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価値観を変えたパラアスリートとの出会い(5/100)

こんにちは。まえゆかです。

特別支援学校の教師だった私が、退職して大学院に進学した時のことを前回書きました。

その後、正義感の塊だった私がパラスポーツのボランティアを始め、価値観を揺さぶられる出会いをした時のお話。

パラアスリートと言えばあの人、との出会い

もったいぶる必要はない気がするので、最初に答えを。

この方です。

国枝慎吾選手と私

わ、若い…まぁ10年前なので当然ですね。笑
ちなみにこの時履いてるスニーカーを私は今でも車いすラグビーの試合で履いてることに気づきました。物持ち良すぎるかもしれないw(超余談)

これは千葉にある吉田記念テニスセンターで開催されていた車いすテニスの大会の決勝戦の日。
NPO法人STANDのボランティアとして大会の中継をしに行った時でした。

この時が、初めて生で車いすテニスを観た時でした。
試合は見たことないけれど、ロンドンパラリンピックの報道などで国枝選手のお名前は知っていた私。
当日、国枝選手は確か体調不良で欠場だと聞いて残念だなぁと思っていたのですが、閉会式でフロアに降りていくと目の前に国枝選手がいるではないですか…!!!

さすがに選手にずかずかと話しかける勇気はなかったのですが、国枝選手が目の前にいることに感動していたら、知り合いの方が「写真撮ってくれるか聞いてあげるよ!」と言ってくださり、この1枚をゲットしました。
その節は本当にありがとうございました。。

高らかに宣言する少年

完全なるミーハー心で写真を撮ってもらった私。
キャピキャピ喜んでいたところ、車いすの男の子が近づいてきたのです。

「いつか慎吾君を倒す!」

車いすテニスをやっている少年でした。どうやら国枝選手とも顔見知りのよう。
当時の私は、その力強い宣言にただびっくり。

ボランティア的にパラスポーツに関わってみようと思っていたとはいえ、パラリンピックのすごさを体感したことのなかった私は、趣味の一つとかレジャーの一つとかとしか、パラスポーツを捉えていませんでした。

一般的なスポーツだったら当たり前なのに、車いすに乗っている子が、スポーツで強くなりたいと思うってことすらも、当時の私は想像できていなかったのです。

それまで向き合ってきた子供たちが重度障害だったこともあるかもしれませんが、私自身がすごく偏った目で障がいのある方々のことを考えてしまっていたのです。
当たり前にこどもがスポーツをして、うまくなりたいと思って、強い選手を倒したいと思うことに、びっくりしてしている自分に気づき、情けない気持ちになりました。

車いすテニスを観て、受けた衝撃

国枝選手とあったのは閉会式の後。
それまでの間、なんならボランティア活動開始早々から私はバシバシと刺激を受けていました。
もう、国枝選手とあった時はノックアウト状態ですね。笑

それまでの私は、パラスポーツのイベントなどのお手伝いはしていましたが、トップレベルのパラスポーツの試合は観たことがなかったんです。

当時、誰が出場していたかとか結果はほとんど覚えていないのですが、数多くの選手たちの激戦を観ながら、とてつもなく恥ずかしくなりました。

「私が守ってあげなくちゃ???」

特別支援学校の教員を辞めた時、私は強く思ったはず。
彼らを守ってあげなくちゃと。

でも、目の前で豪快にプレーしている選手たちをみて、気づくのです。

彼らの方が、全然強いってことに!!

私なんかがおこがましい…!!って思っちゃうくらいに、恥ずかしかったのです。

もちろん、段差を乗り越えることや、急な坂道でのフォローなど、”守る”の意味合いによっては、健常者としての私のやるべきことはあると思います。

でも、当時の私が「守らなきゃ」って思っていたのはもうちょっと違うニュアンスだったのです。

無力な存在にしていたのは私

彼らの良さを伸ばしてあげたいと言いながらも、私は社会の枠組みに当てはめて彼らの能力を考えていました。
正直に言えば、彼らの”できること”であっても、健常者よりは低い能力だろうと勝手に思い込んでいたのです。
だからこそ、私は彼らを”守ってあげなきゃ”と強い正義感を持って言ってしまっており、無自覚に彼らが健常者よりも優れた能力を持っている可能性を否定していたのです。

彼らの良さと言っても、とびぬけた才能があることなんて全然想像していませんでした。
興味関心の中でいうと、この子はお絵描きが好き、あの子はちょっと歌が好きそうだな。
その程度の解像度でしかとらえておらず、だからこそ、それに夢中になれる環境を作ってあげなきゃ!!って思っていて、今の社会で大活躍しているヘラルボニーのアーティストとか、辻井伸行さんのような超大人気のピアニストになるなんてことはイメージしていなかったのです。

まったく知らなかったパラスポーツの世界に触れて、私自身が社会の枠組みを狭くとらえて彼らの能力を観てしまっていたことに気づかされました。

用具とルールの工夫で”強み”が生まれる

車いすテニスという競技を見て、専用の車いすに乗って、2バウンドまでOKというルールに変えることで、彼らの能力が発揮されるなんてこと、まったく想像してもいなかったんです。

その場ではニューミックスという健常者と車いすユーザーでペアを組んだダブルスも行われていました。
健常者は通常通りワンバウンド、車いすユーザーはツーバウンドで返球するといったルールで行われる以外はダブルスのルールと基本的には同じのようです。

健常者と障害者の線引きがコート上で融合していて、こんな世界があったとは…!!!

と目から鱗の衝撃を受けていたのです。

志高く大学院の門を叩いたはずが、自分の中にある根深い偏見に気づき恥ずかしくなった一方で、彼らの強さを生み出すパラスポーツ、境界線を融合していくパラスポーツそのものに、ムクムクと興味が湧いてきます。

車いすバスケって、パラ陸上って、パラ水泳って、車いすラグビーって…

どんなスポーツなんだろう!!!!

そこから私のパラスポーツドはまり道がスタートします。

続きはまた今度。

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