見出し画像

せこい壁には意味がある

私たちが障害者の手記を出版するプロジェクトを展開して、資金調達&仲間調達&出版前の書籍宣伝の方法として選んだのはクラウドファンディングというツールです。

少し前までは、このような出版を考える時は、自費出版しか方法がありませんでした。自費出版で意味がある場合とない場合があるんですが、私たちは「この障害をより多くの人に知ってもらう」ことを理念に動いているので、自費では意味がなかったんですね。

kindle本の出版も考えましたが、もうそろそろkindle本の時代も終わり。誰でも出せるというメリットで、kindle本のレベルが下がってしまった。信憑性のない医療情報が載ったキュレーションサイト同様、色々問題にもなっているようです。もちろん、目的が達成できるのならkindleも良いかと思います。私たちも時間差で後から出します。

そういう新しい方法を試みる時に、いかに弱者に壁かがあるか、分かりました。まず、障害者がインターネットを使って資金を集める作業が出来るか?ということです。支援の管理をしたり、活動報告をアップしたり、支援者にメールを送ったり……。高次脳機能障害には無理ですね(笑) そこで、私たちが代わりにしたわけですが、そうすると今度は「この人達、障害者を使って金儲けしようとしている?」的な意見も出てきます。こちらの説明不足もあったでしょうし、どんなに説明を重ねても伝わらない人には伝わらないので、その辺は淡々とお話していくしかありません。

で、そういう人はそうするにしても、法律やルールに関しては別問題です。口座やアカウントを持つ時に、インターネット環境が必要です。私たちの本の著者、下川さんは、もともとインターネットが得意な人なら良かったんですが、アナログな社長さんでした。高次脳機能障害者となった今、PCの使い方を新しく学ぶことはとても難しいのです。そのような壁が何枚も何枚もあるのです。そういう「せこい壁」とは、社会的弱者と一般人との「ささいな差」が、ルールによって拡大されている状態なんだと感じました。

しかし、考えようによっては、このインターネット時代、障害者にイイ時代になってきたわけです。今までは、口座を開いたり何かのアカウントを持とうと思った時に、役所に行ったり、そこでハンコを押したり、顔写真付きの何かを見せて本人確認したり、2枚作って1枚郵送したりとか、そんな馬鹿みたいなことしてたわけです。健常者にとって面倒くさいことは、障害者にとっては「もういいや」と諦める状態になってしまうほどハードルが高いことなのです。

でも、逆に、今はインターネットを使ってできることが増えて、むしろそのハードルや壁がなくなったんです。このネットの「なめらかさ」については、今日から書きはじめた佐渡島さんの本の感想にも書いていきますね。

こんな記事もあります。

中学校の総合学習として行った、日本初のクラウドファンディング。もうこういうのを読むと、俄然応援したくなります。ところがまたしても「せこい壁」が立ちはだかるのです。

教師が代表でプロジェクトを立てると、公務員の副業規定に引っかかるかもしれないとのこと。ああ、本当に馬鹿らしいです。この馬鹿らしさがみなさんに伝わるでしょうか。そんなことどうでもいいじゃないと思っても、そうはいかないのが法律なんですよね。もともと弱い人を守る為に作られた法律が、弱い人を苦しめているというわけです。ここをひとつひとつ「その制限って本当に意味あるんでしょうか?こんなふうに困っている人がいるんです。この病気の人だけ例外にしてください」って皆で言い続けて、例外だらけになっていったらいいですよね。そうして、法律そのものを「書き換えるのが面倒くさいので、廃止します」ってなったらいいですよね。ならないでしょうけど。

弱い人を苦しめる法律、書き換えを重ねて修正していくくらいだったら、なくしてしまった方がいいですね。

先ほどの中学校の例ですが、すごいのが、その話を聞いた地域の方が、代わりに代表者になってくれることになったということ。やはり本気で子どものこと頑張っている人が、本気で困った時に、どこからともなく援助が現われるんですね。私たちの場合もそうでしたよ。色々な人が助けてくれました。

冒頭の「資金調達&仲間調達&出版前の書籍宣伝」の為にクラウドファンディングを選んだということ、困った時に色々な人が助けてくれたということ、今度このイベントで話します。

インターネットの出現によってなめらかになった世界で、まだ「段差」があるところがあります。私たちはそういう段差や、そして日本に蔓延する「せこい壁」にいちゃもんをつけながら、しっかりと回り道する方法を考えて行きます!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?