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2303_藤城清治美術館

 観覧車、フルート、深い青…親近感のあるモチーフが多く登場し、幻想的で独特の影絵に惚れ惚れする。
 むかーしむかし、舞台美術をやっていたという父に連れられて、銀座の企画展で初めて作品を見たときも、観覧車が描かれたポストカードを買ってもらった。
 そんな藤城清治さんの常設展が那須にあり、またも父の要望で訪れることになった。

 小さい美術館かと思っていたのに、美術館まで続く庭、オリジナルのステンドグラスに彩られたチャペル、コロナの影響で休業中だったがカフェまで併設されており、充実の規模感。
 影絵が中心の展示は中からライトが当てられているので壁が厚く、迷路のような造りになっている。絵本のような連続性のある作品が多く、キャプションを読みながらのんびり迷っていくのがとても楽しい空間だった。
 途中、アトリエを再現した展示や、子供向けのマスコットキャラの「ケロヨン」のグッズ展示もあり、影絵だけではない作品も充分に楽しめる。

 とても印象に残ったのは、2011年の東日本大震災の風景を中心にした作品の数々。写実性が抜群に高い影絵の中で、小人が寄り添い、鳩が希望を運び、生命の強さをとても感じる作品だった。

 当の父は、ヴァイオリンの絵に喜び、ケロヨンを語り、とてもご満悦だった。
 新しく買ってもらった観覧車モチーフのポストカードも、大事に家に飾ってある。

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