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フロー状態になると、なぜ時間感覚がずれるのか ~ヒトは時間をどのように知覚しているのか~

フロー状態という、初めて聞く人にはなんだかよくわからない言葉も「楽しくてあっという間に時間が過ぎ去った経験」とか「気がついたら終わっていたという経験」というような言葉に置き換えると、大体の人が「ああ、そういうことは人生で何回かあったな」と気がついてくれたりする。

時間感覚が早くなったり遅くなったりするということが、一般的な「感覚」としてフロー状態に入ったか、入ってないかを理解する大きな要素であることは間違い無いように思う。

では、なぜフロー状態になると時間感覚がずれるのか、という部分は大きな謎だし、これはどこかで理解しにいかないといけないように思う。

フロー状態が発生しているときの脳内で行われていること

上のチャートを参考に、カヤックを例に考えてみる。
カヤックのスキルが低い人が、例えば、小歩危の激流を下ったとする。その場合、スキルが無いにもかかわらず、挑戦レベルが高いため、チャートでは
左上の「不安」という気持ちになる。

一方で、スキルがある人(横軸で右側=スキルレベルが高い)が、小歩危を下る(縦軸で上側=挑戦レベルが高い)場合、ちょうどフローの領域に入る。

この時、脳内で何が起こっているかを具体的に考える。
まず体の感覚をセンサーという言葉に置きかえる。全身のセンサーから、水圧やバランス、速度、進行方向、荷重のかかり具合など様々な情報が、神経を伝って脳に集まってくることになる。そしてそれは、コンマ秒単位で高速に変化する。熟練者はこういった情報を脳内で瞬時に処理し、適切なアウトプットとして荷重移動やパドルを動かして、行きたい方向へ進むことになる。

この時、脳は処理しきれるギリギリの情報を扱い、処理して、筋肉を動かして、道具を扱うことになる。この状況がフロー状態ということである。つまり脳の処理が飽和寸前まで高まっている状態がフロー状態ではないかと考えている。

上記のカヤックの例で、初心者が不安の状態になってしまうのは、小歩危を下る際には、処理能力が追いつかなくなってしまい、完全に飽和状態になってしまっているのではないかと思う。飽和寸前であれば、「フロー」状態。完全に溢れてしまっている状態だと、「不安」という状況になるのではないかと思う。

時間の知覚が脳のどこの部分で行われているか

下記にリンクを張った参考資料をみると、脳神経科学の世界において、「人はどのように時間を知覚しているのか」という研究はまだまだ進んでいないように思う。

ある学者は、視覚野や聴覚野と違って、時間野はなく、脳全体で考えているといい、ある学者は、視覚野、聴覚野は使用するが、時間の進行とともに、小脳などに移っていくという説を唱えている。

いずれの説でも、重要なことは、時間を司る特定の部分はなく、脳全体を使って時間を知覚している、と語っていることだろうと思う。

カヤックの場合、運動制御を司るのは小脳だが、情報の入力は大脳皮質から入力される。脳内で情報が小脳に受け渡されたあと、脊髄を通して全身の筋肉を動かすということだ。

この時、脳内で非常に多くの処理をし、飽和状態になった場合、時間感覚を保つ脳の機能の優先順位が下がるか、機能しなくなるなど、の状況になった結果、時間感覚が歪むのではないか、と考えている。

脳全体で時間を扱っているため、フロー状態に陥ると感覚が麻痺するのは時間が主なものである、ということもわかる。(聴覚や視覚が麻痺するのではなく)

この話はもう少し具体的に考えていきたい。

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