佐野由香里

短歌・エッセイを書いています。

佐野由香里

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記事一覧

術後1年

今日で、子宮頸がんの手術から1年が経った。 入院した日から、なぜか発熱していた。精神的に不安定だったからだろうか。手術当日も微熱があったが、なんとか手術室に入れ…

佐野由香里
1か月前
6

入院から1年

1年前に入院した。初めての入院だった。検査から子宮頸がんのステージ1だろうということだったが、自分がどうなるのかわからなくて、悲しくて、怖かった。 入院したのは…

佐野由香里
1か月前
2

雨の日のフードデリバリー

雨が嫌いだ。 いつからか濡れるのが嫌で、雨の日は可能なら外出しないようにしている。 昨日の朝から雨が降っていた。 天気予報は外れた。 買い物に行こうと思っていたの…

佐野由香里
1か月前
4

春休み 人影のない 校庭に 子ども達待つ きれいな桜

佐野由香里
1か月前
2

エイプリルフール

今日は4月1日、エイプリルフール。 Xでは、各企業アカウントがここぞと嘘をつぶやいてる。 いつからなんか、毎年恒例みたい。 例えば、プッチンプリンのカラメルの部分…

佐野由香里
1か月前
1

飛行機のデッドライン

飛行機に乗り遅れた。まさか、まさかだった。 空港に着いたとき、離陸まで1時間を切っていたと思う。ラウンジでドリンクを1杯飲んで、お手洗いを済ませ、ちょうどお昼前…

佐野由香里
2か月前
1

がんになった、わたし

もうすぐ、がんが見つかって1年になる。わたしの人生で大きな出来事だった。それを記録しておきたい。 子宮筋腫があったので、毎年子宮頸がん検診は受けていた。県外に引…

佐野由香里
3か月前
3

働くということ

しばらく働いていない。いわゆる無職、主婦というやつだ。無職といっても、主婦の家事労働は果てしなく、休みがない。一人暮らしの場合とは異なる。自分以外の家族の生活の…

佐野由香里
3か月前
11

妊娠した夢

妊娠した夢を見た。ずっと子どもが欲しかったのだ。不妊治療もした。でも授からなかった。嬉しくて、嬉しくて。 よく考えたら、手術で卵巣と子宮を摘出していた。妊娠する…

佐野由香里
4か月前
4

走るということ

術後、熱心に走っている。大会にエントリーしたからということもあるが、術前より熱心になった。 疲れない程度なら走ることは体にいいと思うし、何より、今さらながら走る…

佐野由香里
5か月前
7

マラソン大会に戻ってきた

術後、初めてマラソン大会に出た。 楽しみながら走ることを目的とし、記録計測は行わないファンランの部5.6km。 友人とメイドの仮装をして駅伝大会に出たときの、青いウィ…

佐野由香里
6か月前
6

「ありがとう」と言いながら走る

 大きな地震があった地の復興マラソンの応援に行ってきた。津波で流され復興した地域を走るという。  わたしは、ただ沿道に立っていた。他の応援の人は拍手をしたり、ラ…

佐野由香里
6か月前
4

離れていても

 がんになって手術するとわかったとき、何人かの友人にしか知らせなかった。  手術前に会えた友人は、元気になったときに飲んでと、わたしの好きなお酒をプレゼントして…

佐野由香里
7か月前
5

手術室まで歩く

今年、全身麻酔の手術を初めて受けた。 両親も病気で何度も手術しているし、ドラマや映画でも手術のシーンを観たことがあるから、なんとなく、どういうものかはわかってい…

佐野由香里
7か月前
2

花のある生活

先日、花育体験教室に行ってきました。 自分で花を5本、葉っぱを2本選んで、花屋さんがブーケにしてくれます。 見たこともないような花もたくさんあって、好きな物ばっか…

