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栄西の喫茶養生記より「桑」について

『喫茶養生記』とは、鎌倉時代に禅僧の栄西上人が宋に留学中に見聞した記録をもとに出版された書籍で、下巻には桑の効能が詳しく書かれています。
鎌倉時代にして、近年の病として飲水病(糖尿病)が取り上げられています。
飲水病には桑の粥、中風には桑の粥、桑の湯、桑を煎じた桶で沐浴、不食にも桑の粥、瘡(皮膚の吹き出物)も桑の粥、桑の湯を服用、脚気には桑を使うとのみ書かれています。
桑の粥は桑の木の枝を小さく裂き、黒豆と煮たのち桑を取り除いて米を加えほぼ一昼夜煮て空腹時に服用するのだそうです。
桑粥を服用することはすべてあらゆる病を治す効能があると書かれています。
桑の煎じ法は、細かく裁断し、火にあぶり乾かし、さらにそれを裂き袋に入れて保存し必要な時に水に入れて煎じて服用するが、乾かさなくても生木のまま煎じても良いとあります。
新しく宋国から渡ってきた医書によると、「桑の木は浮腫み、脚気、肺気、中風、癰木(可能性炎症)他、様々な症状を爽快にし、耳や眼の働きを良くするなどと書かれています。
さら「仙経(道徳の経典)」にはすべての仙薬は桑の木を煎じて飲むことをしなかったら服用しない」と書かれているとも書いてあります。
そして、利用の方法として、桑木を服用する法、桑の木を口に含む法(楊枝のようにして)、桑の木の枕の法、桑の葉を服用する法、椹(桑の実)を服用する法などが書かれています。
これによると近年、桑の葉茶による血糖値のコントロール効果、生活習慣病の予防、桑の実の目の疲労改善や抗酸化作用などが脚光を浴びていますが、中国や日本の鎌倉時代には葉や実よりも枝を多用していたことが窺われます。
日本最古の医学全書「医心方」にも桑について記載があるとのことでしたので、またまとめてご紹介したいと思います。


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