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第38回全日本視覚障害者柔道大会

またしても更新が大変遅くなってしまいましたが、5月21日に行われた全日本視覚障害者柔道大会の振り返りです。

今年の全日本は国際大会等の日程により例年の秋に代わって5月の開催となりました。前回が昨年の9月だったので、かなり短い間隔での開催です。そして、まだ来年のことはわかりませんが、おそらく、パリ前最後の全日本となったのではないでしょうか。
つまり、現在代表として国際大会に派遣されていない選手にとってはパリ出場のためには今大会で好成績を残し代表入りすることが必須条件と言えます。

私にとっては今大会はそれほど大きな位置付けではなく、かと言ってパリ1年前のこの状況で負けて良い試合などあるはずもなく、しかしその一方で国際大会で結果が振るわないこともあって試合に対して気乗りもせず、でもでも大きな怪我があるというわけでもないので欠場なんてあり得ないし…
こんな心理状態だったからか、73kg級が前の年と同じメンバーで4人と聞いた時にはやはり少し残念でした。

今大会は悲しいことにエントリーした選手はわずか30名強。実際に試合に出場した選手は30名を切っていました。
年々出場者が減るこの大会。なんとかして競技人口の増加を図らねばならないと改めて思いました。


試合前日に東京入り。今回は筑波からなので朝も時間に余裕を持って出発できました。つくば駅から講道館まで1時間と少し。自宅からでも2時間かかっていません。福岡の自宅を出て2時間だとまだ飛行機が出発したかどうかです…笑

体重はそこそこ余裕。この数日で暑さからか少し体重が減っていました。通常時で74kg程度あるとはいえ、それも一生懸命食べ続けての体重。少し食事量が減ったり、消費熱量が増えればすぐに減ってしまいます。
昼食を運動できる程度に抑えつつもしっかり食べ、まずは抽選に向かいます。

抽選会場

抽選の会場に向かいはするものの、申込の段階で抽選自体は大会側に一任しているので、見てるだけ。まぁ見るというほどのものもなければ視力もないので、正しくは聞いてるだけ。

確かに、そんな予感はしていました。どうせ今年もそうだろうと。ええ、そうです。初戦から藤本さんです。
毎度おなじみになってきました。
私が見…いえ、聞いている限り抽選は厳正に行われています。しかし、今回も初戦は藤本さんです。
昨年末の東京国際も、昨年の全日本も、一昨年の全日本も藤本さんと初戦でした。な ぜ な の か…!
毎度最初からヤマが来るのはしんどいものがあります…
2試合目が米田さん、3試合目が加藤さんです。

抽選が終わると調整練習。今回は筑波大の柔道部から学生に1人ついて来てもらいました。大変ありがたいことです。
彼は筑波大の道着を着ていたのですが、そうすると連盟関係の筑波OBから幾度となく声をかけられます。視柔連は筑波卒の関係者がけっこう多いようです。

いつもの如くダラダラと準備運動。体重がかなり余裕だったこともあって、1時間半ほどある時間のうち、4,50分ほどを他の選手との雑談や準備運動で消費してしまいました。まぁ、全日本に来ると毎回こんな感じです。
打ち込み、投げ込みを済ませてとりあえずこんなもんだろうと調整終了。計量は向かいます。
正直余裕とわかっていましたが、軽すぎました。軽すぎて情けないのでここには具体的な数字は書きませんが、1kg以上余裕がありました。良くないですね…

道場に戻ってストレッチ、また雑談。6回の学校道場を使用していましたが、暑い。そりゃ体重も派手に落ちますよ。


翌、大会当日はなんと試合が昼から。全日本の時には毎度なかなか希望の時間に朝食がとれるホテルがなく苦労しているのですが、昼からであれば何も心配ありません。ゆっくりと朝食を摂り、ゆっくりと支度をします。9時半ごろホテルを出て、コンビニなどに寄りつつ10時前には講道館に到着。またしてもダラダラとアップを始めます。

今回の大会にはなんと、寛仁親王妃信子殿下がいらっしゃるということで、日程を含めいつもとは少し違う様子であり、運営側を含め皆気合が入っているようでした。
そんななか、選手宣誓という大役を仰せつかったのが何を隠そうこの私、瀬戸勇次郎であります。2日前に命じられました。直前すぎやしませんか?
いろいろ考えましたが、結局考えることを放棄シンプルイズベスト。定型文を述べるにとどまりました。

