TL作家がファミレスで小説書いてみた②

 前回の記事『TL作家がファミレスで執筆してみた①』を踏まえて、今回は「ではどのファミレスが執筆するのに適しているか」を検証していく。
 この記事においては作者の独断と偏見が大いに含まれた内容になるので、各自あくまで参考程度に読んだ上で、実際に足を運びご査証願いたい。

 また筆者は現在小学一年生と年中さんの母親であるため、執筆時間は子供たちが出かけてから帰宅するまでの時間となる。
 小一の娘が出かけるのが七時半、年中の息子の幼稚園バスがくるのが八時、そして帰りは十四時、娘は十五時帰宅ということを踏まえて読んでいただけるとありがたい。

1 デニーズ
2 ガスト
3 ジョイフル
4 ココス


1 デニーズ

 セブン&アイ・ホールディングスが誇るファミレス『デニーズ』。
 全国展開しており、田舎でも商業施設が並ぶような大通り沿いでは見かけることが多いはず。
 さてこちらの魅力をまとめてみると、

・無料Wi-Fiあり(セブンスポット)
・ドリンクバー付きモーニングあり
・セブンイレブンのコーヒー飲める
・シニア層が多い
・昼間はマダムが多くなる
・値段は高いがご飯美味しい

 という感じになる。ファミレスの中でも割と値段が高いという印象があるが、だからこそ客層がいい。わたしが利用したところは道の左右にお店が続くという場所の、交差点にあった店舗で、割とシニア層が多かった。
 平日の朝早くは、ご近所の紳士やマダムが集まって、モーニングがてらお喋り会が開かれており、店員さんとも顔なじみで気安く会話をしている方が多かった印象だ。朝の十時頃に入ってきてデザートだけ食べてお喋りして帰るマダムなんかもいて、レストランと言うより喫茶店のように利用している層が高い印象だった。

 なので店舗の端っこでノートパソコンを広げて鬼の形相でキーボードがたがたやっている筆者の存在は異質だったが、店員さんは全員優しく、店舗も照明が明るめ、天井が高めだったので気分がすさむことは一切なかった。

 そしてデニーズの魅力は、コンビニのセブンイレブンと同じコーヒーメーカーが置いてあり、ドリンクバーを注文すればセブンコーヒーが飲み放題という点だ。
 コールドドリンクはもちろんホットドリンクの種類も多い。紅茶、中国茶、日本茶系のティーバッグが計十五種類くらい置いてあり、コーヒーが飲めない作者にとっては本当にありがたいセレクションだった。
 さらにティーバッグ用のポットが置いてあるのもありがたかった。筆者はとにかくお茶をがぶがぶ飲むタイプなので、カップ二杯分の容量が入るポットの存在は実にありがたい。滞在中の四時間でこのポット五、六杯分を軽く飲むので、席を立つ回数が減るのは単純にありがたいことだった。

 トイレも個室が二つあり、掃除も行き届いていて印象がいい。そこそこ裕福なシニアが多いせいか、店の雰囲気もほんわかしていた。
 机と椅子もいいものが使われていて、クッションが効いていて、長時間座るのにも特に苦労がない。

 客層の年齢の高さからそうしているかはわからないが、アルコール消毒液がかなり広範囲に置かれているのもポイントが高い。
 入り口、ドリンクバーだけでなく、トイレの出口、そして少し奥まった席のほうにも、ウェットおしぼりとともに消毒液が置いてあるのはありがたかった。

 そしてノワドワーカーにとってありがたいのは、セブンスポットという無料Wi-Fiが利用できる点だ。こちら、基本的に一日三回までのログイン制限があるが、なんとデニーズ店舗に限っては無制限で利用できる
 デニーズ公式アプリからセブンスポットに接続するが、最初の登録以外はすぐに接続できる。回線速度もかなり速く、Wi-Fi必須の仕事にも実に適していると言えるだろう。
 ただコンセントはどの席でも見かけることができなかった。デニーズの方針として注文から四時間後には一回会計をしてもらうとなにかの記事で読んだこともあるので、長時間のノワドワークは御法度とも言えるだろう。


