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広報うちこの特集ができるまで(前編)

皆さん、こんにちは!
4月に異動があり、「元」広報担当者になった兵頭です。10年間は長いようで短く、長かった・・・・・・。その分お世話になった人が増え、感謝の気持ちに溢れています。町民の皆さん、全国の広報担当者の皆さん、読者の皆さん、全ての人に感謝、感謝です。
その気持ちを込めて私のノウハウをお伝えするつもりですが、現役を離れると次第に勘が鈍ってくると思いますし、私の考え方自体が古くなってくると思います。現役担当者の皆さんが、ここで書く内容を参考にして、さらに新しくて住民の皆さんのためになる広報紙が作れるよう願っております。どうぞ私を踏み台にしてください(笑)。

さて、今回は特集ができるまでの流れとポイントをお伝えします。前編です。

10年で100本くらいの特集を作りました。広報制作の伝統と技術をつなぐのが次の使命ですね



◆特集を企画するタイミング

内子町の広報紙の特集は、基本的に年間計画を立てていません。町で取材したときや広報モニターさんなどの「●●のことをもっと知りたい」「こんな特集してほしい」という声から、その都度考えています。
メリットは、タイムリーな特集記事になりやすいこと。それと、皆さんの声に耳を傾けて、その生の思いをアツいまま紙面で届けられることです。
デメリットは準備期間が短くなることですね。毎月の特集記事を、ほぼ一人で作っているときは大変でした。校了してすぐ、「次の特集は何にしよ」って感じです(笑)。


◆特集づくりの基本的な流れ

次に特集作りのざっくりした流れですが、私は以下のように作っていました。基本的な流れと言ってもいいのではと思いますが、どうですかね?

➀ネタ探し ― 何でもOK。気になることや面白いことに出合ったら、特集にならないかなぁといつも考えていました。
②キーパーソン探し ― 町の中でその話題を一番に語れる人は誰ですか?
③資料探し ― 特集を組もうとする事柄について、全国や自分の住む町ではどんな現状があるのか、何か取り組んでいることはあるかなど。あと、特集のキーワードも一緒に探します。
④検証 ― ネタ探しは何でもOKですが、特集に昇華するには検証が必要。行政として特集する意義があるのか、誰に何を何のために伝える特集なのか、意図を明確にするためアウトラインを書いてみます。
⑤骨子作り ― プロットごとに伝えたいことや、紙面でどう表現するかを書き出します。
⑥絵コンテ ― 小さな紙にでもいいので、ざっくりとタイトルや写真、文章などを配置するイメージを膨らまします。同時にどのくらい取材時間が必要かもイメージしていました。

あとは、実際の編集作業で、⑦取材・撮影→⑧原稿作成→⑨レイアウト→⑩校正と続きます。


◆重要ポイントは2つ

ポイントですが、私が特に重要視していたのが②と⑤です。

《1つ目》
②のキーパーソン探しについては、キーパーソンが「いる」というのが特集の大前提。そのキーパーソンの思いが「アツい」ほど、いい特集になる! というのが私の経験です。特集で登場する人たちも、キーパーソンから紹介してもらうことが多いです。「あの人の推薦で」と依頼すると、高確率で積極的に協力していただいて、ほんと有難かったですね。
キーパーソンへのインタビューは、当該広報紙の発行月の1~2カ月前にします。その話はインタビュー記事やテキスト(本文)などで使うこともありますが、一番には骨子づくり。特集の柱を考える重要な話になります。熱量が足りないと思ったら、特集をあきらめることも多々ありました。

キーパーソンの「アツさ」をどうやって紙面で伝えるかが重要

《2つ目》
⑤の骨子は、特集の設計図みたいなもの。これもまた重要です。多分、一連の作業で一番時間がかかります。前任者からは、「何を、何のために、誰に向けて伝えたいのか」を考えることを教わりました。前任者の骨子を見ると、前々任者と「問答」をしている痕跡があり、どんな切り口がいいか、どんな展開が効果的かなどを、徹底的に練る作業をしていたようです。私もその重要性を肌で感じ、最初は書いた骨子を前任者に見せて、一緒に練ってもらうようにしていました。

骨子では、見開きの2ページを1プロットとして、プロットごとに次の要素を考えます。
●タイトル
●小見出し
●大まかな内容
●どんな写真を使うか
●誰に登場してもらうか

広報うちこの実際の骨子は、こんな感じです。

掲載意図がアウトラインです。詳細の①、②は小タイトルになっています

◆技術よりも大切なこと

地元出身の映画監督さんの話を聞いたことがあります。高校生を相手にした簡単な説明でしたが、広報と同じようなプロット作りをしているんだと、感動しました。広報関係の講演でも、広報担当者を映画監督や舞台演出家、料理人に例える人が多いという印象です。
皆さんの話で共通しているのは「相手を思うこと」。その相手は出演してくれる人でもあり、観てくれる・読んでくれる人でもあります。どのように見せ、どのうように読ませば、相手に伝わるか。またキーパーソンをはじめとした出演者の皆さんが喜んでくれるか、どれだけ町の皆さんたちのためになれるかなど――。

骨子作りは相手を思う時間なのです。

相手を思いながらじっくりと練った骨子は、きっと良い取材にもつながります。紙面や編集画面に向き合うのではなく、その向こう側にいる相手と向き合えるか、気持ちを想像できるか、寄り添えるかが、何よりも大切なのではないでしょうか。

では、具体的にどうすればいいのか? 次回・後編は骨子作り~取材・編集まで、実際の紙面を例にお伝えする予定です。

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