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ボッチャで作る地域のつながり

こんにちは。まえゆかです。

3連休の2日を使って長野県の小布施町に行ってきました。
ひょんなきっかけでまちづくりの一端に関わりだして、ちょうど一年が経ちました。
大好きなパラスポーツをライフワークに、障がいのある人の社会とのつながりを作っていけたらいいなぁと思っているので、これまでのことをまとめておきたいなと思います。

小布施町とのご縁

小布施町に初めて訪れたのが2018年11月。

友人が町づくりに関わっていて、周囲の友人の多くが小布施町に遊びに行ってすごくいい!というのを聞いて、私も一度訪れてみたいなと思っていた場所。

栗のハイシーズンを避けて少し肌寒くなる時期に訪れ、小布施に住む友人に案内してもらって、この時は単純に楽しんで東京に帰り、またいつか行きたいなとぼんやり思っていただけ。
まさかその後に10回以上もくることになるなんて全く想像もしていなかった!

小布施から帰った数日後、年明けから開催するワークショップへの参加しないかと友人から連絡がありました。

このワークショップがすべての始まり。

すべての子どもたちが輝く町づくり

ちょうど一年前の三連休、ワークショップの初回で小布施町に滞在していました。

1.2月の週末を使って、小布施町に3回、東京で1回集まって、町の未来についてグループワークをする企画。
奇跡的に参加できる日程で、町づくりの経験は全くないけれど、もともと障害者福祉に関心があった私は何かの経験につながればと思って参加。

ワークショップでは、「すべての子どもたちが輝く町づくり」がテーマの班になりました。

初回の2泊3日では、町づくりのこれまでの流れや町内を視察し、主催側がアサインした町内の関係者にヒアリングをして、課題点をまとめ、次の週のヒアリングの対象者を決め、翌週は課題を踏まえつつヒアリングを更に進め、町の未来についての考えを整理するという流れ。

すべての子どもたちといったときに、支援が少なくなりがちなのが障がい児やグレーゾーンの子や不登校児とか。
そういった支援の必要な子供たちへの支援がどうなっているのかとかを念頭に、より具体的に課題感を把握するべく、町で心理士をされている方、隣の市の療育に関わる方(その方のお子さんも障がいのある方)、中学校の先生などにヒアリングを実施。

その中で一番印象に残ったのが、町内在住の知的障がいのある小学生のご両親でした。

心理士の方のヒアリングでも伺っていたけれど、町内では療育を受けられる体制にはなっていないそう。
保育園では加配の先生がついても専門的に療育に関わった人ではなく、当時は不安がたくさんあるにも関わらず、必要な情報を全く入手できなかったとのこと。

小学校は特別支援学校に進学し、お子さん自体は落ち着いているものの、障がいのある子ども向けの放課後等デイサービスは町内になく、ヒアリング当時もとにかく情報も設備もなくて困っている、という状況でした。

同じ特別支援学校の保護者は別の市に住んでおり、市によって受けられるサービスの違いなどを知り、とにかく何もない、というのが不安で、不満そう。

「町がどうなったらいいなと思いますか?」
と質問すると
「今が大変過ぎて、未来のことなんかわからない」
そう答えられたのです。

どうなってほしいと言われれば、それを達成すればいいのだけど、どうなってほしいも考えられないくらい大変だという状況ならば、まずはこの困り感を解決したい。

療育施設を作ったりすることはできないけれど、居場所づくりのようなことができないかな?
障がいのある子どもたちやその家族が参加できる場作り、ゆくゆくは地域の人との接点を作って、障がいのある子どもたちことを知ってもらうような場作りとか。そのうち、保護者の方が、気軽に愚痴を言える相手を増やせたらいいんじゃないか。

そう思って、企画を練り、最後のプレゼンを迎えました。

プレゼンはコテンパン。それでも…

最後のプレゼンは、町長にしたものと、これまでヒアリングをさせていただいた方と、2回実施。
町長プレゼンはまぁまぁ…かな?
課題感は認識してくださっていたけれどリソースが不足していると考えられていたようで、やってくれるならぜひ、という雰囲気でした。

重要なのはもう一つの方。
プレゼンは、あくまでも私達が仮説を元に進めていたので、自信のない点も多くありました。
なので、この時点では、保護者の方々ではなく障がいのある子どもたちを支援している方々に自分たちの考えていることを伝えました。

