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私のミカタ

フォトジェニックな豊田市美術館

初めてプレスの方に混じって取材をさせてもらいました。発信スローなトーシローです。展覧会はこちら

【 交歓するモダン 機能と装飾のポリフォニー 】
Modern synchronized and Stimulated Each Other
The Polyphony of Function and Decoration
豊田市美術館 
2022年6月7日(火)〜9月4日(日)

モダンです。デザインです。モダニズムです。
のっけからワタクシ担当学芸員さんのファッションに目が釘付け。この展覧会が何であるか一発で伝わるプレゼンテーション。スタイルで示す、さすがです。
感心しきりに足を踏み入れた展示室はデザインの海、大海でした。建築、家具、ファッション、インテリア、グラフィック等々あらゆるモダンが時代の波に乗って押し寄せてきたのです。ファッショニスタ学芸員はそれらを淀みなくご説明されるわけで、理解しようものの取材トーシローの頭に入るわけもなく、とりあえずメモる見るリストをチェックするを繰り返したのですが早々にフリーズしてしまいました。

プレスの方々が学芸員の言葉をどこまで書き留めているのか覗き込むこともできずただただ重いバッグを肩にかけ後についていくワタクシ。ん?この重さ…
今頃かというタイミングでiPadに気づき慌てて写真込みでメモることにしました。
(録音すればよかったと気づいたのは終わってから・・・)
こんなワタクシですが、いやこんなワタクシだからこその圧倒的な物量と情報量への対応の仕方を感想込みでご紹介します。

結論から言っちゃいます。時間に余裕を持って【二巡】してください。

一巡目はデザインの何か一つを頼りに展示会場をまわります。
カテゴライズはこの展覧会の趣旨とは違い、真逆とも言える行為ですが、ヨチヨチ歩きの私はそうすることで全体を掴むことができました。
会場を一周したらまたスタート地点に戻ります。
二巡目は時代の流れに沿ってさまざまなジャンルを行ったり来たりします。
「ポリフォニー」とは多声音楽のこと。並行するデザインを楽しみましょう。

例えばこんな感じです。

一巡目は自由に。好みのジャンルで。

「あ、これってアッパッパ?小原糸子のアッパッパだよね」と、NHK大ヒット朝ドラ『カーネーション』を連想。その後、洋服のシルエットの変遷を確かめる。

「このテキスタイルは銘仙みたい。なるほどヨーロッパと日本、SNSもない時代にデザインが行き来してたのね」
「このアクセサリーもこの帽子もVOUGUで見たわ」
この頃日本はモボモガ全盛、今は亡きおばあちゃんの可愛かった自慢を思い出すw 

このように勝手気ままに記憶のあることや知ってることと結びつけ見ていきます。
そうすれば、気負うことなく知らないうちにモダニズムの海で泳いでいることとなるのです。一通りファッションを見てからまた入り口のウィーン工房、1900年初頭へ。


二巡目はテーマに沿って。どのあたりにいるのか確かめて。

「1900年から始まって1930年初頭のモダニズムの道のりを、さまざまな種類のデザインを行ったり来たりすることで確かめるってわけね。」
なるほど、やっと落ち着いて見ることができそうです。

コロマン・モーザーのアームチェア(1903年頃)
市松模様のインパクト!

ウィーン工房かかげる「総合芸術」
建築家のヨーゼフ・ホフマンとコロマン・モーザーと実業家フリッツ・ヴェンドルファーの3名によって設立されたウィーン工房。
暮らしに関わるデザインを一貫したスタイルで統一し機能と装飾の両立を追求(総合芸術)デザイン・制作・販売まで行ったそうで、、、

フランスが危機感を抱いてたって?デコラティブからモダンへ。機能と芸術的な美しさのせめぎ合い。アール・ヌーヴォーからのアール・デコって理解でいいのかな?

ドイツ工作連盟展ポスター
おなじみAEGデザインの扇風機はペーター・ベーレンス

ポールポワレとウィーン工房
脱・コルセット、ポール・ポワレのインテリアショップはAtelier Martine 
この手のショップは現代の女子も大好き。

ガブリエル・シャネルの帽子
この頃のシャネルはイメージとちょっと違う感じ
ラウル・デュフィのスカーフ「連合国」
こ、これは激カワ!

