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おつかれさま、の魔法

金曜日、先に備えて食料を買いに出た。個人経営のパン屋さんで食パンを買いお会計が終わった後、お店の方に「本当大変なことになりましたよねえ、お仕事とか生活とか大丈夫ですか?」と声をかけられた。50歳前後くらいだろうか、目元を彩るブルーのアイシャドウが似合う、女性の方。

私の会社は在宅勤務もできるし、こうしてお店もあけてもらっているから今のところ生活はできていますが不安ですね、と返したら「スーパーとか物なくなってそうですよね、今までの経緯でみんなこうなること(物がなくなること)わかってますもんね〜」と笑っていた。

この土日お店は開けるのですか、と尋ねたら「家もお店のすぐそばだし安心だから、開けるわ」とのこと。最後に「本当に大変な毎日だけど、頑張ってね、おつかれさま」と私がお店を出る最後の最後まで、声をかけてくださった。

あーこんな時に、余裕がない時に、こんなに見ず知らずの他人に私は優しくできるかなぁ。嬉しいなぁ。優しいなぁ。

ぽかぽかした気持ちでお店を後にした。「おつかれさま」の魔法をかけてもらった私の足取りは軽やかだ。

パンを買い足す時にはまたあのお店に行こう。駅の向かい側の、笑顔の店員さんがいる、小さなパン屋さんに。

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