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第百三話:自分の気持ちに気づく

 一度区切りをつけた私のアフリカでの人生ストーリーだったが、またもや少しゴタゴタしているので、少し綴っておこうと思う。


 私が少しずつ自分の心の本音に気づきだしたのは、12月末から1月にかけてだった。12月末に夫と大喧嘩をした。理由は夫の母親と妹を家に呼ぶと前日になって急に言われたこと。出産時に暴言を吐かれてから、全く話をしてこなかったのは夫も知っていて、それなのになんで前もって言ってくれなかったのかというのが喧嘩の原因だった。

 そもそも日本への一時帰国から帰ってきた10月頃くらいからだったか、セックスレス問題が再度ひどくなっていた。そして12月の大喧嘩の際、夫に「お前は愛していると、もう何年も言っていない」と言われた。その言葉をひとりになったときに、ふと考えて気づいてしまった「夫へそもそも愛しているなんて感情持ってないなー、だから当然そんなこと口にしないな」と。でも、このときにはその感情に目をつぶった。

 年が明け、私が見た初夢は元彼ジェームズとデートしている夢だった。そして、自分がここ数年では味わったことがないくらい幸せそうにしていることに驚愕したのだった。実は、昨年新しいお手伝いさん探しの際に何年かぶりに連絡をしていた、そしてお手伝いさんを紹介してもらっていた。連絡を取った際、夫は家出中でジェームズはアメリカにいて、メッセージでだったがプロポーズのような言葉を貰っていた。ただ結果的に私は夫を選んで、別居を解消していたという経緯があった。

 自分で夫のことを愛していないと知ってしまったことに、内心は衝撃だった。その一方で、納得もしていた。夫といると苛々したり、会話していても言ったことにイラッとすることが多くて、ここ何年か一緒にいる時間を楽しいと思えることがなかったからだ。

 ジェームズへの想いを封印して結婚したとはいえ、その想いが未だに消えていなかったことにも気づいてしまった。とはいえ、自分は二度も彼の気持ちを踏みにじっていた。なので、私が密かに心に決めていたことは、「もし私が何かの病で倒れたとしたら、夫に我が儘を言って、死ぬ前には絶対にジェームズに会わせてもらおう。」そう思うことで、気持ちを長いこと封印してきていた。

 その一方で、私のセックスレス問題は悪化していっていた。夜、夫が自分の部屋の明かりを消して、寝室に来る音を聞くだけで、心がざわざわして逃げたくなる衝動と毎日戦っていた。そろそろ寝室に来るかもしれないからと、まだ寝たくないけどベッドで寝てるふりをしたり、とにかくびくびくしていた。

 

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