佐野由香里
7か月前
3

久しぶりの映画館

『バカ塗りの娘』という映画を観に行った。 コロナ禍になってから映画を観に行ったのは初めてだ。 映画が大好きで、以前はサービスデイにはよく映画を観に行っていた。 家…

佐野由香里
8か月前
3
術後1年

術後1年

今日で、子宮頸がんの手術から1年が経った。

入院した日から、なぜか発熱していた。精神的に不安定だったからだろうか。手術当日も微熱があったが、なんとか手術室に入れた。

コロナ禍だったので、1人で手術を受けた。怖くて、心細かった。

大部屋に戻ったときに、全身麻酔から意識も戻った。なんとか生還した。もしかしたら、という覚悟はしていた。
麻酔のせいで気分が悪かった。訴えてもどうすることもできないよう

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入院から1年

入院から1年

1年前に入院した。初めての入院だった。検査から子宮頸がんのステージ1だろうということだったが、自分がどうなるのかわからなくて、悲しくて、怖かった。
入院したのは大学病院で、何人もの医師が1つのチームとなっていた。内診と超音波の入院診察があった。Youtubeでいろいろ調べていたので、どういう検査をするのか知っていた。痛いという人もいて、びびっていたが、わたしは特に痛みは感じなかった。でも婦人科の診

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雨の日のフードデリバリー

雨の日のフードデリバリー

雨が嫌いだ。
いつからか濡れるのが嫌で、雨の日は可能なら外出しないようにしている。

昨日の朝から雨が降っていた。
天気予報は外れた。
買い物に行こうと思っていたので、冷蔵庫は空だ。
久しぶりにフードデリバリーのアプリを開くと、キャンペーン中だった。
なんと買いに行くよりお得だったので、頼むことにした。
家にいながらにして温かい料理が届く。
置き配にしたので、配達員とも顔を合わせる必要がない。

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エイプリルフール

エイプリルフール

今日は4月1日、エイプリルフール。
Xでは、各企業アカウントがここぞと嘘をつぶやいてる。
いつからなんか、毎年恒例みたい。
例えば、プッチンプリンのカラメルの部分だけ発売するとか、うまい棒の眼鏡を発売するとか、クーリッシュの香水を発売するとか…。
「#エイプリルフール」で検索してみて。
1年に1度の渾身の嘘、笑お!

飛行機のデッドライン

飛行機のデッドライン

飛行機に乗り遅れた。まさか、まさかだった。
空港に着いたとき、離陸まで1時間を切っていたと思う。ラウンジでドリンクを1杯飲んで、お手洗いを済ませ、ちょうどお昼前だったのでランチを食べておこうと思った。注文した時点で、保安検査場の締め切り時間が迫っていた。このとき、もしかして厳しいかなと思った。急いで掻き込んで、お会計。前の人がレジの人と談笑していた。やっと番が回ってきて、クレジットカードを早く差し

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がんになった、わたし

がんになった、わたし

もうすぐ、がんが見つかって1年になる。わたしの人生で大きな出来事だった。それを記録しておきたい。

子宮筋腫があったので、毎年子宮頸がん検診は受けていた。県外に引越しをして、例年より3ヶ月遅く、初めての病院で検査を受けた。
しばらくして病院から電話があった。異常がある人に電話しているが、電話では詳しく話せないと言う。検査が他の病院では感じたことがないくらい痛くて、2度と行きたくないと思って診察券を

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働くということ

働くということ

しばらく働いていない。いわゆる無職、主婦というやつだ。無職といっても、主婦の家事労働は果てしなく、休みがない。一人暮らしの場合とは異なる。自分以外の家族の生活のために働いているのだ。評価されないし、感謝もされない。掃除、洗濯、料理。家族が快適に生活できるように家事をしている。お金に換算したら相当な労働だ。
ちょうどコロナ禍が始まる前に離職し、コロナが明け(たのだろうか?)、久しぶりに働いてみようと

