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日陰をつくる

日傘をさす。
さんさんと降り注ぐ太陽の光を遮るべく。日傘はわたしの体に小さな影を作り、心なしかすこし涼しくなったような気がする。

日傘をさす。
さんさんと降り注ぐ言葉の雨を遮るべく。日傘はわたしの心に小さな軒を作り、心なしかすこし心休まるような気がする。

夏らしい日差しは街を煌々と照らす。しばらく外を歩いただけで、汗が噴き出し頭も痛くなってくる。揚羽蝶や紋黄蝶、小灰蝶や青条揚羽が、照らされた茂みの光と影のあいだを縫うようにひらひらと飛び交い、日差しとともにこちらを幻惑する。

太陽の光は降り注ぐ量が多ければ多いほど世界を照らし、世界を見えなくする。明るくなればなるほどくっきりと見える植物たちの輪郭の奥にはこっくりとした闇があり、それは照らそうとすればするほど闇を深めていく。

日傘をさす、
やわらいだ世界で土のあいだを走る1匹の青白く光るカナヘビを見た。

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