グッズに使うちびキャライラストの「作家ベースor商業ベース」を考えてみた!
はじめに:こちらを読んで欲しい
トラノスケさんという、ストックイラストのイラストレーターとして有名な方がいらっしゃいます。まずは彼のツイートとnoteをご覧ください。
こちらの内容はキャラクターグッズのデザインで使用する「ちびキャライラスト※」にも関わることだと感じました。どのように文章を展開しようか悩み1ヶ月以上も経ってしまいました……結局、悩みながら文章を書いています。
※ちびキャライラスト
「SDキャライラスト」「SDイラスト」と書きたいところですが、「SD」は「SDガンダム」の商標なので避けています。代わりに「ちびキャライラスト」と書きます。「デフォルメ」と「ちびキャラ」だと、どちらの方が通じやすいんだろう…?「デフォルメイラスト」の方が通じやすい場合は差し替えます!
ちびキャライラストを描く仕事がしたい。その真意は?
「ちびキャライラストを描く仕事がしたいな〜」と思いますよね?私も実際にお仕事をして楽しかったですし何度も「したいな〜」と思います。
その描きたいという気持ちは「ちびキャライラストを描く仕事がしたい!」というそのままの意味なのか、「自分の絵柄でちびキャライラストを描く仕事をしたい!」という気持ちのどちらでしょうか?
ざっくり分類すると、前者は「商業ベース」、後者は「作家ベース」で戦うことになるかと思います。※分類名はトラノスケさんの言葉をお借りしました。詳しくはnote参照です!
どちらになりたいのか悩んでいたり、流通しているちびキャライラストを見て「こういう仕事いいなぁ」と思っていたりするかもしれません。
では、世の中に出ているちびキャライラストを判別していきましょう!
実例を挙げて説明します!
※ご注意
これから紹介する実例たちは私の制作物とは無関係です。単純に世の中の「ちびキャライラスト」を実例として挙げて紹介していきます。
まずは「商業ベース」から
■ヒプノシスマイクSANRIO NAKAYOKU EDIT
ヒプマイとサンリオキャラクターズのコラボイラストです。サンリオ本社デザイナーか制作会社が担当されていると思いますが、サンリオコラボのちびキャライラストを描きたい場合は「商業ベース」になります。自分自身の名前は出ません。
■僕のヒーローアカデミア
アニメの作画に準拠したちびキャライラストなので「商業ベース」ですね。イラスト制作会社が担当しているかもしれません。
■GraffArtシリーズ
株式会社A3さんの『GraffArt』(グラフアート)シリーズです。個性的な絵柄ですが、自社内で求められるイラストを描く必要があるので「商業ベース」です(後述するあかねさんとは異なり、複数のデザイナーが担当しているようなので)。
次に「作家ベース」
●アニメイトカフェのあかねさん
アニメイトカフェのちびキャライラストといえばあかねさんです。2018年からフリーランスとして活動されています(それ以降は、いろんなイラストレーターさんがアニメイトカフェのちびキャライラストを担当されています)。当時は社内デザイナーとして描いていらっしゃったようなので「商業ベース」かもしれませんが、「あかねさんのイラストだから買う!」というファンがいるので「作家ベース」としました。
●CHANxCOさん
様々な作品のちびキャライラストを描いていらっしゃいます。「イラストレーターのCHANxCOとコラボ」という宣伝の仕方をされているところからバリバリの「作家ベース」です!
