<ラグビー>2024年シーズン(6月第二週)
(どうでもよい「話の枕」です。関心ない方は飛ばしてお読みください。)
今は違っているかも知れないが、1980年代の頃のサモア人の大好物は魚の缶詰だったと聞いたことがある。もちろん、南太平洋系住民としてサモア人の主食はタロイモだが、周囲を海に囲まれているため多くの魚が捕れる。しかし、魚を取ってから日本のように生の刺身で食べるのではなく、(熱した石による)蒸し焼き・(BBQの)焼き・油で揚げる・煮る(スープ)の調理法では、どうしても固い頭や骨は食べられない。ところが、水煮した缶詰では、(頭が入っていることは少ないが)頭も骨も柔らかくなっているのでみんな食べられる。しかも、頭と骨は旨い。
例えば、川魚になるが、どじょう(どぜう)がそうだ。妻に言わせると「昔実家で飼っていた鴨の餌」ということになるが、東京下町の庶民にはなじみの味で、だいたい鍋にして食べる。この時「通」は、「丸」といって頭・骨・内臓が入ったままを食べている(初心者は、「抜き」と言って頭・骨・内臓を取ったものを食べる)が、これが実に旨く、特に(昔の二級レベルの)日本酒によく合う。また、メザシがなぜ旨いかと言えば、頭も骨も食べられるからで、小ぶりなイワシやアジなら、十分に塩焼きをすれば、頭から骨そして内臓まで全て食べられて、とても旨い。
こうしたグルメとは縁遠い庶民的な、もっと言えば貧乏人の味方となる食材たちが、落語「目黒のサンマ」の時代から続く究極の美食なのかも知れない。なお、少なくとも健康維持には良いので、定期健康診断前の食事に最適です。
1.スーパーラグビー準々決勝結果
チーフス43-21レッズ
チーフスはオールブラックスが戻り、ジョシュ・イオアネがメンバー外になるなど、潤沢な陣容。一方のレッズは、両PRのアレックス・ホッジマンとジェフェリー・トゥマガアレンは、ともに元オールブラックスというのが珍しい。それだけ人材難なのだろうか。また、トム・ライナーとローソン・クレイトンの若いSOが先発とリザーブになっている。
チーフスは、前半を31-0と圧倒した後、後半もそつなくまとめて完勝した。HOサミソニ・タウケイアホが忠実なサポートからの力強いランニングで2トライを記録した。SOダミアン・マッケンジーとFBショーン・スティーヴンソンが良いプレーをしており、オールブラックス入りを確実にしている。レッズSHテイト・マクダーモットが後半に2トライを記録した。
ハリケーンズ47-20レベルズ
ハリケーンズは、右PRタイレル・ローマックスとSHキャメロン・ロイガード以外はベストメンバー。先週ハットトリックのサレシ・ラヤシが11番WTBに入っているが、13番CTBビリー・プロクターの好調ぶりが注目されている。レベルズは、今シーズンがスーパーラグビーの最後となったが、この試合が最後の試合になりそうだ。ただ、レベルズの選手が他の4チームに分散されれば、来シーズンのオーストラリアチームは確実に強化される。
試合は、前半を14-6とリードしたハリケーンズは、後半も着実に得点していき、レベルズに2トライを返されたものの、最後には完勝してみせた。HOアサフォ・アウムア、12番CTBジョルディ・バレットのオールブラックス二人が大活躍した。準決勝に向けて無難な勝利となった。
ブルーズ36-5ドルア
ブルーズには多くのオールブラックスがメンバー入りしており、万全の体勢で臨んだ。なお、スティーヴン・ペロフェタはオールブラックスのSO候補だが、FBで起用されている。それだけ、ハリー・プランマーがSOで好調なのだろう。一方のドルアは、アウェイだと力が出ない上に、FW戦をやられると弱い。
試合は、前半を21-0と大きくリードしたブルーズは、後半はドルアに1トライを与えたものの、FW戦を中心に一方的に攻め続けて、実力通りに完勝した。11番WTBケイリブ・クラークが2トライを記録した他、SOハリー・プランマーが好リードを見せており、オールブラックス復帰へ猛アピールしている。一方、ドルア14番WTBセレスティノ・ラヴタウマダの55m独走トライは、負けたチームで光ったプレーだった。
ブランビーズ32-16ハイランダーズ
ブランビーズはBKのチームだが、FWも強くモール攻撃が得意。ハイランダーズの弱点はFWなので、ここを突かれると思うが、もしここを耐えられれば、SHファラウ・ファカタヴァが好リードするBKで十分勝てると思った。しかし試合は、ハイランダーズが、前半を17-16と接戦で終えるものの、後半はブランビーズに一方的に得点されてしまい、残念ながらNZチームによるベスト4独占はできなかった。ブランビーズSOノア・ノレシオは良いプレーを継続して見せており、ジョー・シュミットにより再生へ向かうワラビーズへ招集されることが確実となっている。
準決勝の組み合わせと予想は以下の通り。
ブルーズ対ブランビーズ
ブルーズにとって相性が悪いブランビーズだが、FW戦で勝利することがポイントになる。特に、FLダルトン・パパリイとNO.8ホスキンス・ソツツのプレーが注目される。イーデンパーク開催と言うホームの強みを生かして快勝したい。
ハリケーンズ対チーフス
