見出し画像

狂言「やっとな会」へお伺いしました

令和6年4月29日

昨日は能楽堂で狂言と落語を拝見してきました。
実は、私は少しだけ狂言を習ったことがありまして(といっても、同じ先生のワークショップに何度かお伺いして教えていただいておりました)、その先生が主催する狂言の公演にお伺いしました。

毎年工夫が凝らされていて毎回とても楽しい公演なのですが、今回は今までとは違う雰囲気の公演でした。と言いますのも、なんと!落語が2番入っているという。主催した先生と落語家さんとのご縁で実現したとのことですが、私としては初めて落語を拝見することができ、とても貴重な経験となりました。「落語もいいな」なんて思えた、自分の枠を広げていただいたような素敵な機会でした。貴重な機会を下さった深田先生に感謝です。

さて。感想ですけれども、#深田博治 (ふかた ひろはる)先生の解説がとても楽しくて分かりやすかったので、狂言も落語も内容がスッと頭にはいってきました。能楽(能と狂言の総称)の公演では解説付きのものがありますので、初心者の方は解説がある公演をご覧になることをオススメします。

小舞「鮒(ふな)」は、日曜劇場「アンチヒーロー」でお馴染みの野村萬斎さん @mansai.nomura.official が舞と謡を披露しました。萬斎さんの小舞は初めて拝見しましたが、(前評判通り)キレが良いだけでなく、立ち姿も所作も美しく、また謡の声に至るまで細部に目が行き届いていて、とても素晴らしかったです。鮒の怒りから目出たく終えるところまで、じっくり味わうことができました。地謡の方々もすごくパワーアップした印象。声の響きに豊かさが加わった感じで、厚みを感じる地謡でした。なんだか万作の会のお弟子さんたちが更に磨かれていたことに、ジーンとしてしまいました。

狂言「柑子(こうじ)」は、狂言の演目の中で私が好きな曲の一つ。そして、特に野村万作さん(人間国宝。萬斎さんのお父様)の演じる「柑子」が最高に好きなのです。今までは配信などで拝見していたのですが、今回、初めて生で拝見することができて、とても嬉しかったです。野村裕基くん(萬斎さんのご子息)のアドも絶妙でした。間合いの取り方もすごく心地よかったです。声にも厚みが出て、身体も安定感が更に増したように感じました。拝見する毎に成長を感じることができるので、若い方の演技を拝見することもとても勉強になります。

万作さんの芸は、細かいところにものすごく気配りができている感じで、発声も所作も立ち姿も本当に素晴らしかったです。しかも「気配りしていることを感じさせない」というのが、本当に素晴らしいところですね。まるで滑した革のような柔軟さと鍛錬による艶がでている感じでした。一連の動きから台詞までが完成されていて、本当に素晴らしかったです。今後も万作さんの至芸から多くを学びたく存じます。

休憩を挟んでから落語へ。桂空治さんの「やかん」で、まさか「扇の的」(講談で出てくる奈須与一が扇の的を射る話)のようなくだりがでてくるとは思わず、そんな話だったの?!と驚きつつもとても笑える内容でした。お若い方なのですけれど、気配りをしつつ且つ出すところは出す芸にとても楽しく拝見することができました。

そして、空治さんのお師匠様の桂文治さんの「大山詣」は、狂言の「六人僧」という曲の物語がベースになっている落語で大曲なのだそうです。文治さんも久しぶりにやったそうですが、そんな年月を感じさせないほど熟達した至芸を拝見することができました。落語家さんの七色の声を体感するには、やはり生で拝見するのが一番良いと思いました。今回、2本も落語を拝見することができ、とても良い経験になりました。いつか、近くで寄席があった場合は、拝見したいなと思っております。

そして最後は狂言「六人僧」。以前から、題名だけは存じておりまして内容を知らずにおりましたものですから、どのような内容か知らなかったのですけれど、事前にパンフレットを拝読したり、深田先生の解説でとても内容が頭に入ってきたのですが、本当に…万作の会の方々の狂言は美しいなと思いました。ただ、笑わせるのではなくて、とにかく美しいことが大事だということで鍛錬をなさっておられる方々なのですが、その美しさが際立つ演目の一つだなと思いました。僧形(髪を剃って坊主にすること)にする方法も色々な工夫があって、本来、いたずらだったものですけれど、こんなに品を感じさせることができるんだなぁと目から鱗が落ちたような思いがいたしました。最後にシテ(主役)の妻がでてくるのですが、これが尼の姿になっていたわけです。その理由がまたなんともいえなくて、「この奥様はとても心が優しい方なのかな」と思いました。その理由にちょっと泣けますね。

今回の公演の演目は全て「目出度い尽くし」で、こちらも福々しい気持ちになりました。たくさん笑って、心も満たされて大満足でした。

こうして、自分とは違うジャンルの舞台を拝見することもとても勉強になりますね。また折を見てこうした舞台を拝見します。

閑話休題
能楽堂のお庭がとても素敵なのです✨

#狂言 
#やっとな会
#深田博治 先生
#万作の会
#野村万作 さん
#野村萬斎 さん
#野村裕基 くん

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?