メディア連鎖のきっかけとなった自治体協働PRと売上倍増は今でも一つの成功事例
毛色が違う「パンツ(下着)」で驚かせてすみません(笑)毎月のテレビ露出全体の取材掲載が毎月10本程度などとても楽しい広報を黒子で2015年から3年していました。
はじめに、貴重な経験をさせていただいた前職TOOT代表はじめ同僚の皆、宮崎県日向市の職員の皆さまに今でも感謝の気持ちでいっぱいです!
ふるさと納税返礼品で「パンツ」を出そう!と、ひょっと誕生した企画。
市長との合同記者発表会には、ほぼほぼ九州地域の主要メディア関係者にお越しいただき、全国メディアに伝播。
映画やバラエティ番組出演など数カ月にわたりビッグウェーブが生まれた。
結果、オフィシャルサイトがダウンするほどアクセス数が激増したり、何より良かったのは縫製工場の縫い子さんの求人応募数が増加。
経営課題だった採用課題が解消するきっかけにもなったPRの取り組みについて、代表にOKをもらって今振り返ってみたいと思います。
私が在籍していたのは2016年から2019年の3年間で、入社1ヶ月後すぐの出来事になります。
PRがどこまで入り込むのか、ビッグウェーブを作りたい方の何か気づきとなれば幸いです!
はじめに:TOOTとは
そう、知る人ぞ知るメイドインジャパンの男性下着ブランドです。在籍時、新宿伊勢丹では売り上げNO.1で、世界ではミラノやニューヨークでもショーを行うなど海外進出も実現している高級な百貨店ブランドです。
私は代表の枡野さんにご縁をいただき、広報立ち上げでジョイン。
PRマネージャーとして、EC事業部マネージャーとして3年間とご一緒してきました。枡野さんはカイゼル髭がチャーミングな社長です▼
さて、入社時。各製品ページには「sold out」の文字がズラリ並んでいました。率直の感想は「こんなに売り切れているとは、なんと引きがあるパンツ。順調そう」でした。
しかし、「製品がもっと作れていれば、より多くの人にパンツをお届けできて売り上げも伸びるのに...」とデザイナーやパタンナーはじめ皆が機会損失を起こしていることに悔しい思いをしているのでした。それなら「もっと生産すれば良いだけではないか?」と思うかもしれません。
そこには、大量に作れないTOOTならではの「らしさ」が影響していました
入社後のミッション
・「知る人ぞ知るパンツ」をより多くの方に知っていただくこと
・宮崎県日向市にある縫製工場の採用課題を広報力で解消すること
放送作家でありPRコンサルタントの野呂エイシロウさん(@noronoro093)交え、社長とのPR週次定例で持ち上がったのは、話題になっている「ふるさと納税返礼品」からのメディアアプローチ。
当然企画を実行するには調整・折衝事項がたくさん
様々な社内外のクリアすべきポイントがあり、書き出すと止まらないのですが、今回は広報PRにフォーカスを当てますので、詳細は割愛します。
▲出典:当時のプレスリリース(十屋市長/代表枡野さん/工場代表上原さん)
一企業がドアノックでメディアさんにご連絡しても相手にしてもらえないことは多々あるというか普通だと思います。ただ、自治体さん、ましてや市長が公式の記者発表会を行うとあれば多くのメディアの方が会見に足を運んでくれます。
そこで、この見た目のインパクトが絶大な男性用下着で、かつ世界に打って出ているブランドの誕生が「宮崎県日向市」であり、それをふるさと納税返礼品にして街を活性化しようというのはwin-winな話だったのですね。
(写真:縫製スタッフ募集用に撮影/スタッフさんとの交流/工場長が日向を案内してくれた/野呂さんと企画成功への祝い酒)
PRとして意識していたことと失敗談
・その企画が面白いか判断するのはメディア。PRが縮こまらない
日向市役所を社長と訪問するときは(社長はどうか分かりませんが。いや楽しそうでしたが)、私は不安でした(笑)急にパンツやさんが乗り込んでいって、「ふるさと納税返礼品にしましょう!国内外人気のブランドが日向市で生まれています。大々的に発表しましょう」なんて、成立するのかなと。
でも、想像の100倍良い反応を示してくださった。
「いいですね!看板も立てて、日向をパンツの街にしましょう」なんていってくださる市職員さんまで。これで私のスイッチが一気に入りました。
ちょっと話は逸れますが、宮崎県は幸福度ランキング1位の県で、日向市は6万人シティですが、サーフィンの世界大会が開催されたり、木村拓哉さんや坂口憲二さんなどもサーフィンで訪れる自然あふれる素敵な街です♪
・社員の気持ちを置き去りにしない
あまりにも急ピッチで話が進み、初めての宮崎出張から大忙し。
これは失敗談ですが、私が慌てるあまりに頼み事をした際に「私たち国内事業部の状況ももう少し考えてほしい」と言われてしまいました。