●「もういい!もどれ!ピカチュウ!」
グッズではなくLINEスタンプの例ですみません。こちらは「自分ツッコミくま」を描かれているナガノさんの描き下ろしイラストです。こういう仕事をしたい場合は「作家ベース」になります。
かんたんに言うと「イラストレーターの名前を出す必要があるかないか」
……ということが答えなのかなと思います。
商品を販売する企業がイラストレーターの名前を出したいと思うか出さなくても良いと判断するのか。
ファンがグッズを購入するときに「このイラストを描いたのは誰か?」は気にする情報ではありません。「自分が好きな作品なのか」「自分の好きな(推している)キャラクターはいるのか」「どんなテーマなのか」「衣装は?」「ポーズは?」「表情は?」……というように作品やキャラクターの情報が重要であって、描き手のイラストレーターの情報は不要です。だから基本的にはイラストレーターの名前を出す必要性はありません。
はい。「商業ベース」です。
しかし「特定のイラストレーターが描いた」という情報が商品のウリであり、購入に繋がるのであればイラストレーターの名前を出します。宣伝効果があり売れ行きに繋がるので価値があるということです。「作家ベース」ですね。
「商業ベース」の仕事をしたい方は「商業ベース」用の営業をする必要があるし、「作家ベース」の仕事をしたい方は「作家ベース」用の営業をする必要があります。これを間違えると成果が出ないよ、とトラノスケさんはおっしゃっています。
お金かロマンか
収入が必要ならば「商業ベース」が圧倒的にオススメです。「作家ベース」に比べて案件数が多く依頼されやすいです。流通しているグッズの豊富さを感じて欲しい。
イラスト制作会社に就職したり専用の外注になったりすれば、すぐに仕事が出来ます。
フリーランスでやる場合は、あくまでも私個人の意見ですが、ちびキャライラストを必要としていそうな企業に営業するのが良いのかも。企業は忙しいので自らイラストレーターを探す余裕がありません。探す場合も有名な人や人気の人が目につきやすいので、実力があったとしても駆け出しイラストレーターの場合は見つけてもらえないかもです。
「作家ベース」はロマンですね。私はこれも目指したい(ヨクバリス)。
経験談:悔しかったけれど「商業ベース」だからこその仕事だった
デザイン会社で働いていたとき、ムーブメントを引き起こすほどのイラストを描いて、さらにグッズデザインをしました。もちろんグッズは売れました。なによりイラストの評判が良かった。新聞に載るくらい。すごい。
「私だからこそ描けた!」という誇らしさがあったのですが、イラストレーターまたはデザイナーとして名前を出すことは叶いませんでした。「こういうイラストにしたら良いんじゃないか」と提案してラフから完成まで仕上げたのも私ですが、その閃きとか発想とか提案とか、すべてクライアントの手柄になっていました。私が説明したコンセプトが新聞に書いてありましたね。
当時は「む〜!!」と悔しい気持ちになりましたが、でも冷静になって考えてみればデザイン会社に所属していたからこそ依頼されたお仕事なわけで。そしてクライアントの「売れるグッズ(イラスト)を作ってください」という依頼を叶えているので「商業ベース」として当然の内容なんですよね!
極論を言えばデザイナーが描くイラストは「商業ベース」になるのか……?
あ、この文章を読んで「いや、貴方はデザイナーでしょう。クライアントの要望を叶えたのだから喜ぶところだよ」と眉をひそめた方。私もデザイナーならそうだと思います。俺が!俺が!になっちゃいけないと思っています。常に「クライアントとファンのため」をモットーに取り組んでいますが、このときは自尊心が出ちゃいました。理由としては、グッズデザイナーになりたてだったので「自分がやったんだぜ!(上司や同僚!俺を認めてくれ!)」という承認欲求が非常に強かったのと、デザイナーでありながら作家性を求める血が私の体に流れているからですね。
商業ベースと作家ベースの特徴をあわせ持つ人は大変です。それでデザイナーになったものなら精神分裂が起k……この話は別のときにしよ。承認欲求が強い人がデザイナーになるとつらいかもよ(また話がそれそう)。
グッズに使うちびキャライラストの「作家or商業ベース」を考えてみた結果
そもそも考え始めたのはトラノスケさんのツイートとnoteを読んで思うところがあったからです。
「ちびキャライラストを描くお仕事がしたい」という夢は2020年になって叶いました。版権キャラクター(2次元キャラクター)を描きました。比較的、版権キャラクターのちびキャライラストを描く場合は「商業ベース」になると思います。
新たな夢・目標として、ゲームTRPG動画投稿者やVTuberと関わってお仕事がしたい。グッズデザインをするなら「商業ベース(デザイナー)」の気持ちのままで問題無いのですが、イラストは違うんじゃないかと。個性が必要なんじゃないかと。そう、作家性だ〜〜〜!!!(ドドーン)
版権キャラの延長線でイラストを描いていたけれど、そうじゃないんじゃないか?と気づき始めた最近です。
版権キャラのお仕事は変わらず「商業ベース」でやりたいけれど、「作家ベース」も出来るようになりたいな。
よろしくお願い致します!!!!!