女性作家たちのウィーン工房
第一次世界大戦中は女性の活躍めざましデザイン界。
上野リチさん、やっぱかわいいなぁ。フェリーチェ・リックス゠ウエノというのね。デザイン画も多数ありました。

1918年大正7年、大戦終結。バウハウス設立宣言1919年、シャネルNO.5は1921年。ラプソディー・イン・ブルーは1923年、あ、これはアメリカか。。

日本における生活改善運動(すごいネーミング!)
表現浴衣大売り出しw  
森谷延雄さん・斎藤佳三さん。初耳要チェック。

日本のフラットはヨーロッパに。ヨーロッパのモダンは日本へ。

フランスにおける新旧室内装飾
婦人室、若い女性の部屋、休憩室とかフランス室内装飾は夢のよう。マリー・ローランサン絵付けの椅子、ルネ・ビュトーの裸婦図壺、カミーユ・タローの花瓶とかとかお好きな方はたまらないことでしょう。

装飾と抽象
テキスタイルと抽象画。
『絵画・オブジェ・同時的的スタイル・モード』
ソニア・ドローネー女史、覚えておこう。

ソニア・ドローネー

そういえばこの頃から女性のシルエットが直線的になったのかしらん…

ポール・ポワレのコート
マドレーヌ・バニゾンのクロシェ

それにしても椅子多し。建築家は椅子作りたがるってほんとみたいね…
「そういえば、、友だちの家にマッキントッシュの背もたれ長い椅子があり、コイツやるなぁと思ったのは20代前半。彼女はエステシャンからスタイリスト・ヘアメイクへと変貌をとげた。そして驚きの人生へ…椅子は自身を物語る。今じゃ人の行動までがデザインだわよね。私にとっての身近なデザインはグラフィックだけど」と寄り道しかかるのをグッと堪え眼前の対象に視線を戻す。

バウハウス
どうしても外せないのがこちらバウハウスでしょう。
「デッサウ・バウハウス校舎」「ワシリー・チェア」、書体の「ユニバーサル」などが次々と生み出され…デザイナーのそこのあなた、影響していないとは言わせませんよ〜〜〜

初期バウハウス
え?
デッサウ以降のバウハウス

いちいちが素敵で、素敵に囲まれて暮らせばそりゃおしゃれになりますでしょ白洲さん的なひとり突っ込みで巡るモダニズム界隈。

UAM:フランスにおけるモダンデザインの動向
UAM、現代芸術家連盟
またしても初耳。が、しかし、ル・コルビュジエいたー‼︎ いつか母と見た三重県美の展示を思い出す。写真パラパラを買ったわ。帰宅したら見てみよう…

レペルトワール・ドゥ・グー・モデルヌVol.1〜5 

日本におけるモダンデザインの動向
テキスタイルのサンプルや内装デザイン
1930年は昭和5年、昭和初期。
暮らしがどんどん洗練されていく…都市部の話ですよね。
ふと思い出す。愛知県小牧市にかつてあった「常懐荘」昭和7年築の和洋折衷住宅はとてもモダンだった。マントルピースに外開きの大きな窓。
カーテンレールはヨーロッパから取り寄せたと聞いた。(そうだ、今度はこれをnoteにしよう)

フェリーチェ・リックス=ウエノ(上野リチ)の内装デザイン
『インターナショナル建築』第1巻創刊号(1929年)

別部屋にコレクションの椅子たち
これがまぁ素晴らしく。

椅子好きにはたまらないコレクション
ヨーゼフ・ホフマンの椅子

等々、モダンの交歓を眺め、ひとりごち、余裕をもってポリフォニーを堪能。展覧会のタイトル通り!

“君に薔薇薔薇…という感じ〜感電してfall in Love”

コンセプトスィーツはご覧の通りの洗練されたデザイン。ネーミングが…ww
お洒落をお腹に入れてルンルンランランと帰路、雨上がりの並木道がこれまたお洒落な時間。ご馳走様でした。
そうそう、ミュージアムショップに立ち寄るのをお忘れなく。モダンデザインな関連グッズがたくさんありましたよ。


………本展展示室内、特別に許可を得て撮影しています。6月末現在、ルールに従って撮影可能となりました(追記)

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