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 コロナ禍の長かったマスク生活で子どもたちは表情を見て、相手の気持ちを想像する機会を失い、体同士を触れ合わせて遊ぶ機会も減り、大きな声で話したり笑ったりということも制限される生活をしてきました。そして、対面でのコミュニケーションが制限されることでオンラインでのコミュニケーションが一気に進みました。

 この状況は生活体験、言語習得期であるお子様にとっては大きな影響があったといえるでしょう。例えば、人の気持ちがわからなかったり、子ども同士で会話をする経験が少ないため、子ども同士の会話、相談が難しいという状況があり、クラス運営に課題を感じているという小学校の先生をお声をよく聞きます。

 私は毎年、年長さん(年中11月~年長10月)の受験クラスを担当していますが、もちろん個人差はありますが、圧倒的に生活体験が少ないと感じています。小学校受験は生活体験から学ぶことが多いので、体験が少ないことは、様々な単元の学習へ影響が出てきます。その中でも特に影響が大きいのが”常識”の単元。常識の単元は、大きく分けて、生活習慣や身の回りのことに関する「生活常識」、植物や生き物などに関する「理科的常識」、道徳やマナーなどに関する「社会常識」に分類することができます。これらについてよく出題されるような問題は紙の問題集でも学習できますが、問題集をやる前に、”生活体験”を積むことを意識することをお勧めしています。

 なぜなら、”常識”で学ぶことは知識として知っていることはもちろん大切ですが、”どれだけ多くの生活体験を積んでいるか””日常生活の中で、周囲のものの興味関心を持っているか””考えているか”そして、”親の姿勢”を見ている単元だからです。

 「生活常識」を学ぶのであれば、たくさんお手伝いをしてもらいましょう。お手伝いにはいろいろな目的はあり、決まったお手伝いをすることで責任感を持つことや継続する粘り強さなどを育むと考え、毎日、決まった役割を与えるということをしているご家庭も多いでしょう。もちろんそれは大事なことなので続けるとして、もっと気楽に「手伝って~」と親子で一緒に生活を楽しんでみてはいかがでしょうか。おしゃべりをしながら、その中で物の名前を教えたり、使い方を教えてみたり…実にたくさんのことを学べます。

 「社会常識」を学ぶのであれば、街へ繰り出してみるのもよいでしょう。公共の交通機関の載せ、交通マナーを教えるのもよし、レストランで食事をしながら、食事のマナーを教えるのもよし。あとはテレビのニュースや新聞などもよい話題作りができます。話題のSDGSやダイバーシティも子どもたちにも身近な話であり、一緒にゴミの分別をしながらリサイクルについて話したり、点字ブロックや音付きの信号などからどうしたら、誰もが安心して生活できる街になるのかを考えてみたり。身近なところにたくさんの学ぶのエッセンスが転がっています。

 そして「理科的常識」を学ぶのであれば、植物や虫などの生き物を育ててみる、その植物が育っていく過程を絵にかいてみる、枯れてしまったり、死んでしまうことも大事な経験です。さらに料理をしている時、野菜を切ってみた時の断面を見せたり、よくカットして売られているような野菜、例えばかぼちゃなどはたまには丸玉を買い、もって重さを感じてみたり、硬くて切るのが大変なところを見せたり、工夫次第で教材はいくらでも家にあります。その他、最近では宇宙開発も盛んなので、月や星を眺めてみたり、その変化を親子で話してみたり…もちろん博物館に行ったりすることもよいでしょう。

 ”常識問題”の攻略は、ズバリ”親の創意工夫”にかかってきます。だからといって苦しみながらやる必要はありません。日常生活の中で親子で一緒に楽しみながら、一つひとつの体験を大事にしていくこと。これこそがお子様の心にしっかり根付く常識となっていくわけです。

 生活体験を積み、それをペーパーで確かめる。こんな勉強の仕方をすれば、きっと勉強が楽しくなりますよ。

  

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