さよなら平成 私はこの時代に生まれて良かった
私は平成元年生まれだ。
誰がどれほど平成という時代を悪く言おうとも、自分はこの時代に生まれて良かったと思う。
もっと未来の時代に生まれていればと思うことはあるが、少なくとももっと昔の時代に生まれていたいとは露ほど思わない。
平成の終わりにあたって、この時代の総括として「なぜ平成は失敗に終わったか」といった形の言説を耳にする。
平成元年生まれの私としては、まるで生まれた時代が不運だった、昔に生まれていれば良かったと言わんばかりの言葉に聞こえるんですが。
けれど、工学系の大学を出てエンジニアになるという、少し前なら典型的な男性の進路とされたルートを女性の身で選択した人間としては、もっと前の時代に生まれるということはその選択肢を奪われることに等しいのです。
かつて大学は当たり前のように女子の入学が認められていなかった。東大や京大に女性が入学できたのは戦後の学校改革が行われたあと。
かつて女性は一般職として男性とは違う職種につけられ、結婚とともに退職するのが当たり前だった。
今やエンジニアとして活躍している先輩女性の方々の中には、キャリアの初めはエンジニアとして採用してもらえなかったという理由で別の仕事をせざるを得なかったという話も聞きます。
かつて女性は働いていても産休育休制度などなかった。
キャリアを諦めるか家庭を諦めるかの2択しかなかった。
それに比べれば私の時代はどうだろうか。
確かに全ての問題が解消したとは言えない。
けれども少なくとも、公然と女子学生差別が行われていた時代に比べれば私は真っ当な入学試験を受けられたし、就活にあたってエンジニア職を門前払いされることはなかったし、産休育休は女性はおろか男性エンジニア達も取得に積極的である。
確かに未だにロクでもないと思うような場面は多々あるが、それは平成の時代にロクでもなくなったわけじゃない。
昔はもっとロクでもなかった、ただそれだけである。
だから私は平成の時代をどうこう言われようが
「うるせぇ私はこの時代に生まれて良かったんだよエビフライぶつけんぞ!」
と叫ぶのである。
…なんでエビフライなのかといえばまぁ、ただの平成のネットスラングなので気にしないで下さいな。
それではさよなら、ありがとう、平成。