2 ガスト

 すかいらーくグループのファミレス『ガスト』。こちらも全国展開していてどの街にも一軒はありそうな感じ。
 筆者が住む市には引っ越してきた当時はあったのに、今は同グループのしゃぶしゃぶ店になってしまって、隣の市まで行かないといけないのがちょっとだけネックだった。とはいえどちらの店舗も移動時間は変わらないのだが。

 さて、こちらの店舗の魅力といえば、

・無料Wi-Fiあり
・壁際の席はコンセント差すところがある
・ドリンクバー付きモーニングあり。日替わりスープもついてくる。
・注文はまさかのタッチパネル
・朝は新聞が置いてある
・ノワドワーカー率高め
・圧倒的安さ
・dポイントつく
・Tポイントもつく

 おそらく早晩そうではなくなるとは思うが、現在は24時間営業店舗。そのため朝の早い時間からノワドワークに励む男性が結構な確率で存在する。
 わたしは六月後半三回ほど利用させてもらったが、ノートパソコンを広げて仕事をするサラリーマンやノワドワーカーが、常に一人から三人は駐在していた。

 というのも壁際の席には必ず机の上にコンセントの差し口が存在し、ご丁寧に「ご自由にお使いください」のテプラも貼ってある。ノワドワーカーの中にはPCとタブレットを持ち込みどっちもコンセントにつないで仕事をする強者も存在した。
 ただ無料Wi-Fiは使い勝手が少々悪い。こちらも公式アプリから接続する形になるが、一時間に一回のログインが必要な上、一日三回までのログイン制限がある。
 さらに回線速度はかなり遅く、場合によってはWi-Fiにつながないほうが早くできる可能性もなきにしもあらずだ。
 長時間ノワドワークしたいなら、持ち運びのWi-Fiなどを持参していったほうがいいだろう。

 あと、これはどの店舗でも行っているかわからないが、朝の時間帯には読売新聞が机に置いてある。自由に読んでいいとのことで、朝早くくるシニアなどはモーニングを食べながら新聞を読んでいるひとも多かった。

 そして、これもどの店舗もそうなのかわからないが、なんと注文は机に置かれたタッチパネルで行う。
 時間ごとに表示されるメニューも代わるし、サービスの欄には「デザートを持ってきて欲しい」「お皿を下げて欲しい」などの項目もあった。おかげで必要以上に店員が客席間を行き交うことはない。ある意味仕事に集中できる環境が整っていると言える。

 またガストと言えば食事の安さに定評がある。わたしが利用した店舗の中でもモーニングの値段は一番安かった。ドリンクバーだけでなく日替わりスープバーもモーニングの中に組み込まれているのでかなりコスパはいいと言える。

 ドリンクバーコーナーも充実している。ホットドリンクのティーバッグの種類がやや少なめなのが個人的に残念なところ。ポットもないので割と足を運ぶ率が高い。

 残念なのはトイレの個室が一つしかないところ、狭いところ。そしてアルコール消毒が店の入り口と、トイレの出入り口にしか置かれていないところか。客席自体は天井も高く広々しているが、ドリンクバーの前の空間が狭かったりと、割と窮屈さも目立った。

 そしてこれは主婦目線でのポイントかもしれないが、Tポイントかdポイントが会計時につけられるのは個人的に重要だった。筆者はTカード、dカードそれぞれ持っているが、こちらではTカードにポイントを溜めている。いつも利用している市内一大きい書店が蔦屋書店であるため、Tポイントは重要なのである。


3 ジョイフル

 コロナ禍の影響で全国的に多店舗を閉店すると発表があったジョイフル。まさかわたしの行きつけのジョイフルも閉店の危機に!? とかなりショックを受けた。
 が、この発表があったあとに利用した際、ベテランのパートさんが新人さんにドリンクバーのゴミ回収などの仕方を教えていたので、「どうやらこの店舗は生き残りそう……!」と心の中で拳をぐっと握ることになった。

 そんなジョイフルの魅力は、

・無料Wi-Fiあり
・ドリンクバー付きモーニングあり。少しお金出せばスープもつく。
・ドリンクバーは割と種類多いけど最近ティーバッグなくなっちゃって悲しい。
・一人でふらっと入る常連、シニアが多い印象
・ガストの次に安い

