人生で初めて緑色のゲ○を吐いた話

お久しぶりです。久須田です。
先日、伊藤奏子プロにnoteの紹介記事を書いていただきました。

いや記事数1て。
さすがにサボりすぎたのと、最近の北海道本部のみんなのnote更新に刺激を受けたので、思い立って久須田も更新します。
麻雀プロになるまでの話(前回の続き)はせっせと今執筆中なんですが、今日はnote更新のリハビリがてらタイトルの話について書きたいと思います。
ちなみに、麻雀の話は全く出てきません。

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はじめに

皆さんは、『畸形嚢腫(きけいのうしゅ)』という単語を聞いたことがあるだろうか。
もし、医療関係者ではないのに聞いたことがあるとしたら、その単語を知ったのは漫画「ブラック・ジャック」からではないだろうか。

「ブラック・ジャック」には、畸形嚢腫というワードがタイトルとなっている話がある。双子のうち1人が、腫瘍というかたちで片割れの体内に取り込まれた状態で生まれてきてしまい、その摘出のため奮闘するという話だ。
腫瘍の中身は脳や心臓等人ひとりを構成するに足るもので、それを組み立てて作られたのがピノコというキャラクターだ。

それと同様のものがなんと、久須田の体内にもあったのだ。
発症率は5%くらいらしいので(インターネット調べ)、然程珍しいものでもないらしい。
勿論、漫画のように腫瘍の中に脳や心臓が入っているなんてことはなかった。人と比較したことがないので、大きいのか小さいのかよくわからないその腫瘍の中には、髪の毛や小さい歯が入っていた。術後見せてもらいしげしげと眺めた記憶がある。
「後で写真を撮らせてください」と言ったが聞き入れてもらえることはなく、いつの間にか検査に回されてしまっていた。

発見

突然の発熱と盛大なリバース(通常色)。体が丈夫な方ではないので発熱はよくあることだったが、これは様子がおかしいと胃腸内科に駆け込んだ。
長い長い待ち時間を経てまず診察、それから一通り検査をしてまた診察をするということで、具合の悪い体を引きずりながら、検査室や処置室と待合室を行ったり来たりする。
最後に、腹部エコーがあるのでとエコーの検査室に通された時には「楽になりたい…」と思うほどしんどかった。

「エコー撮りまーす」。少し間延びした気だるげな声で言われた。
冷たいジェルを塗ったエコーの機械で、腸の辺り?をグリグリとされる。
ああ、やっと長かった旅路(診察検査採血検査)も、この検査をして、最後にお医者さんに会えば終わりを告げるのだ。早く帰って兎に角横になりたい。そう思った時だった。

いきなり検査をする技師の人が増えた。
1人で、「まあいつものエコー検査だわ、ヨユーっしょ」みたいな雰囲気で(偏見)検査してくれていた技師の人が人を呼び、いつの間にか久須田の乗った台の周りに3人の人が居た。
その3人がこぞって「あれ?あれ?」みたいな雰囲気を醸し出しているのである。先ほどの「ヨユーっしょ」は偏見だが、この文章に関しては実際に3人とも「あれ?あれ?」「これは…」「あー…」と声を発していたので偏見ではない。3人とも全力で「あれ?えーと…」感を出していた。

おいおい、嘘だろ。そのヤバいの発見しちゃいましたみたいな態度はもうガンじゃん?????
散々「あれ?えーと…」感を出していた技師たちは突然スン…となって「検査終わったので待合室でお待ちください」と久須田に言った。
恐怖に駆られた久須田はその場で「あの、すみません、ガンなんですか?」と言った(信じてもらえないかもしれないがマジで言った)。
「ガンなんですk」の辺りで食い気味に「診断は医師がしますので、お待ちください」と検査室を出された。もうガンじゃん、こんなの。
久須田はバリバリのガン家系ということもあり、ビビり倒していた。

色々と悪い妄想をしつつ、診察に呼ばれたそこで医師に言われたのは、「胃腸炎『は』大したことないんで、薬飲んで安静にしててください」という台詞だった。
いや胃腸炎も熱だの吐き気だのドチャクソ辛くて大したことあるんだよ。そして『胃腸炎は』ってなんだよ、もう別の病気ありますよって言ってるだろそれ。
とは、弱っていたので言えなかった。結局、その場で言い渡されたのは「胃腸炎は大したことないんだけど、卵巣が異常に大きくなってるから、婦人科で検査してね」ということだけだった。
もしもガンと言われたら?色々なことをシミュレートした。ガンだとしたら、どれくらい進行しているのだろうか。保険には入っていただろうか。
様々なことを考え、最終的に、何をさしおいてもとりあえず周囲の人間には「ガンになっちゃった、ガーン 笑」だけは絶対に言おうと思った。

