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雨音の中に。

主要駅を始発とする夜のバスに乗ると、その空間は帰路に着く人の横顔でいっぱいなのを感じる。

皆がうつむき加減で背中を丸めて、手にしたスマホの画面を見つめている。

車窓からは水たまりに点々とする、雨の跡が反射していて、昼間のそれとはまったく違う景色となる。

光を集めたみたいに揺れているから、ずっと見ていたくなるけれど、信号が変わって遠くなっていく。

見えているものを話したい人は遠く、近くには静かに息をする知らない人の肩が見える。

雨音の中に、消えてしまえばいいのに。
雨音の中に、この気持が消えてしまえばいいのに。

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