬に毎日水をやっているうちにいつの間にか「拾っていた」。
「家に入る?」
と聞くとついてきたという。届出も出したが、連絡もないため、買うことになった。
「懐いたよ」
と母はいうけれど、頭を撫でようとすると唸って歯をむいていた。しかしながら、大型犬なので、テーブルの食事にも届くものの、決して食べようとすることはなかった。おそらく頭を叩かれて躾られたのかと思う。グルグル唸る大型犬を抱き抱えて、
「この子、唸って歯を剥くんだけど、噛まないの。ぼーっとしてる時に不意打ちで【⠀お手!】というとうっかりお手した後に(しまった!)って顔するの。面白い子でしょ。」
と笑っていた。その間も犬はめちゃくちゃ唸っていた。
その後その老犬を看取り、さらに大きな大型犬を「拾って」いた。その犬は気立てが良い犬だったが、先天性の病があったようでまた数年後旅立った。
その後、犬は拾っていないが、最近はずっとルンバに話しかけている。

一種の才能だな、と母のことを見ている。

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