『PORTAS』-extra disc-って? レコード会社担当氏による制作秘話
中田裕二制作担当のテイチク前田です。
短期間での再登場お許しください。
本日はいよいよ『PORTAS』のCD発売日です。CDは、DISC-1が書き下ろし10曲による10THアルバム「PORTAS」、DISC-2が弾き語りライブ「“中田裕二の謡うロマン街道” at 高崎 少林山達磨寺大講堂, 2018年9月11日」の2枚組。いわゆる初回限定盤と通常盤という区分けはなく、この2枚組が通常仕様となっております。太っ腹ですよね(自”社”自賛)。
さらに、弊社テイチクオンライン限定商品として、「PORTAS -extra disc-」(M!DOR!さんデザインによる、素敵な黄色い紙ジャケット入り!)が加わった3枚組の商品もございます。
今回は、この「PORTAS –extra disc-」についてお話しさせていただきます。
まずは、収録内容から。
トラック1から10までは、アルバム「PORTAS」全10曲のインストゥルメンタル・バージョン、すなわち、声の要素を全て抜いた演奏だけのトラックとなります(更にわかりやすく下世話に言うと、「カラオケ」とも言います)。
これまで、中田裕二の作品では、シングル「ただひとつの太陽」の通常盤を除いて、インストゥルメンタル・バージョンを収録することはありませんでした。毎回コンスタントに収録しなければならない程の必要性を感じておりませんでしたし、強いニーズがあったとも思えなかったというのがその理由です。
しかしながら今回は、久々に中田自身が全楽曲のアレンジを手がけたことに加え、彼自身が奏でる音(楽器の演奏や打ち込みなどのプログラミング)の占める割合が多かったこともあり、1曲1曲に込められた楽器の音1つ1つがより鮮明に浮かび上がることでみえてくるアンサンブルの妙を堪能していただきたい!という、制作過程を見守ってきたスタッフとしての想いから、全トラックのインストゥルメンタル・バージョン収録に踏み切りました。
また、CDのブックレットには、曲ごとに誰がどんな楽器を演奏しているかのクレジットが記載されております。それを見ながら、「普段ライブで見ている○○さんの音はこういう音なんだー」とか、「このギターソロは裕二が弾いているんだ!」などなど、特定の楽器の音に耳を傾けて聴いてみるのも楽しいかもしれません。もちろん、普通にカラオケとして歌っていただくことも大歓迎です。
そして、このextra discのもうひとつのウリは、「ゼロ - Isolated vocal track -」「君が為に (album version) - Isolated vocal track -」です。”-Isolated vocal track-”という、少々難しい表記になっていますが、わかりやすく言うと、ヴォーカルのみを抜き出したトラックになります。
皆様にとってはあまり馴染みのない類の音源かと思いますが、これを収録しようと思った経緯について、少し詳しく書かせていただきます。
突然ですが、私はDAVID BOWIEの大ファンで、常に好きなアーティストの10位以内にランク・インしています。そのDAVID BOWIEの代表曲「STARMAN」のヴォーカルのみのトラックが数年前、突如ネット上に公開され、ファンの間で大きな話題となりました。
当時、それを聴いた私は、「なんてセクシーで惹きつけられる歌声なんだ!」と強く感銘を受けました。同曲のヴォーカルの好きだった部分(具体的には1コーラス目Aメロの"Some rock’n roll ‘lotta soul, he said"のあたりとか)が、更に鳥肌が立つほど好きに感じられるようになり、楽曲自体を聴き返しても、カッコ良いなと思っていた部分がさらにカッコ良く聴こえるようになり、改めて“歌力”というものを思い知らされる経験をしました。
そんな経緯もあって、私が担当になって以来、いつか中田裕二の声で実現してみたい!という高まった気持ちを、「ちょっと恥ずかしい」と嫌がる本人(笑)にぶつけ、今回晴れて皆様にお届けできる運びとなりました。
「ゼロ」ではサビのハーモニーの美しさや抑揚の緊張感が、「君が為に」ではヴォーカルの艶、語尾の色気や切なさが。そして2曲とも、ドキッ!とさせられるような息遣いまでもが堪能できますので、何をいまさら!とファンのみなさまにお叱りを受けそうですが(・・汗)、この機会にたっぷりと中田裕二の“声”の魅力にハマってください!
ちなみに、こちらの2曲は、オリジナル音源からヴォーカルのみを抜き出したトラックですので、イントロや間奏、エンディングなど、元々演奏のみの部分は無音のままになっており、曲のアタマから歌い始めまでの数秒の無音を経てからヴォーカルが登場します。決して収録ミスではございませんので、ご安心ください。
トラックダウン(レコーディング最終段階の作業)の時に、歌のバランスを何度もチェックし、大きくしたり、小さくしたりを繰り返しながら、最適なバランスで楽曲を仕上げている我々が言うのもなんですが、マニアックな楽しみ方としまして、「ゼロ」と「君が為に」の”Instrumental”と”Isolated vocal track”をパソコンなどに取り込んでから、どちらか一方をCDで、もう一方をパソコンで同時に鳴らしてヴォリューム調整することでお好みのバランスで聴くことができますので、是非個人の範疇(?)でお楽しみください。
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