これを終えて肩の荷が降りた私。内容を忘れたり途中で噛んだりしないか不安で仕方なかったので、少し力が抜けました。
何より一番噛んではならないと思っていたのは所属名「九星飲料工業株式会社」
今年1月に入社して最初の国内大会。すなわち、九星の道着を着て出場する初めての試合でもありました。そこで会社名を噛んではならぬと細心の注意を払って言い切りました。

開会式の後は「KUNDE柔道プロジェクト」ということで、視覚障害者柔道について、KUNDE柔道についての解説が入りました。これも当日になって知りました。教えておいてよ…私、発案者なのに…
YouTube用に動画を撮影したかったのですが、試合前。それほどピリピリしていないとはいえ、この後試合をするのに呑気に動画撮影などしていては周りからどう思われるか、なにより対戦する選手に失礼な気がするので控えました。
どうせ連盟のライブ配信に映ってるだろうと楽観的に。
しかし後から見返すと映っていない…! これはクレームです。殿下や会場に来てくれた方々だけでなく、ライブ配信を見てくださっている方にも解説をお届けした方が良いでしょうに、しかもKUNDE柔道を振興するというからにはより多くの方々に見てもらわないでどうするのか!
ちょっと残念でした。

解説の後には今回大会で試合が組まれなかった西村選手と晴眼の学生との間でKUNDE柔道で試合が行われました。このような機会をどんどん増やしていけると良いと思います。

さて、試合が始まり、私の1試合目は藤本選手。
毎度おなじみの顔合わせで、毎度おなじみの試合展開。
毎度背負が防がれるので今回は半身の体勢から大内刈を中心に組み立て。藤本さんの巴投にはなるべく付き合わず、寝技も全て拒否。
最終的には釣り手が離れたところを相手の右腕の高い位置に当てて支えながら低い一本背負。滞空時間長めの背負投で一本。藤本さんから担ぎ技で一本を取ったのはこれが初めてでした。
今回はなかなか良い試合の組み立てができたと思います。大内刈を中心に持ってくることで、なかなか効果こそ得られませんが常に攻めの姿勢を保つことができました。相手の技や寝技には付き合わずペースを渡さないことで最後の一本につながったと思います。

2試合目は米田選手。ここでは新たに練習中の技を試してみました。内股。見た目の形こそは綺麗でしたが、非常に強引でタイミングもなんか微妙でした…笑
内股はやはり難しいですが、技の幅を広げていくには必要な技だと思っています。そういう点では今回こうして試合での成功体験を得ることができたのは今後の練習に大きなモチベーションを持たせるのではないでしょうか。

3試合目は加藤選手。この試合のテーマは寝技。到底寝技で取り切れる気はしていませんが、少し積極的に寝技をやってみました。後から加藤さんに聞くと、押さえ込まれる気はまるでしなかったそうですが…
まずは序盤に大内刈で追いながら背負投に変化して横向きに回し技あり。その後幾らか攻防があったところで、加藤さんに偽装攻撃の指導。こうした場面の区切りで仕掛けを行うのが最近のマイブーム(?)で、ここで開始側の背負投で技あり、合わせ一本。
やはり指導が入ったタイミングや映像確認が入った後というのは気持ちが変化することが多く、仕掛けやすいというのはあるかもしれません。かなり効果的ではありますが、読まれないようにだけは気をつけたいですね。


ということで、全3試合を終えて3勝。今年も優勝することができました。
応援いただいた皆様ありがとうございました。

表彰式のプレゼンターはまさかの殿下。賞状、メダルをいただき、握手、そして頑張ってくださいと声までかけていただきました。この上なくありがたいことです。嬉しい限りです。
とても励みになります!
そして、不敬がなかったか本当に心配です…


今回は先日の第38回全日本視覚障害者柔道大会の振り返りでした。
大会後、体調不良、ここにかけないようなゴタゴタ、大学の課題、鹿児島でのKUNDE柔道、再び体調不良などがあり、更新が大きく遅れてしまいました。あっという間に6月が終わってしまいます。7月は複数本の記事をあげられるよう頑張ります!

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