社内での信頼獲得もままならない入社初期からフルギアでいるあまり、ものの進め方の順序を誤り、その説明もおろそかなままに他事業部への負担をかけてしまいました。
知名度が上がることによって日頃の皆の努力が報われるようなPRがしたいと思っていたのに、とそこから協働や皆の思いを大事にするようにしました。
・取材対応の協力依頼をしやすい関係性構築と配慮
PRとしては、直筆でお手紙を出した編集部や、お電話でご紹介したTV局からの取材依頼をいただくと嬉しいですよね。私とても嬉しいです。
できれば即OKしたいですが、社内には生産など複雑に組まれたスケジュールがあります。その繁忙時期に本社や工場の製造工程の撮影などが入ることで、撮影できるようオフィスを綺麗にしたり、来客の時間変更をお願いするなど影響は各所に広がります。それらのしわ寄せを取り返すための残業が発生してしまう可能性は十分にありえます。
だから二つ返事でOKは出さず、場合によっては時期の調整を依頼したり、勇気を持ってお断りすることもありました。
だから、広報にできることは私が担います。協力いただく分こちらも最大限協力します、と。
朝礼での意義や意味の周知や、当日のお知らせやお礼は大事にしてました。
(写真:2019レインボープライドのモデルさんと)
・社員あってこそ成り立つ取材。そこには感謝と配慮をお互いに。
これまで月に1本の取材があるかないかだったのが、月5〜10件のメディア露出になりました。中には、NHKによる15分間の生放送や、WBSでの放送も数回、劇団ひとりさんやのバラエティ番組で実際に履いていただく、松坂桃李さん主演の娼年への製品提供など、かなりインパクトがあるメディア露出が増えました。
それも続きすぎると贅沢なことに、社内の空気感として「また取材対応かよ...」といった、忙しいが故の不穏な空気が流れてしまうときがありました。(これは広報として一番悲しいことでもあります)
そんな時は、前述の「配慮」と「感謝」、「必要であるという認識の共有」が疎かになっていないかを立ち返って振り返りました。
分かりやすく、メディア掲載を全部ファイリングして回覧したり、国内営業部や卸のチームに、当日の掲載をプリントアウトして席にメッセージを添えて置くなどコミュニケーションに重きを置きました。
立ち上げた採用サイトWantedlyは、数千社ある中でTOP10のアクセス数まで登ったこともあり、そういった小さな一つ一つをお知らせしていました。
・経営との認識ズレの確認
TOOTが何より良かったのは、瞬間的な各部門のパツリから即協力してくれなくても、露出した後は一心不乱にその露出まで奮闘している姿を見てくれいて、一緒に掲載を喜んでくれる人が多くいたこと。
それもTOOT製品やブランドをとても愛している社員が多かったからこそなのだと思います。
そして、社長に「こんな形で走っていますが大丈夫ですか?」と聞くと、「十二分!むしろとても助かってます、期待以上!」と安心させてくれるところでした。この経営との認識ズレが一番怖いところです。
目に見えにくい仕事だから、目指すゴールを言語化して確認しないと、ただただ気働きして疲れ果ててしまいます。
ということで、製品の特性上、私は表には出ない黒子の広報として、取材は代表や男性社員にはき心地含め語ってもらっていましたが、常にパンツとLOOK BOOKを持ち歩きPRしていた日々はかけがえのない期間だったと改めて感じるのでした。
ふるさと納税返礼企画PRの結果
【掲載事例】
番外編
横道に逸れますが、エイプリルフールには「パンツ屋をやめてパン屋になりました」を、実際にパンを焼いて写真を撮って発信。
すると、セイコーさんやビームスさん、マウジーさんと並んでWWDなどに載せていただいたり...!PRは本当に面白い。
まとめ
目の前にある事業や各部署から上がってくるネタだけはなく、自ら社内外を巻き込み関与し生み出すことで、PR機会は大きなものへと変化する
(これが、ただ静かに返礼品をつくってサイトに載せているだけでは、このような変化は得られていなかったと思います。)
最後に:TOOTの最新情報も載せちゃう
・TOOT 再始動!Vancouver Fashion Weekへ公式初参加(2021年10月21日)
・EVANGELIONとTOOTのコラボレーション第3弾 発表
・横尾忠則×TOOTコラボ第3弾 発表
・TOOT、「パンツの即配」テスト運用開始
パンツの配送!やだワクワクしてしまう(笑)海外展開やエヴァンゲリオン、世界の芸術家の方とのコラボなどこれからもワクワクを提供してくれることを、OGとして楽しみにしています!
詳しくはTOOTオフィシャルWEBサイトから
超長文を最後までお読みいただき、ありがとうございました!
image:by hoshino_design
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