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『ナラタージュ』の面白さ

僕は基本的には「恋愛小説」というジャンルは手を出してこなかった。

理由は特にない。

今回読むきっかけになったのが、
普段は本を読み込む印象のない妻から「そういえば過去に何度も読んだ本がある」と聞いたからだ。

始めて読むジャンル、ということもあってか登場人物を含む、世界観に馴染むまで全体の2/5程かかってるしまったが、そこからは一気に最後まで読み進める事ができた。

あらすじ
結婚を決めた工藤泉は結婚相手のかたわらで昔の恋人のことを思い出し回想していた。
大学2年生となった泉の元にかつて想いを寄せていた高校の恩師葉山貴司から突然電話がかかってきた。葉山の話によると、高校の演劇部の部員が減少して公演を行うことが難しくなってしまったため、3年生の引退公演を手伝ってくれそうなOB(OG)を探すため思い当たる節に連絡してみたのだという。後日、泉、黒川博文、山田志緒、黒川の友人の小野玲二が演劇部に協力することになり、週に1度高校で稽古をすることが決まり、泉は葉山との距離を詰める。
稽古の回数が進んだある日、泉は小野から交際を申し込まれたが葉山への断ち切れない想いに気づきこれを断る。そして葉山への想いを強めて行くが、葉山が妻と別居中であること、葉山が妻と籍を入れたままにしていることを知りショックを受けオーバードースをしてしまうなど心のバランスを崩してしまう。
演劇部の公演を終えた後、泉は小野に誘われ彼の実家に向かいあらためて交際を申し込まれ、葉山への想いと絶望の狭間で悩みながら葉山への想いを断ち切るためその話を受け入れるも、嫉妬深い小野は泉の手帳などを盗み見し、葉山とのつながりを疑うようになり、2人の関係は小野による強引な性交渉の強要により徐々に破綻してゆく。そして、演劇部の後輩の塚本柚子の自殺騒ぎによって、病院に駆けつけた泉と小野と葉山が鉢合わせしてしまい、その直後の話し合いが決定打となり泉と小野は破局する。
小野と別れた泉は、葉山にすがるが、葉山は別居していた妻が帰って来ることを告げる。そして2人は、極限まで愛し合おうとするも、泉は心の奥底で違和感を感じ、葉山にもう会わないようにしようと提案し葉山もそれを受け入れる。
大学を卒業した泉は会社の同僚と食事をしていた際に同席者から持ち物について尋ねられる。その同席者から葉山の真の想いを伝え聞くこととなる。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8A%E3%83%A9%E3%82%BF%E3%83%BC%E3%82%B8%E3%83%A5?wprov=sfti1

泉(主人公)視点で話しが進むのだが、特に重要な二人の男性陣の行動がとても興味深かった。
→大学生の小野くんと高校教師の葉山先生
どちらも一言では言い表せない、実に人間味のある人物だった。

一見人当たりが良く、優等生の小野くん。
彼の内面にある幼稚な部分、特に所有欲と恋愛感情が混在している、大学生くらいの男性らしい部分が人間味を感じられて興味深い人物だった。

また、葉山先生もマイペースで飄々としているように見えるが、過去の後悔を引きずっている上に、好意を持たれている年下の女性に対しての期待を持たせるような振る舞い。また、そういう行動をしてしまう彼の気持ちに対して、同情に似たような気持ちを抱いた。

こうして文字に書き起こしてみると、
泉(女性)の価値観を通した、二人の男性陣の振る舞いを観察できた事
に僕は「面白さ」を感じたようだ。

今までなんとなく避けていたジャンルを試して見たことはとても有意義な取り組みだった☺️