 まず無料Wi-Fiの設備は整っている。客席にログインの方法が用意されており、それで一度接続してしまえば、店舗に行けば勝手に接続できる使用になっている。毎度毎度ログインする必要がない上、無制限速度も速いのでこれはかなり嬉しい。
 Wi-Fi機能は素晴らしいのに、コンセントがないのが少々悲しい。筆者が見たノワドワーカーの中には足下にあるコンセントを勝手に使っちゃっているひとも割といたが。全席にコンセントがあるわけではないので、常連の裏技と見た。

 こちらの店舗もノワドワーカー率が割と高い。ふらりと立ち寄ったサラリーマンが電話かけつつノーパソをいじるという図も散見された。一方で常連っぽいシニアも多く、店員さんと気安い会話をしていたりする。

 こちらも24時間店舗(今後どうなるかはわからないが)という形態上モーニングもランチもあるが、この店舗の面白いところは何時に来店してもモーニングは食べられるという点。値段も安いし、少し金額を上乗せすればスープバーもついてくる。
 ジョイフルのスープバーは鍋から自分でよそうのではなく、ドリンクと一緒で、ボタンを押すと出てくるタイプになっているのも特徴的だ。

 消毒液は店舗の入り口にしかないので少々不便。わたしが利用する店舗はトイレが入り口横にあったので、よけいに一つしかないのだろうけど。

 最近になってドリンクバーが改良されたらしく、ティーバッグが消えた。
 代わりにホットの飲み物もボタンを押して出てくるタイプになっている。意外とレモンティーとピーチティーが美味しい。煎茶が茶色で出てくるのが少し悲しい。ポットはなし。

 食事の値段はガストの次くらいに安いのではないかと思う。和洋中いろいろ種類があるし、ケーキセットを注文するとチーズケーキかチョコレートケーキが少し安く食べられるのも魅力的だ。

 作業には快適なのだが、筆者が一番悲しく思うのは、ほかの店舗には必ずあるのに、ウェットおしぼりが置いていないということ。一番最初に出てくることもないし、ドリンクバーにも用意がない。
 なのでパンなど手で掴んで食べるものを注文してしまうと、拭くものがなくて少々不便。都度手を洗うか、ウェットティッシュを持参すべし。


4 ココス

 個人的お気に入り店舗として上げるのがココス。
 ただしココスはモーニングではなく、朝食バイキングを実施している店舗が多い。そしてこのあたりの田舎の店舗は、朝食バイキングを実施していないか、していても土日祝日のみの店ばかりというシビアな現実が横たわっている。
 つまり平日の開店時間はだいたい十時である。

・無料Wi-Fiなし(auは公衆無線LAN使える)
・ドリンクバーが最近コールドドリンクの種類ガクッと減って悲しい
・ランチタイムはメニューによっては日替わりスープつく
・現在コロナ禍の影響で提供していないメニュー多い
・開店が速くても十時頃なのでマダムがお喋りに多くきてる
・値段は高くはないが安くもない
・dポイントつく

 モーニングを食べ執筆する作者だが、お昼頃にはどの店舗も混んでくるので、作業を続けたい場合は別の場所を探すことになる。その移動先として重宝したのがココスだった。

 個人的一番の魅力はドリンクバーにある。お茶の種類がとにかく多いのだ! しかもティーバッグではなく茶葉! 茶葉をスプーンでポットに移してお湯を注いでカップに自分で次いで飲むスタイル!! 最高!!!!
 それでなくてもホットのドリンクはかなり種類がある。ただ最近コールドドリンクの機械を変えてしまった影響でカルピスなどがなくなってしまい、少々がっくりしている。

 アルコール消毒も店舗入り口、トイレ入り口、ドリンクバーと数カ所に用意してあってありがたい。トイレも個室が二つなので個人的に嬉しいところ。

 ランチメニューはガストほど安くないがデニーズほど高くない。メニューによっては日替わりスープがつくが、毎日二種類用意されてあって、どちらも結構美味しいので、お茶代わりにがぶがぶ飲むことも多かった。

