見出し画像

伝えすぎない力

広報領域で仕事していることで、日々伝えることの重要性を感じています。
・この人の文章には力がある
・この人の情報整理やテキストでの発信力は分かりやすいな
・この人の発表は声やトーン、スピード含めて耳心地が良いな

などなど。
こうしたアウトプットに出会うと感動したり、鳥肌が立ったり、心が揺さぶられます。

なぜ「すごい」と感じるのかのポイントをよく考えてまとめることが多かったのですが(今度書きます)、ふとしたきっかけで、ここ数日急に「伝えない力」「伝えすぎない力」の重要性を猛烈に考えるようになりました。

情報の伝えすぎは、思わぬ方向にイメージ形成する

悩む

情報をやみくもに伝えることは「全てを伝えている」つもりであったり「ありのままを伝えている」つもりでも、受け手にとっては混乱と無駄なエネルギーを生じさせてしまい、発信側の意図とは全く異なる認識を生むことがあります。

たとえば、ある人の自己紹介時の趣味の話を例にとると

「私の趣味は、飲みと漫画、読書とランニング。あと、料理に女子会と美容とSNS、買い物と旅行。それから、英語の勉強とキャンプとサ活。最近は更に歴史の勉強や日本酒ですね。でもやっぱり仕事が一番趣味です(笑)」

みたいな話をしたとします。

話し相手とは何かしらの共通の接点が見つかりそうですが(笑)、
結局この挨拶から何を伝えたいのか、何が好きなのかは捉えづらく、アウトドア派かインドア派かといったイメージが掴みにくくなります。
「なんか多趣味で好奇心が強そうな人ね。社交的な感じかな」
みたいな印象を持つのでしょうか。

印象づけたいイメージが「超アクティブで社交的、フットワークも軽く色々顔出すので誘ってほしいです」であれば、良いかもしれません。

でも、もし仮に婚活中で初めましての面談時に「いい奥さんになりそう。教育にも関心があって子どもを育てることへの安心感ももてる」といった事を印象づけたいのであれば、伝えている8割がノイズです。
これで「私は理解しれもらえてないの!誤解されている」なんて嘆こうものなら「でしょうね」と返答してしまいますし「私はこんな人だからありのままを理解してください」といった発信方法は、イメージ形成を三者三様、十人十色、個々人に委ねてしまっているので難しいです。
理解にはエネルギーを費やすのでその負担をかけています。

画像2

会社や代表・社員のイメージ形成も一緒

自社やサービスを正しく認識してもらいたいと思った時、全てを話せば思いは通じるというのは奇跡に近いとでも言えるのではないでしょうか。
自己理解も難しい中、相手はその限られた時間でのインプットで、整理されていない対象を理解していくのには多大な労力を費やし、少し面倒に感じられてしまえば興味を欠いてしまう可能性もあります。

相手の時間をいただくことへの感謝や配慮

別の視点として、対峙している相手の「貴重な時間」に対する配慮もあると思います。人の時間は有限でかけがえのないものですので、相手に情報をやみくもに与えることもまた違うと思います。

最近は便利な時代になったので、色々なものを簡単にシェアしやすくなりました。
アウトプットする側はURLを5秒で送るだけでも、それを受け取った側は1時間のMTG録画データを確認することや、YouTubeなどの動画の確認、記事の確認など、インプットの解像度は上がるものの受け取る側の時間をサラリと奪い取るツールや仕組みも増えたと思います。

(宣伝ですが、その点、前職RevCommのビジネススマート電話のMiiTel抜粋共有やしおり機能があり、双方向の負担が減るので素敵なんですよね。)

話逸れましたが、必要な情報だけを端的でシンプルに伝える「相手への思いやり」もとても大事だと思います。

広報活動においては、会社概要資料や記事のURLをメッセージに数個つけて送ることもあると思います。でも、サマリも書かずに「見ておいてください」は、とっても失礼というか相手の時間を食ってしまうので、送り方には工夫が必要ですね。

結局、最低限伝えるべき情報は何か、伝えない情報はどれかを考えることが重要だと思います。

伝えない情報の判断基準

画像3

結局のところ「自社は今後どのようなイメージを勝ち取りたいのか」というゴールイメージの設定に尽きるのかなと思います。+αで見るとすればというか、そもそもそのイメージ策定の時、MVV(ミッション・ビジョン・バリュー)や経営戦略、事業戦略との整合性が取れているかも超重要だと考えています。
そのゴールに近づいていくために必要のない情報は伝えない努力が必要だと思います。

例えば、事業戦略が「今期はエンタープライズ(大手)企業の拡販注力で、導入事例も積極的に発信してこう」となった時、
「導入事例を積極的に出す」だけを切り取ってしまうと、SMB(中小企業)の導入事例をたくさん発信して「中小企業向けのサービス」という認知を形成してしまうかもしれません。これはもはや大事故。

なので、どんなイメージを勝ち取っていきたいのかを決めて、不要な情報は出さないことがとっても重要だと思う日々でした。

広報活動におけるパブリシティ・オウンドでの発信に関わらず、普段の社内チャットコミュニケーションでも情報でも取捨選択を心がけたいと思います

【大事なこと】
・伝えること、伝えないことの整理
・それは相手への思いやり
・どのようなイメージを持ってもらいたいかが判断基準
・これは企業だけではなく個人にも、広報だけでなくさまざまな職種に活用できる考え方

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?