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あいまいえのはじまり

きっかけは、あいまいえ卒業キャンプでのまっちさんの一言。

「さおりんの鶴の一声であいまいえは誕生したんだよ」

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あいまいえ卒業アルバムの作成にあたって、その原点である沙織さんのお話しを聞いておきたいと思った私は、卒アル製作委員会のはるちゃんに取り持ってもらい、今は軽井沢に住む沙織さんに電話インタビューをお願いすることができた。

冒頭のまっちさんの言葉を伝えると、沙織さんは「そんな、大袈裟だよ」と笑った。あいまいえ誕生までの経緯、そこにあった想い、今振り返って思うこと、沙織さんと同席してくれたはるちゃんの言葉をなるべく活かしてお届けしたい。

縁側での会話

あいまいえがまだ生まれる前のこと。沙織さんは、ミライエという場に携わっていた。ミライエは鎌倉にある古民家で、株式会社ライフノートが運営するコミュニティ「Workle(ワークル)」のメンバーが週末に集う場所だった。普通の飲み会もあったり、大きめのイベントが企画されたり。大学卒業後、就職までに半年の時間があった沙織さんは「好き勝手使っていいよ」というまっちさんの言葉どおり、平日も休日もちょくちょく通っておうちで遊んでいたという。

ミライエといえば、縁側。ワークルの東京拠点、あいまいえもその縁側での何気ない会話で生まれたそうだ。

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沙織さん:だいたいみんな夜になると縁側でぐだり始めて。その時かなんかに、まっちさんとこういう、みんながぱっと集まって、初対面でも関係なくなんかこうその時間で充電できるような場所があったらいいよねって話して。結構社会人とかも多かったから、土日に集まることが多くて。ミライエは鎌倉だったしちょっと遠いから平日来づらいよねって。
土日に集まるのもいいけど平日も会社帰りにふらっと寄ってそこで話すことがこう、次の日のエネルギーになって、みたいな場所が作れたらなんかすごいワクワクするねってなって。
じゃあ東京にも拠点をつくろーって言ったのはなんとなく覚えてる。

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縁側のような、みんながだべるスペース。あいまいえで言うと茶室かベランダ横の階段、もしくは主寝室だろうか。リビングのちょっとした腰掛けも人気。

そこにあった、素敵な景色

沙織さんにミライエでの思い出を聞いたところ、これまた沙織さんが言い出しっぺの、竹灯りというイベントを挙げてくれた。その日のある場面が、とても印象的だという。

沙織さん:
ちっちゃいときから大好きな絵本の1ページ、クリスマスの前日かなんかに小人たちがお家の中で、クリスマスプレゼントを子供たちの元に届けるために、みんながてんやわんや、いろんなとこでいろんなことをしてるっていう見開きのページがあってその絵がすごい好きなのね。そのページのなかにはすごい働いて忙しそうにしてる人もいるんだけど、椅子で寝てる小人たちもいたり、ちょっとサボってお菓子つまみ食いしてる小人たちがいたりとか。みんな過ごし方はそれぞれなんだけど、クリスマスに向けての一体感というか熱量を形づくっていて。でもみんなが気負わずにやりたいことをやっているみたいな絵。竹灯りのときにすごい、「あ、これあの絵本のあの絵だ!」って思ったのね。

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竹灯りをがんばって制作してる大人も子供もいれば、台所でちびっこと遊んでるひともいて。
コミュニティってなんかむずかしいじゃん。みんなが同じだけ出していかなきゃいけないって、それが楽しさでもあるんだけどちょっと気負いすぎちゃって辛いときもあったりとか。自分ちょっと輪に混ざれてないぞ、みたいなこともあったりとか。コミュニティって縛っちゃうことによってちょっと息苦しさを感じたりみたいなこともあるんだけど。竹灯りのときはそれが全然なくて、なんかみんな同じ目的で今日きてるんだけど、やりたいことをやってて、ただそれだけなんだけど。そういう場があのミライエで生まれたのはすごく印象的だったなーって思って。あれは作れるものではないし、人がよかったとかそういう一言で片付けられるものではないと思うけど。なんでああなったのかはわからないけれど、すっごく素敵な場面だった。でもミライエでは、そういう場面がちょいちょいあって。でも、はるちゃんとゆかりんも、そういうの感じるのなかった?

はるちゃん:あったあった。

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団らんの様子@あいまいえ。この日はなんとちゃぶ台を4つ使用。ここに至るまで、準備に一生懸命な人もいれば、おしゃべりしている人、本棚を漁っている人もいる。お構いなく寝てる人がいる時も。