でも、資料のまとめ方がいけなかったのか…
地域の人と一緒に遊べる企画としてパラスポーツとかアートとか一緒にやっていくことで、少しずつ町の中に理解者を増やしていきたいって話だったのだけれど…

本当にコテンパンだったのです。。

なんと言われたのかショック過ぎてあんまり覚えていないくらいなのですが、、考えた企画全部がダメで「何かしてほしいとか思ってない」と言われてしまったのです。

うーん・・・と悩みました。
なんとかしたいと思っただけだけど、それすらも迷惑だって言われているような感じで。
でも、保護者の方の困り感は確かにあったと思ったのです。

だからこそ、どうしてもこのままワークショップを終えてサヨナラにはしたくなかったのです。

今思えば、中途半端な気持ちで関わらないでってことだったのかもしれないです。
あの時にビシッとバサッと言われたからこそ、やるからにはしっかり!と思えたような気がします。

ダメ元でもう一度

支援されている方からの評価は散々でしたが、もう一回だけ保護者の方にお会いしたいなと思って、3月にもう一回小布施を訪問して、保護者の方にお話をさせていただく機会を持ちました。

プレゼンをするというよりは、お話を伺って、自分たちにはこんなことができるんじゃないかと思っていますが、いかがですか? という感じ。

保護者の方が安心して関われる場所が作れたらと思っていたので、保護者の方がいらないと言うのならば諦めようと思っていました。

そうしたら色んな話をざっくばらんにできて、地域の人と交流よりもは、まずは町内に安心して遊べる場が欲しいと言う意見をもらえたので、その保護者の方と連携して、障がいのある子どもとその家族を対象に3月末の日曜日の午前中に集まって、ボッチャをやってみよう! という話になったのです。

ボッチャの力

ボッチャはパラリンピック競技で、最近ではお年寄りから高齢者まで幅広く楽しめる競技として広がりを見せています。

小布施町内の方々も、ボッチャという名前は聞いたことがあるけれど、実際にやったことはないという方々ばかり。

また知的障がいのあるお子さんの保護者は、簡単と言えど、自分の子どもには無理なんじゃないか…と思って体験イベント等には参加していなかったよう。

3月の回では、ボッチャはとりあえず用意して、おもちゃで遊んでもいいし、お菓子を食べてもいい。
何かをしなくちゃいけない場ではなくて、のんびり遊べて、保護者の方々ものんびり話せる場にしよう、と言う目的で開催。

でも、これが意外とみんなにハマりまして。

最初の参加者は4家族くらいで、きょうだい児が中心にボッチャを楽しんでいましたが、知的障がいのある子も3歳くらいの幼児も、白いボールに向かって投げる(または前に投げる)という動作はシンプルで、チーム戦にすると面白い感じに盛り上がったのです!

ボッチャは大人にとっても楽しいもので、保護者の方もボッチャをやって白熱したり。
子どもが集中して楽しんでいるので、その間にゆっくりおしゃべりをしたりして。

初回は探り探りではあったけれど、とりあえず事故もなく大きな混乱もなく終了。

1回やってみて安心してもらえたのか、継続してできたらいいね、という話になって、その後約2ヶ月に一回のペースで、ゆるっとボッチャで遊ぶのとおしゃべりスペースを設ける回を開催。

大きな協力者

東京からのボランティアが私を含めて3名くらい、小布施町内のボランティアが3名くらいの体制で、ゆるゆると開催しながらも、友人や保護者から声をかけてもらって、役場の方や民生委員さん、町会議員さん、社協の方などにも顔を出してもらって保護者の方とお話してもらったり、ボッチャを体験してもらったり。

5月の回に参加してくださった福祉課の方が、ボッチャを体験して、これはいい! と言って下さり、高齢者の方の予算でボッチャボールを2セット購入し、社協で予約をすれば町民は誰でも無料で使える体制を作ってくれました。

この時期にちょうど、高品質で安価のボッチャボールセットが販売されたのも大きかった!

