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4/1 一青窈(歌手)✖️山田悠史(内科医)

山田「今日は、一青窈さんからのコロナワクチンの疑問について、全力で回答していきたいと思います!」

一青窈「血栓で話題になったアストラゼネカのワクチンとファイザーやモデルナのワクチンは何か違うのですか?」

山田「ファイザーとモデルナのワクチンはとても似ています。ウイルスのとげとげの部分の情報を届けるという点ではアストラゼネカのワクチンも似ているのですが、前者が運び屋さんに油の膜のようなものを使っている一方、後者はウイルスを使っています。」
山田「といっても、チンパンジーの風邪をおこすウイルスで、人間には無害なものです。無害なウイルスを活用して、情報を運んでもらうのです。」


一青窈「インフルエンザワクチンを打ったことはないけどインフルエンザにかかったことがないという話もよく聞きます。そういう話を例にしてワクチンを受ける意味はないという意見も聞きますが、それについてはどうですか。」

山田「そもそもインフルエンザは、流行する年でも感染者は約1000万人。すごい数ですが、全体から見れば、国民の約10%にも満たない。逆に言えば、9割の確率でそもそも感染しない。10年間この確率を掛け算していくとまだ3割の人は感染しない確率が残る。なので、ワクチンを打たなくてもかからない確率はそれなりにあります。でも、これは次の10年を保証するものではないです。また、ワクチンは自分のためだけではなく自分の周りの人を守るため、ひいては社会を守るためという意義もあります。」

山田「もう一つ大切な点は、インフルエンザと比較してもコロナのワクチンは非常に高い有効性が示されていて、90や95%の有効性が知られています。接種を受ければとても高い確率で守ってくれることになります。」

一青窈「逆に、接種を受けてもかかるということは?」

山田「有効性が出始めるのには、少なくとも1回目の接種から2週間程度必要だと知られています。このため、接種から2週間の間は、未接種の方と同様のリスクがあります。その後、2回目接種から1-2週間後、すなわち1回目接種から4-5週間後に、有効性は90や95%という数字にまで到達します。」

山田「この数字はとても高いですが、それでも100%ではありません。稀にかかってしまうことがありえます。ただ、仮に感染してしまったとしても、重症化を防いでくれたり命を守ってくれる効果も期待できます。」


視聴者「本当はワクチンの有効性がしっかり確認されていないという話も聞きます。有効性はどの程度信頼していいのですか?」

山田「ワクチンの有効性は、医療の世界で有効だと言われているあらゆる薬、例えばインフルエンザに対するタミフルや肺炎に対しての抗菌薬などと同じように、全てのステップを踏んで確認をされています。動物実験から始まり、最終的には大人数が参加する臨床試験で、有効で安全だということが確認されて初めて世の中に出てきます。そのようなプロセスを踏んでいないワクチンというのは、日本でも米国でも使われていません。」


視聴者「遺伝子が書き換えられるというのは本当ですか?」

山田「そのような事実はありません。人のDNAはいわば金庫の中に大切に保管されています。mRNAワクチンはその金庫の中に入ることができません。また万が一入れたとしても、その情報を人のDNAに上書きする術も持ち合わせていません。なので、そのような懸念はされていません。」

山田「違う切り口で見れば、私たちは1年に平均2回ほど風邪を引くと知られています。風邪をひいた時にもウイルスベクターワクチンを注射するのと同様、体の中に見知らぬウイルスが入り込んでいますが、風邪をひいた時に遺伝子を書き換えられると心配してきた方はどれぐらいいらっしゃったでしょうか。人間の体は上手にできているのです。」


視聴者「インフルエンザなどのワクチンとコロナのmRNAワクチンはどう違うのですか?」

山田「これまでのワクチンとの違いは、すでに出来上がった焼きそばを届けるか、焼きそばのレシピを届けるかというような違いがあります。焼きそばを作るまでには時間がかかるけれど、レシピを用意するだけなら簡単です。レシピを届けると、人の体は焼きそばを簡単に調理できるのです。最終的には体に焼きそばが届いているという点で、得られる結果はどちらも同じです。ただ、焼きそばを体に準備するまでのプロセスが少し異なるのです。」

一青窈「焼きそば(笑)」

一青窈「とても精巧な偽の情報がたくさんあって信じてしまう気持ちもわかるのですが、どうしてこんなにも偽の情報ばかりひろがってしまうのでしょう。」

山田「先日Facebookでは1000万件の偽情報を削除したという報道もありました。科学的な根拠というのはある程度時間をかけてゆっくり積み上がっていくのに対して、偽情報は創造でいくらでも生み出せる。形を変えてとても魅力的なものや感情に訴えかけやすいものにもできる。一方、科学的なデータは概して地味で曖昧だったりします。このように、「科学」対「偽情報」というのは、科学が数的にも質的にも圧倒的に不利な戦いなのです。この戦いについての劇的な解決策というのは知られておらず、地道なコミュニケーションしかないのでは、と感じています。」

一青窈「ありがとうございました。」


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