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沙織さん:東京に拠点つくろーってなった時も、みんなもなんとなくそういう場所があったらいいよねって。
実際、ミライエでその場のかたちとかイメージとか、みんな体感でいいなーっていうのは思ってるから、きっと東京で拠点をつくるってなったときも、なんとなく同じようなイメージをもっていて。だからきっとスムーズに話が進んだんじゃないかなあ。
でもほんとに申し訳ないんだけど、そのとき就職が決まったタイミングでもあったし、そのおうちには住めないって、最初から決まった上であーだこーだ話して。
私自身が住めないことについてはけっこう悩んだよ。半年あいだがあって、そこでミライエにも頻繁に行ってたし、みんなにも会ってたし。私これ何のために就職するんだろうって。今この場この瞬間、毎日が楽しいのに、なんのために就職するんだろうって思ったことはあった。まっちさんからも一回なんか、「やっぱり言い出しっぺがいたほうがいいと思う」みたいなことを言われて。私は「もう道がきまってるから」みたいなことを言って。
たぶんそれと同時くらいかな。この話まずいぞってなったときに、かまきちとかたによっちゃんに話したら、住みたいって言ってくれて。まっちさんも忙しい中形にしてくれて。
なんだかんだめんどくさい、事務手続きとか家を借りるとかするのを請け負ってくれたみんながいてちゃんと形になったので、私は本当になんか、言っただけ。

そこにあった、大切な感覚

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はるちゃん:でもさ、さおりんのよう分からんマイペースさがあるじゃん。気付いたらみんなそれに巻き込まれていく気がするよね。なんか、せっかちばばあみたいな感じ(笑)はいはい、みんなこっちに行くよ遊びに行くよ楽しいよ、だから準備して、はいはいはいみたいな感じでいくからね。すげーマイペースなんだけど、そのマイペースに乗り遅れたら大変だみたいな。さおりんすげーなって思いながらいつもみてるんだけど。
それを許容できる雰囲気というか、ゆるさというか。にぎやかしを求めてるところもあのときのワークルにはあったし。なんかそういう、明るさというか、ポップな感じがワークルの特性というか。貸会議室借りて2時間話し合うとかでもなくて、お茶飲んだりご飯食べたりとかそういう環境のおかげか、若手社会人コミュニティって感じでもなくて。おうちでの暮らしがあって、お茶しながら話せて、暮らしのそばでぽんぽん、ぽつぽつ、感情とともに一緒にいれた感じ。感情とともに一緒にいれるから、感情とか気持ちが動くものを一緒に大切にしていけるような感じ。
なんか、ワークルの根底文化であり、あいまいえの根底文化として大切なものだった気がするなあ。

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お茶や花、あったかいご飯と日常に彩りがあった生活

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あの場でできた特別なことと、これからのこと

沙織さん:なんか、そういう場を作りたいなって思えば思うほど作れないもどかしさ。社会人になってからすごく感じるんだよね。わたしも宿泊業、サービス業だしさ、なんかこう、いくら素敵な場を用意して、ホスピタリティを磨いて、接客力を身につけて、ってしてもつくれない雰囲気、居心地のよさ。どうしたもんかね。別に悩むことではないと思うんだけどね。

はるちゃん:仕事の中で、つくってみようとかつくってみたいと思ってやったこととかあるんだ。

沙織さん:仕事でもそうだし、いろんな土地に住むからそこに引っ越せばそこの土地の人がいて。竹富の人と軽井沢の人はちがうし。でもなんかこう、意図すれば意図するほどできないもどかしさもあるけど、じゃあ、なんだろうな。その場の雰囲気に合わせるだけでいいかというとそうでもない。結果考えすぎるとよくないっていう。
だから、鎌倉にいたときは、自分の楽しい方向に力を入れられる環境があったし、そうすればそうするほど、いい方に歯車が回るっていうこう、不思議な力が働いてた気がするし。
それを再現するのは、なかなかこう、この先の人生で難しいなーって思うけど、でもなんか作ってみたいなーって思う。それが、宿なのかシェアハウスなのか自分の家庭なのか分からないけども。そういう括りじゃないのかもしれないしね。
でもなんかもうそろそろ、もう一回そういうのやってみたいよね。もう5年働いたし。

はるちゃん:よき。

沙織さん:自分が楽しいことやってる時間を許してくれる場所と人がいることはすごくありがたいことだったなって思う。

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はるちゃん:すごかったよね、なんか。
なんかそれをさ、がんばって突き詰めようとしたというか、諦めようとしなかった場所だなと思うというか。社会人4、5年やった人々で集まって何かしたら、それはそれでちがうことできそうだよね。

沙織さん:なんか楽しいこと考えよー。

はるちゃん:そうしよー。サータアンダギーまた食べたい。

沙織さん:またつくろうよ。まっちさんもなんかあれ、ちょいちょい言うんだよね。あんときのあれもう一回食べたいって。またなんか一緒にできたらいいね。

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はるちゃん:あったかくなったらお花見しようよ、みんなで。

沙織さん:わかった。じゃあ、サータアンダギーいっぱい揚げて、お月見のお団子みたいにこう積んでね。あーいいね。あ、でもそれお月見か、お花見じゃなかった。

はるちゃん:じゃあお花見の時はおにぎりたくさん作ろう。

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沙織さん:そうしよう。楽しみできた。

終わりに

「なんか楽しいことしよー」「そーしよー」

このやりとりがすごく懐かしくて、ほっこりした。ミライエ、ワークル、あいまいえ、いえいえ(ミライエを継いだ鎌倉のシェアハウス)。人それぞれ馴染み深い場の名前は違うかもしれないけれど、全ての場で、そんな軽やかであったかい空気が流れていたのだと思う。

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ミライエ、ワークル、あいまいえはすでに完了となったけれども、またみんなで集まって、楽しいことができる気がした。





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