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J.S.バッハ 無伴奏パルティータのこと

令和6年6月6日

さて。本日は現在取り組んでいるJ.S.バッハの「無伴奏フルートのためのパルティータ イ短調」(BWV1013)について、現時点で私が感じていることや気がついたことなどについてお話し致します。

最初にお断りしておきますが、私は音楽大学等でフルートの専門教育を受けていないので、バロック音楽についてアカデミックな知識を持ち合わせていません。ですので、今、少しずつそれを書籍で補っているところですが、全く勉強が追いついていない状態ですので、アカデミックなお話は全くできませんので予めご了承いただきますよう何卒よろしくお願い申し上げます。

では、本題に入りましょう。

現在、この曲のAllemandeの前半部分(繰り返しを経た後、練習番号No.24まで)を重点的に練習しているのですが、この部分を何度も練習するたびに自分の演奏技術が丸裸にされるので、「まだまだだな」と自分を戒める日々です。だんだん、褒めてくださる方が増えているのは非常にありがたいことでもあり、励みになるのですが、これに乗じて自分の問題点を見過ごすと痛い目に遭いますので、こうしてバッハに取り組んで自分の問題点が明らかになるのは、非常に良い機会だと考えています。

J.S.バッハの「無伴奏フルートのためのパルティータ」に取り組んでいて思うのは、とにかく「空気感」が重要だということ。「自分からどんな空気を発するか」そして「自分がどんな空気を纏うか」。ここをもっとしっかり自分なりの形をつくらないと、演奏会の会場の空気を操ることができないんですよね。

なぜ、そんなに空気が重要かというと、この曲は「無伴奏」ですから、最初の1音で会場の空気を変えなくてはならないと思うのです。例えば、優れた役者さんというのは、その場に現れただけで空気を変える力があると言われています。演奏家も然りで、優れた演奏家は最初の1音で場の空気を変え、お客様の集中を集めるんですよね。ですので、そのためにも「空気感」を意識した鍛錬は必要ではないかと私は思っています。

その空気感に必要な要素は何かというと、(私なりに考えた事ですが)ブレス、間、スピードの緩急、音質、姿勢、精神状態…このようなものに気を配ることが重要なのではないかと思っています。バッハは基礎練習曲とおっしゃる方もいるのですが、私はとても基礎練習だとは思えません。単純に指の訓練と考えればそうなのかもしれないですが、楽曲を仕上げる上で必要な要素が多岐に渡っているので、生半可な気持ちで演奏するとハリボテかどうかがバレてしまうんですよね。特に無伴奏曲というのは、そういうものだと思うのです。何も頼るものがなく、素の自分が出てしまうものなので。

以前、N響の主席フルート奏者 神田寛明さんが、Twitterでおっしゃっておられたのですが、神田さんのお師匠様である金昌国さんの言葉で「モーツァルトは美しい山、バッハははるかに高い山(ちょっと言葉が違うかもしれませんが、高く聳え立つ山というニュアンスで表現されておられたように記憶しております)」と仰っておられたということを書いていらしたのですが、今、まさに…そのバッハの崇高な高さを実感しております。

確かに、繰り返し練習することも楽しいのですが、楽しいだけでは済まないのです。繰り返すたびに発見があり、まさに沼にハマった状態になっております。それもまた楽しい事ですが、まだ着地点が見えておりません。

これはまだまだ鍛錬が足りないということと、もっとバッハについて勉強が必要だという事でしょう。単純に楽譜通りソツなく吹けるというだけでは終わることができないのが、J.S.バッハの楽曲の難しさなのではないかと思います。

ちなみに、現在取り組んでいるAllemandeとは「踊り、舞踏」という意味だそうですが、直感的に私が「能楽師の方の舞と共演したいな」と思いついたのは、あながち間違いではないんだなと思いました。

いつか必ずそのような機会が持てるよう、日々精進いたします。

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