 ただノワドワークに適しているかというとそうでもない。無料Wi-Fiはないし、公衆LANが使えるのもauのみ。docomoユーザーのわたしにとってはあまり嬉しくない。その割に会計時にdポイントを溜められるのが不思議と言えば不思議である。

 席にコンセントもついていないし、客層もビジネスマンというよりはご婦人のほうが多い印象だ。みんなランチとお喋りを楽しんでいるという感じ。
 そして勉強している学生さんが多かった。勉強中の学生に関してはジョイフルもかなりの率で遭遇する。Wi-Fiが繋がらないのが逆に勉強には適しているのかもしれない。

***

 わたしが通ったファミレスに関しては以上四店舗だ。ほかにもファミレスというとサイゼリアなどが上げられるが、サイゼリアの場合、

・無料Wi-Fiなし(SoftBankは公衆無線LAN使える)
・開店時間が遅いので除外
・そもそも利用しない

 ということから除外した。市内に一軒あるのだが開店時間が11時とかなり遅く、園バスの関係で14時には家に帰っていないといけない筆者にとって、サイゼリアは利用するハードルがかなり高かった。
 また平日の夕方は学生が多いというのもあって、あまり仕事には適していないかなという印象が強い。

 ビッグボーイは市内にあるがかなり遠いので通うことはできず、デニーズ以上の高級ファミレスの印象が強いロイヤルホストに至っては、県内に店舗がない。お隣のグンマーや飛んで埼玉にはあるのに、関東で唯一餃子県にだけないのだ。悲しい事実である。検証できずに実に残念である。


 栃木県発祥のファミレスというと「爆弾ハンバーグ」で有名な『フライングガーデン』、宮のたれでお馴染み『ステーキの宮』があるのだが、どちらもノワドワークには向かない。
 どちらもステーキやハンバーグを売りにしている店なので、とにかく、店内が肉の匂いに溢れている。正直仕事している場合ではなくなる。肉を食べたくなってしまう。
 ただ県民として言えばステーキ宮は値段は高いが、サラダバーもスープバーもあるし、スープバーのコーンスープはかなりの美味でマジでおすすめ。ドリンクバーもコールド、ホットともに種類が多く、下手したらデニーズをもしのぐ。ポットもあるので大変におすすめである。
 フライングガーデンもハンバーグが大変美味しい上、決まった曜日に金券のサービスもある。ドリンクバーもポットがあるし、種類も多い。同点ともご飯のおかわり自由なので、大食いのひとにとって大変ありがたいファミレスなのである。
 県民としてノワドワークを除外して、単なる食事処として強くおすすめしておく。この二つの店ではノワドワークはするな。黙って肉を食え。

***

 ということで、いざわたしが「小説執筆にもっとも適したファミレスはどこか」と問われれば、迷いなく『デニーズ』と回答する。
 確かに値段は少々高い。客席にコンセントもない。だが客層がとにかくいい。店舗も高級志向だからか、とても綺麗だし、衛生観念も高い。セブンコーヒーも飲める(わたしは飲まないけど)。
 電源の確保さえ気にしなければ、もっとも作業がしやすいと言える。
 値段に関しては、正直モーニングは普通のメニューに比べ格段に安いし、どの店舗も100円から200円の差でしかないのだ。たかだか100円200円の差なら環境がいいところを選ぶべきだし、もっとも快適に作業できるのはデニーズだとはっきり言える。
 モーニングの種類の多さも随一だ。パンケーキやフレンチトーストも選べるのはデニーズだけ。ドリンクバーの種類の多さも筆者のような飲み物がばがば飲みながら執筆作家にとってはポイントがかなり高かった。


 とはいえ、どの店舗が一番作業に適しているかは個人個人の嗜好にもよる。
 ただ、どの店もノワドワークすることで白い目で見られたりすることはなかった。
 客としてのマナーを守り、店員さんに笑顔で接することができれば、どの店でも煙たがれることはまずないと言っていいだろう。

 以上が、六月後半の怒濤の執筆生活を送ったTL作家の検証結果である。
 また〆切が近くなり「絶対に家じゃはかどらねぇ」となったときは、積極的に利用していく心づもりである。
 

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