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支援のカタチ

支援のカタチって色々なものがあると思う。

資金援助や、技術支援、建設による支援に教育に…
資金援助と簡単に言っても、無償資金援助や低利子のソフトローンなどの様々な方法で、政府やNGO、NPO、また村や町などの自治体、コミュニティなど様々な対象への援助ができる。

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先日、ダカール郊外ティエス州のシンジャ近くの村の幼稚園建設現場にお邪魔する機会がありました。
それまで、資金援助に個人的には反対派だったけどここでの滞在でその考え方が少し傾きました。

この村には幼稚園がなく、日本政府機関による資金援助によって建てられた小学校があるのみでした。そこで資金を準備して幼児教育の支援をしようとしていた日本人の方が、いろいろな縁もあってこの村へ資金援助することに決めたそうです。

正直、この村に幼稚園なんて必要なのかなーって思ったり、村のコミュニティが幼稚園の役割を果たせばそれで済むんじゃないかと思ったりしましたし、支援で入った日本人の方も当初はそのように考えていたそうです。ただ、もともと知り合いだった方の出身地であったことや地元の方々の強い要望を受けてここの村に支援をすることにしたそうです。

また、現地のパートナーと相談し工夫した方法で資金援助をしているそうです。現地人の性格を利用し、一気に準備してきた金額を与えるのではなく先の工程と必要な金額を提示し、工程ごとに支援をしているそうです。その方がセネガル人の性格に合っていて、より効率よく、より早く建築が進むとのことでした。というのも一気に金額を投入してしまうと現地作業員たちのモチベーションが上がりきらずに進まなかったり、効率の悪い資金繰りになってしまったりということが懸念されるそうです。比較対象がないので実際にそのような効果があったかはわかりませんが、このように少しでも工夫して支援するというのは大事だと思います。

今までは机上の空論といいますか、現地のことは全く見ることはできずに批判的に”支援”というものを見ていましたが、現地の人たちがはつらつと作業してどんどんと建築が進んでいくのを見ていると方法次第でこんなにも村のためになるんだなぁと感じました。

一方で、もちろん課題もあります。まず建築資材にかかる費用分しか資金が集まっていないせいもあり、建築に携わっている人々はボランティアということ。また費用削減のために土地の開墾やレンガつくりを手作業で行うところからのスタートであり建設には時間を要することが予測されること。そして幼稚園建設後にそこの先生を確保するのが難しいと予想されることです。

資材の準備に関しては、村の建築ノウハウで問題なく進んでいる様子でしたが建築に当たる人の不足は大きい問題であると考えます。建築には先に述べたように村の大人たちがボランティアとして参加していました。それはとても良いことだと思いますが、聞いたところによると彼らは普段学校の先生として働いている人が多いそうです。私が建築現場を見学させていただいたときはちょうど学校の夏休み期間で皆さん仕事がお休みだったこともあり十分な人が集まっていました。では彼らの仕事が再開した後は誰が建築作業に当たるのでしょうか。もちろん教員以外の人も含めてみなでうまく時間を作って作業に当たっていくのでしょうが、少なくともこれまでより作業効率が下がることは目に見えています。

またもう一つ大きな問題が幼稚園の先生の確保です。現状は幼稚園がない状態で子供たちは放置or年上が面倒みるor交代でコミュニティとして面倒を見るという形になっています。もちろん幼稚園ができることは皆の負担軽減につながるしいいことであるのは間違いないのですが誰がそこの教員をやるのでしょうか、そして教員には誰が給与を支払うのでしょうか、また今まで負担をシェアして無料で済んでいたことにお金を払う家庭がどれだけあるのでしょうか。わたしはセネガルの幼稚園事情に詳しくないのですが求人を募ってすぐ集まるものなのでしょうか…課題は山積みです。
一つの解決策として挙げられていたのが日本でインターンを募集して日本人に教師をやってもらうというものでした。一つの案として効果的ではあると思いますが、恒久的な解決策にはなりません。また、資金の問題も今後常に支援漬けにして幼稚園の運営を行うことは本当の意味でその村のためになっていないのではないかと思うので解決はまだ先になりそうです…

ただ、村の人たちが一団となって幼稚園の建設に励む様子や、村のことについてはつらつと話している様子を見ていると未来は明るいのかな、支援も悪くないな、と外部者ながら思いました。
なにより彼らが必要としていて、彼らが喜んでいるというのがいちばんの証拠じゃないか、と思いました。

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持続可能な、自立させるための支援のゴールはいったいどこにあるのか。

中国によるプレステージ型などの新植民地的支援への批判や、各国が取り組もうとしているSDGs、持続可能な開発や自立を促すソフト面での支援などなど。様々な取り組みがありますが正解はいったいどの形なのだろうか。はたまた正解などないのか…いずれにしても途上国の発展は世界各国の利益につながるはずであり、皆で協力して目指していく課題であることに間違いはないはずである。

ひとつだけ大事にしたいのは現地を置き去りにせず、ともに成長しあっていく道を見つけることである、そう強く感じた村滞在だった。

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