後日、指定された病院に紹介状を持っていき、そこで悪性ではないようだが腫瘍があることと摘出した方が良いことを聞かされた。懸念していたガン(悪性腫瘍)ではなかったが、腫瘍があると言われたわけだ。

入院と手術

病気がわかったのは、まだ久須田が大学生の頃だ。
何年前か書くのは避けるが、今はすっかり元気に過ごしている。
前述した通り、緊急性のない病気ではあったが、放っておくと大きくなると言われたのと、社会に出たら長期の休暇が取れなそうと思ったので(まさかこんなに時間の融通の利く業界で働くとは知る由も無く)、時間のあるうちにとすぐ手術することを決めた。
メインはその2つの理由だったが、実のところ久須田は『入院と手術』という響きにワクワクしたものも感じていた。物心ついてからこの手術まで、久須田は大きな病気で入院したことがなかったため、入院というものに妙なアコガレめいたものを抱いていた。生死に関わるようなものではないとわかって以来、暢気なものだった。

手術という単語のイメージで、お腹を割かれるのかなぁと身構えていたが、お腹の3箇所に各数cm程度メスを入れるだけだと言われた。
毎日ゴロゴロして、ゲームやって、産婦人科の病院だからかごはんもおいしくて、友達もお見舞いに来てくれるし、手術自体は大したことなさそうだし、入院って最高じゃん!と、手術前の数日間、久須田は調子にノリにノッていた。
手術前日の絶飲食はキツかったが、手術を受ける前から自身の手術を舐め腐っていた。

手術当日。
全身麻酔になるということだったが、久須田は当然全身麻酔も初めてだ。
映画やドラマのフワっとしたイメージで、麻酔というものは口から何か吸わされて、腕から点滴で麻酔薬を入れて穏やかに眠る…みたいな想像をしていた。
麻酔科医「突然ですが腰椎に注射をします」
久須田「おだやかじゃないですね…」
医師からいきなり不穏な事を言われ、久須田は前日までの余裕をすっかり無くしてしまったのだった。腰からって何?初耳なんだが。

あなたの麻酔はどこから?久須田は腰から。
くだらないことを考えているうちに着々と麻酔の準備は進められ、久須田は腰に針をブッ刺された。
この記事を書くにあたって、ネットで全身麻酔のことを調べた。腰からする麻酔は、先に皮膚に麻酔をするのでそんなに痛くありません!という記載を見たが、普通に痙攣するほど痛かったし、法が許すなら今すぐ腰から針を抜き取って刺し返してやりたかった。
久須田のあまりの震え具合に大丈夫ですかと慌てる声が聞こえたが、よく考えて。腰に針刺されてる状況、全然大丈夫じゃない。
10秒ゆっくり数を数えると意識がなくなります。そう言われ、こんなに痛いのに寝るわけないだろバカと心の中で毒づいた久須田だったが、5の辺りで意識は闇に包まれた。

そして緑色

目を覚ますと元々入院している個室ではない部屋に居た。
全身麻酔の後だからしばらく回復室にいなければならないようだ。
心配そうな付き添いの母の顔を見た後、まだ意識が朦朧としていたためまたすぐに眠ってしまった。
次に目を覚ました時、摘出した腫瘍を見せてもらいながら手術のことを説明され、じゃあ異常も無いようなので病室に戻りましょうか、となった。

人はなぜ大丈夫ではない時ほど「大丈夫です」と言ってしまうのだろうか。
車椅子かストレッチャーで運びます、と言ってくれた看護師さんに対し、久須田はこの年一番のドヤ顔で、
「全然大丈夫です!!もうめちゃくちゃ元気ですので!!歩いて行けますから!!!」
と言い切った。
めちゃくちゃイキっていた。自分、手術とかしても全然翌日から歩けますんで?

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↑大体こんな顔でイキり倒した後、速足(歩きながらもイキっている)で病室に向かった。
今思えば、手術を受けて何らかの脳内物質が出ていたのかもしれない。手術直後の患者とは思えぬ速さで病室に辿り着いた久須田は、ベッドに腰かけた瞬間、やはり病人とは思えぬ速度で傍らにあったゴミ箱を拾い上げて盛大に吐いた。
ゴミ箱の中を見たら緑色の液体が溜まっていた。こんな液体が久須田の中から出てきたのは初めてだったので、手術を無事終えたというのに死ぬのかなと思った。
普通の吐しゃ物ではなくて胆汁というものらしかったが、大いに驚いた。

おわりに

その後、退院までは特に面白いこともなく、久須田は恙なく入院生活を終えた。
備忘録みたいなものなので、特にまとめも何もないのだが、もし今後検査・入院・手術をする人が居たら言っておきたい。

・検査中にいきなり人が増えたら大病の合図!でも慌てないこと
・腰からの麻酔は激痛なのでネットに騙されないこと
・入院中はイキらず看護師さんのご厚意に甘えること(緑色のゲ〇を吐いてしまうので)

以上だ。

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