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つげぐちする犬

Revueニュースレターと同様の内容です


犬は群れの動物というのはどこかで聞いたことがある。
属する群れのなかで、コミュニケーションをとりつつ集団で行動する動物、それが犬だ。
ウチの場合は、犬一匹と人間が二人いる。
ウチの犬は、私たち人間も入れて群れと考えているようだ。

さて、ウチの犬はその群れの中で頂点を目指す野心家なのか、それともリーダーに従って行動するのか。
6年近くウチの犬の行動を観察する限り、リーダーに従ってラクしたい、安心したい性質のように思う。

私のことをリーダーと思っているのか、それとも団長の方がリーダーと思っているのか、よくわからない。
なぜなら時と場所で使い分けているからだ。
しかも狡猾だ。

食餌係は私。
散歩係は団長。

食餌の時間前になると、団長のところへ行き、つげぐちをする犬。
犬(ゆいまるが、食餌時間を忘れているようだ、催促してほしい)
団長「そろそろ、犬にエサやったら?」
犬(それな。腹減ったし、はよ。)

散歩の時間前になると、私のところへやって来て、つげぐちをする犬。
犬(団長が、散歩の時間を忘れているようだ、催促してほしい)
私「そろそろ、散歩に連れて行ったら?」
犬(それな。グズクズしないで準備してよ。)

こんな調子である。
当事者ではない方に
犬(アイツ、サボってまっせ)
と、つげぐちをするのである。

そんなことを、ウチの犬は、どこでどう覚えたのか。
教えていないので、そういう性格としかいいようがない。

ある日、団長が夜に会合に出かけそのまま酒宴となり帰りが遅くなった。
私はいつものように、いつもの時間に先に就寝していた。
日付が変わる時間だろうか、犬が私の元にやって来てしきりと私を起こそうとしている。
面倒なので放っておいたら、前足で私の肩をカリカリと突き始めた。
目をこすりながら、何だようもう、寝ているのに。

犬(あっち、なんか変だから様子見てよ、変なんだってばっ)

しかたない、犬にうながされて、ヨロヨロとリビングに行く。

するとソファでベタッと横になっている団長がいた。
どうやら酩酊して、まだ寒い季節なのに布団もかけずにグッスリ寝ているのである。

あ、これ風邪ひくやつだ、
と思った私は団長をつついて起こす。
冷ややかに
「風邪ひくよ、布団で寝てよ」
と声をかける。

ヌォー、と動きは緩慢だが、団長は自分で起きて寝る支度を始めた。
よし、これで風邪をひかずに済むだろう。

一連の様子をまん丸い目で見ていた犬は、安心したのか自分の寝床に戻っていった。

今回の「つげぐち」はなかなかナイスな犬の行動だ。
当事者以外に「つげぐち」するのはこの場合、正解だ。
突っついても起きそうにもない団長を起こそうとするよりも
突っつけば起きる私を起こした。

賢いと思う事を時々するから犬はあなどれない。
普段は、柴犬なんて何もしないよ、などといっている私だが
この時ばかりは
もしかしたら、ウチの犬、名犬なのかもしれない、
なんて思ったりもする。

私の犬バカがますます進行する。
やはり犬との生活は楽しい。

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