どちらもスーパーラグビーに相応しい楽しいプレーを見せてくれるので、良いゲームを期待したい。チーフスSOダミアン・マッケンジーは、オールブラックスの先発SOがほぼ確定していると思われるが、ハリケーンズで今シーズン貢献しているSOブレット・キャメロンのプレー振りにも注目したい。また、ハリケーンズSHのTJ・ペレナラ対チーフスのコルティス・ラティマー、ハリケーンズFBルーベン・ラヴ対チーフスのショーン・スティーヴンソンなど、オールブラックス入りを賭けた対決が沢山あるのが楽しみだ。
2.イングランドプレミアーシップ決勝結果
ノーザンプトン25-21バース
バースは、22分にレッドカードを出してその後は14人で戦うが、66分のSOフィン・ラッセルのPGで18-21と勝ち越した。しかし、74分にノーザンプトンにトライを取られて、最後に逆転負けした。ノーザンプトンは2014年以来となるプレミアーシップ優勝となった。ノーザンプトンSOフィン・スミスの活躍が目立っており、イングランド代表入りへ猛アピールしている。少なくともジョージ・フォードを抜いて、マーカス・スミスとの先発争いになるのではないか(特に日本戦ではプレーする可能性が高い)。
3.その他のニュースなど
(1)2026年のネイションズチャンピオンシップのカタール開催に異議続出
シックスネーションズとザ・ラグビーチャンピオンシップを併せた10チームに、おそらくフィジーと日本を加えた12チームで、2026年の7月と11月から開催予定のネイションズチャンピオンシップの、最終ラウンドをカタールで開催する方向で進んでいるとザ・テレグラフが報道した。同報道によれば、カタールは開催費用として800万ユーロ(約1360億円)を提供するとのことで、これに対して「カタールは人権問題がある国なので、倫理的に良くない」、「ラグビーの魂を金で売るのか」、「多くのラグビーファンはカタールまで行けない」という反対意見が多方面から続出している。
なお、開催となった場合の会場は、2022年サッカーWCで使われたドーハのものを使用する一方、スポーツイベントと称する三日間のフェスティバルの一部となる予定である。また、カタールの提案はワールドラグビーに提出されているが、その可否についてはシックスネーションズ及びザ・ラグビーチャンピオンシップの主催者組織からの同意を必要とするとのことで、現時点でドーハ開催の可否は決まっていない。
(2)イタリアの11月のテストマッチは、ユベントスのホームで開催
アルゼンチンのゴンサロ・ケサダが、NZのキアラン・クロウリーから監督を引き継いだイタリア代表は、チーム力が急上昇していることに伴い人気も上昇している。そのため、今年11月のテストマッチ3連戦では、サッカーの人気チームであるユベントスのホームとして使用されている、アリアンツ・スタジアムを使用することが決まった。11月は9日に、対アルゼンチン、15日に対ジョージア、23日にメーンイベントとなる対オールブラックスとの対戦が予定されている。
(3)ジョン・ギャラハーの息子がイタリア代表入り
元オールブラックスで1987年RWC優勝メンバーのイングランド人FBジョン・アンソニー・ギャラハーの息子マット(マシュウ・アブラモ・ギャラハー)が、今年のイタリア代表スコッドに選ばれた。父ジョンは、NZ警察に勤務する傍ら、オールブラックス及びウェリントン代表としてプレーした後、1990年にイギリスのリーグラグビークラブであるリーズに高額の契約金で移籍したが、あまり活躍できなかった。その後1995年にラグビーユニオンに戻り、1996年にアイルランドAとしてプレーした後に引退した。
27歳のマットは、母の血統を含めて、イングランド、アイルランド、NZ、イタリアの四ヶ国の代表資格を持っており、2016年のU20イングランド代表にも選ばれた経緯があるが、この度イングランドのバースからイタリアのベネトンへの移籍に伴い、イタリア代表に選ばれた。ポジションは父と同じWTB及びFB。
イタリア代表スコッドには、元オーストラリア・ワラビーズSOで1991年RWCの優勝メンバーだったマイケル・ライナーの長男ルイスが、WTBとして選ばれている他、次男のトムはスーパーラグビーのレッズでSOとしてプレーしており、早晩ワラビーズ入りすると見られている。
(4)エディー・ジョーンズのタイムズ記者との執拗なバトル
エディー・ジョーンズ現日本代表監督は、イングランド代表監督時代に、タイムズ紙のオウウェン・スロット記者と激しいバトルを繰り返したが、この度スロット記者が、過去の経緯を公表した。
それによると、イングランド代表スタッフが、ジョーンズのパワハラにより次々と解任・退任したことについて、スロットは辞めたスタッフにインタビューするなどして激しく非難してきたが、それに対してジョーンズは、スロットの記事は嘘つきであると批判していた。また、スロットのインタビューを受けた時には、「あなたはネガティヴで意地悪な人間だ」「私がこれまで受けてきたインタビューで最悪のものの一つだ」と言ってきたと回想している。
さらに、ジョーンズは2023年初頭にイングランド代表監督を退任して、すぐにオーストラリア代表監督になったが、その後代表コーチの一人であったブラッド・デイヴィスがRWC前に急遽辞めたことについて、スロットは「彼は精神崩壊に近い状態」になっていたと指摘したが、ジョーンズは、「デイヴィスは、仕事に苦労していた。それで挽回するチャンスを与えたが、それができなかった」と述べただけだとスロットは批判している。
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