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早稲田大学の「村上春樹ライブラリー」でコレをやってる人がいたらそいつは間違いなくハルキストだ(2)

やりそうなこと④ 地下のラウンジでコーヒーを飲み、「心のねじくれた味がする」とつぶやく

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地下には早大生が運営・経営するカフェ「オレンジキャット」が併設されている。
村上氏が、本学在学中に夫婦で経営していたジャズ喫茶「ピーター・キャット」に由来するものだ。当時の村上夫妻の飼い猫「ピーター」が茶トラ猫(オレンジキャット)であったことから、夫妻から提案があり店名が決まった。
ちなみに、早稲田大学構内にはほかにも学生が働いているカフェがあるが、完全に学生だけで経営しているものはほかになく、大学としての初の試みとなっている。資金調達もクラウドファンディングを活用して行ったそう。

ここで出しているのが、オリジナルの「ライブラリーブレンド」。
当初は「春樹ブレンド」と名前を使うことも検討していたが、本人に「自分の名前は出したくないから」と断られたのだとか。村上氏は、どこまでも謙虚なのである。

ブレンドの味は村上氏が好きな深煎りを採用。
このブレンドを飲み、「うん、心のねじくれた味がする」と言っている人がいたらそいつは間違いなくハルキストだ。間違っても、外で「なんとかラテ」をテイクアウトしてここで飲むようなことはしない。

ラウンジ・カフェには「ピーター・キャット」で実際に使用されていたYAMAHAのグランドピアノも置かれている。

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「オレンジキャット」の店員である学生さんが笑顔を向けてくれた。ひとりの方は政経学部で学んでいて、もうひとりの方は文化構想学部で学んでいるとか。

やりそうなこと⑤ 村上氏の書斎で、村上氏の日常を妄想

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ハルキストが歓喜のあまりパン屋を襲いに行きたくなってしまうのが、地下にある「村上さんの書斎」。村上氏の現在の書斎を再現した部屋だ。
これまで、雑誌や特設サイトで、書斎の一部や机上の写真が掲載されたことはあったが、このように再現されるのは史上初。
プレイヤーやアンプ、椅子はまったく同じ製品で、壁面両側のレコード棚には順次、本人から寄贈されるレコードが並ぶそう…!

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さらに、本人より寄贈されたターンテーブルも…!
残念ながら自由に入室することはできないが、ラウンジから室内を見学することが可能。
ラウンジから、にやにやしながら執拗にこの空間を眺めている人がいたら、そいつはハルキストだ。作家の日常を想像しているに違いない。


やりそうなこと⑥ ギャラリーラウンジであらゆるイスに座りまくる

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1階のギャラリーラウンジでは、デビューの1979年から2021年までの村上春樹作品の表紙を展示している。村上氏から寄贈された本で、多くが初版本である。
展示スペースの反対側の壁に据えられた本棚には、日本で刊行された村上氏の著作はもちろん、世界各国さまざまな言語に訳された作品が並ぶ。まさに、村上ワールドに囲まれた一室となっている。
ここで、ハルキストでも初級者がやりがちなのが、初版本や海外に訳された珍しい本に気を取られてしまうこと。
ガチ勢なら、きっとイスに着目するはずなのだ。
その形状に吸い込まれてしまいそうになるのが、異世界へトリップする装置のようなコクーンチェア。まゆに包まれているような安心感と吸音性があり、オープンスペースの中にありながら、少し閉ざされた空間の中で物語と向き合える。ここで『1Q84』を読んでいる少女がいたら「あなたはふかえりですか?」と話しかけてみよう。きっと乗ってくるはずだ。

また、説明書きが少々わかりづらい位置にあるため見逃しがちだが、なんとピーターキャット(千駄ヶ谷店)で実際に使用されていたイスが寄贈されており、誰でも座れるようになっているのである。やたらといろんなイスに座って座り心地を確かめている人がいたら、おそらくハルキストかイス好きだ。

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ピーター・キャット(千駄ヶ谷)で実際に使用されていたイス

(3へ続く)

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