ちなみにこちらです。

これまでも2万円台で購入できるものがあったのですが、ボールの品質はあまりよくなくて全然思ったところに転ばないボールばかり。
良い品質のものはセットで7万円くらいしたので気軽に買うのはちょっと厳しかったのですが、品質のいいアポワテックさんからいいボールセットが出るとうわさに聞いて、私は自分用にまず購入しました。

ボッチャはボールがあるだけで、実施するハードルは大きく下がるので、このボールがいいタイミングで販売されて、本当に感謝です。
ボッチャの普及のために考えてくださったアポワテックさんのおかげ。

このボールを使って、町内の方々がボッチャを体験することで障がいのある方への理解も変わるだろうし、いずれは一緒にイベントもできるかも…と期待した瞬間でした。

あとは、ボッチャを指導できる方が町内にできるといいなと思い、ちょうど本業の方でも長野県と一緒にスポーツを通じた共生社会の創造に向けた事業を進めており、県内でボッチャのサポーター(体験会などを実施する方)養成講習の情報を小布施の方にお伝えして参加してもらったり。 

高齢者の方が圧倒的に人数は多いので、小規模自治体だと高齢者福祉の方が先に取り組まれることが多いと思いますが、ボッチャは高齢者にも障がいのある方にもどっちにとってイイものだということを理解して下さり、環境を整えてくださった町の方のおかげで、どんどんとボッチャが町内に広がっていきました。

小布施ボッチャの今 

私は直接関わっていませんが、ボッチャボールを購入後、高齢者施設でボッチャ体験をしたりなど、ボッチャボールは活用されているそう♪
そしてなんと!! 昨年の11月には社協主催のボッチャ大会まで!

私は残念ながら、うつの方で状態が悪くて大会を見にはこれませんでしたが、町内の高齢者や地域の方と一緒に、障がいのある子どもたちもボッチャ大会を楽しめたとのこと(^^)

いずれはできたら…と思っていたイベントが11月に開催されるなんて感謝感激雨あられ状態。

そしてさらなる感激がこちら!!

いつもイベントを開催していたところと同じ場所で大会が実施され、その時ひいた4コートのうち2コートがそのまま残って常設に!!

今朝、会場に入ってこのコートを見た時には、感慨深いものがありました。

1年前に思い描いた関係が

町の中で着実にボッチャは普及しましたが、本来の目的は保護者の方の困り感の解決。

2ヶ月に一回、定期的に開催することで参加者も少しずつ増えていきました。

最初は、「自分の子どもには無理なんじゃないか」と思って参加しなかったご家族も、参加した方から「大丈夫だったよ」と言われて参加してくださったり。
なんならボッチャやらないでお菓子食べて帰るのでも全然いいので、とりあえず来てみたら?と少しずつ口コミで広がり、今日はこれまでの過去最高の参加者数(´°̥̥̥̥̥̥̥̥ω°̥̥̥̥̥̥̥̥`)

こどもが11人(きょうだい児含む)、保護者が7人、ボランティアが3人、役場関係の方が2人の計23人!!!

ボランティアの数は少しずつ少なくなっていますが、外の人の力がなくても自走できるくらいの安定感が出てきました。

子どもたちが学校でボッチャをやりたいと言ってくれたようで、今度クラスでもやるそう!

パラスポーツは障がいのある人もヒーローになれるもの。
まさにそんな場面が作られるのを想像してニヤニヤしちゃいました。笑

イベントが終わって、最初にヒアリングをさせていただいた保護者の方と、ちょうど一年前にお会いしましたねぇ、と当時を懐かしい気持ちで思い出していたら、
「まだ1年かぁ。もっと前から知り合いな気分だね!」
と言っていただいてまたまた嬉しく。。

雑談しながら、保護者の方から、町内に放課後等デイサービスができないかなとか、送迎だけでもできたらなぁとか、今考えていることを町長に伝えたいなぁとか、未来に向かった要望が出てきて、また嬉しく。。

スタートはどうなるかなと思ったし、私は5月にうつ病になって自分がどうなるのか予想ができなかったけれど、この企画だけは楽しく続けることができました。

今後、私にできることって何だろうって考えていくフェーズになるのかなと思いますが、1年の区切りとして長文となりましたがまとめさせていただきました。
ここまで築き上げてきた関係性が、少しずつ横に広がっていくような転換にできたらいいなと思っています。

ここまで読んで、小布施町に興味を持った方、ボッチャをやってみたいなと思った方、お気軽にご連絡ください^^
いつでもボッチャの体験会やります!(会場だけ用意してください)
障がいのある子もない子も、おじいちゃんもおばあちゃんも、もちろん大人も楽しめるスポーツです!

サポートありがとうございます。Twitterではパラスポーツの情報を発信しているのでそちらもフォローしてもらえたら嬉しいです。 https://twitter.com/yukacharin