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妊娠した夢

妊娠した夢

妊娠した夢を見た。ずっと子どもが欲しかったのだ。不妊治療もした。でも授からなかった。嬉しくて、嬉しくて。

よく考えたら、手術で卵巣と子宮を摘出していた。妊娠するわけがない。
 
目が覚めた。夢だった。なんだ。
 
 

走るということ

走るということ

術後、熱心に走っている。大会にエントリーしたからということもあるが、術前より熱心になった。
疲れない程度なら走ることは体にいいと思うし、何より、今さらながら走ることが好きだったことを知った。
走り始めたのは十数年前にランニングブームが始まった頃、ほとんど走ったこともないのに近所のランニングサークルに入会した。
そこで人生が変わった。
年齢も職業も違う人たち。
毎週末の朝、集まって10キロぐらいを走

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マラソン大会に戻ってきた

マラソン大会に戻ってきた

術後、初めてマラソン大会に出た。
楽しみながら走ることを目的とし、記録計測は行わないファンランの部5.6km。
友人とメイドの仮装をして駅伝大会に出たときの、青いウィッグをかぶって出走。
沿道の応援に感謝しながら走ると決めていた。
「ありがとう」手を振る。
タイムを気にしないで、沿道に寄っていく。

折り返し。
もう終わってしまう。 
わたし、まだまだ走れるよ。
こんなに元気になったよ。

ゴール

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「ありがとう」と言いながら走る

「ありがとう」と言いながら走る

 大きな地震があった地の復興マラソンの応援に行ってきた。津波で流され復興した地域を走るという。
 わたしは、ただ沿道に立っていた。他の応援の人は拍手をしたり、ランナーに「がんばれ」とか声をかけていた。ランナーは「ありがとう」と言いながら走ってくる人が圧倒的に多い。他の大会とは違うように思った。ずっとランナーにお礼を言われていたら、なぜか涙が出てきて、わたしはランナーに手を振っていた。目が合って頷く

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離れていても

離れていても

 がんになって手術するとわかったとき、何人かの友人にしか知らせなかった。

 手術前に会えた友人は、元気になったときに飲んでと、わたしの好きなお酒をプレゼントしてくれた。

 手術前に、神社に祈祷に行ってくれた友人もいた。退院してから、その友人から退院祝いのお花が届いた。よくがんばりましたね、というメッセージカードが添えられていた。そのお花の写真を撮って、がんで手術したことをSNSに投稿した。

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手術室まで歩く

手術室まで歩く

今年、全身麻酔の手術を初めて受けた。
両親も病気で何度も手術しているし、ドラマや映画でも手術のシーンを観たことがあるから、なんとなく、どういうものかはわかっていた気になっていたけど、実際は想像していたのと違う点があった。
手術室まで歩いて行くということ。
手術室の看護師が病室まで迎えに来てくれて、一緒に歩いて行く。
手術室のフロアには、たくさんの手術室があって、これから手術を受ける人が看護師と歩い

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花のある生活

花のある生活

先日、花育体験教室に行ってきました。
自分で花を5本、葉っぱを2本選んで、花屋さんがブーケにしてくれます。
見たこともないような花もたくさんあって、好きな物ばっかり選んでいたら、バラバラな印象…。
花屋さんのアドバイスもいただいて、全体の色のバランスを考えて。
花瓶もいただいたので、帰ってから花を飾りました。

か、かわいい。
どれだけ見ても飽きなくて、しょっちゅう見ています。
こんなに花が好きだ

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久しぶりの映画館

久しぶりの映画館

『バカ塗りの娘』という映画を観に行った。
コロナ禍になってから映画を観に行ったのは初めてだ。
映画が大好きで、以前はサービスデイにはよく映画を観に行っていた。
家でDVDを観ることも多く、合わせると週に2本は映画を観ていた。
結婚してから、約2時間座っている時間があまりとれなくなって、映画を観ることが少なくなっていた。
久しぶりの映画。
よくエアコンの効いた空間。
予告編も好きだ。
その映画館は、

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