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唐揚げにレモンかけますか?


この唐突な題名は坂元裕二さんのドラマ、カルテットの第1話で高橋一生が唐揚げにレモンかけますか?っていう聞き方は暴力的だと訴える、わたしの大好きなシーン。ちなみに正解は「レモンありますね」だそう。
相変わらず面倒くさくて愛おしい。

火曜ドラマの大豆田トワ子が終わってしまってから、寂しくて寂しくて坂元裕二脚本のドラマを見返している。
NetflixとSpotifyに加えてFODにまで課金の手を伸ばしてしまった。
サブスク課金は2つまでにしようと思っていたのに、、、

最初は瑛太と満島ひかりの「それでも、生きてゆく」を観て、
その次は尾野真千子とこれまた瑛太の「最高の離婚」を観た。
そして有村架純と高良健吾の「いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう」を観て、きっとどころかボロボロのぐちゃぐちゃに泣いた。
今は真木よう子の「問題のあるレストラン」を観て、二階堂ふみのセリフに全力で頷いている。

就活中の二階堂ふみが企業の面接で、君はどんな人なの?と聞かれたときに、今までの模範解答を全て捨てて堰をきったように話し始めたセリフが心に刺さりすぎて共感のハリケーンだったのでここにも書いとこう。



「私は、、、私は、、、『緑』です。

幼稚園の時に、セーラームーン、、、セーラームーンっていうアニメがありました。園庭でよくその”ごっこ”をしてたんですけど、みんなは大体セーラームーンとか、セーラーマーキュリーとかを選んで、私はいつも最後まで残ったセーラージュピターで、セーラージュピターのイメージは緑でした。色には順番があったんです。女の子が、赤とか、ピンクとか色分けされたものを分ける時、私はいつも緑を選ぶ係でした。選ぶっていうか、選んだフリで緑を取るんです。素直に、赤とかピンクを選べる人が不思議でした。『あなた人生何回目?』って思いました。『私まだ一回目だから、赤が欲しい』って言えない。アニメのセーラームーンは敵と戦ってたけど、女の子たちの”ごっこ”のセーラームーンはセーラームーン同士で戦うんです。大人になって、それを別の言葉で知りました。『女の敵は女だよ』って。私は、始めからそこで負けていたから、他の娘が、ファッションとか恋とか選ぶ時、私は勉強を選びました好きじゃなかったけど残ってたから勉強を選びました。大学に受かって、友達とか家族とかみんな褒めてくれました。だけどそこにはいつも『女の子なのに変わってるよね』っていうニュアンスが付け加えられてました。会社に入って、やりたいことを頑張ろうって思ってたら、テプラの研修があって、どうしてか女子だけテプラの研修があったんですけど、同期の娘が言いました。『男は勝てば女に愛されるけど、女が勝ったら男に愛されなくなる。女は、勝ち負けとか放棄して、男に選ばれて初めて勝利するんだ』あれ!?じゃあ私、一生勝てないじゃんて思いました。だって『緑』だもん私って思いました。赤もピンクも緑も全部黒ければいいのに、黒いセーラームーンがいたら良かったのにって・・・」


このドラマの放送からは5年?6年?ぐらい経っているから、社会でのジェンダーの在り方はガラッと変わっているけど、このセリフを聞いたときに小学校で流行ったプロフィール帳の交換を思い出した。
バインダーに挟まってて、1枚1枚みんなに配って書いてもらうやつ。
たしか裏面の右下あたりに赤とか青とかこのイメージカラーは誰?みたいなコーナーがあって、わたしはだいたい緑か茶色か肌色だったなあと思って完全にその記憶とこのセリフがリンクした(その当時はまだ肌色があった)

素直に赤とかピンクとかを選べる人が不思議でしたっていう気持ちはあってもここまで的確に言葉にできるって本当に凄いな、と。

このドラマに限らず、坂元裕二さんの脚本のドラマはこんなことばっかり。
カルテットなんてノート片手にメモしながら観た。

2年前くらいに「いりちゃん、坂元さんのドラマ絶対好きだと思うから観てみて」とカルテットをおすすめしてくれたたまちゃんに全力で握手したい気持ち。

坂元さんのドラマを観ていると、小さい小さい違和感をちゃんと言葉にすることで人を救う方法もあるんだなと思う。
自分の中だけで、気にして言葉にしていたらストレスでストレスですごく生きづらいかもしれないけれど、ドラマというかたちを通して人に伝えると、ほら、僕もおなじだよ、大丈夫だよ、と言われているようで本当に救われる。

繊細で面倒くさい人が、強くて愛おしい人だと気づかされる。

ドラマの世界だけではなくて、日常生活でもそこに気づけるようになるには一体どれくらいかかるんでしょうか、坂元さん。

全然関係ないけど、BTSの新曲「Permission to Dance」が不意に泣きそうになるくらい素敵だったのでぜひMVで聴いてほしいです。


こんなの泣いちゃうよね



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