見出し画像

唇を触られながら、生きてるだけで尊いなぁと思う

彼女は寝るとき、私の唇を触る。
かさかさと荒れていてもプルプルしていても。

顔を人に触られるというのは非常にこそばゆいし、
そこそこ不快である。

やだよと言ってそっぽを向いてみても
今度は首に頭を乗せてきたり、頭にお腹を乗せてきたり…

諦めてまた唇を触らせていると
すぅーっと健やかな寝息が聞こえてきた。

あぁ今日もやっと1日が終わったな。



定時。
立て込んでいた仕事をなんとか片付けて
大急ぎで保育園に向かうと、
ニコニコの笑顔でJPOPを踊りながら迎えてくれた。

帰り道は彼女の希望通り30分かけて徒歩で帰る。

今日こそ近道と帰った川沿いの道を
イヤだイヤだと泣いて叫んで今来たばかりの道を逆戻り。

手を繋いで、川に魚がいるか確認して、
満月に近くなった月を見つけて、
抱っこ、歩くを繰り返す。



好き嫌いがはっきりしてきて
主張もどんどん激しくなってきた。

今日は早く帰れるかな、なんて期待をすると
すぐに打ち砕かれる。

正直時間のない中で要求にできるだけ答えるのは
なかなか難しい。疲れる。


でも、いい顔を見せてくれたときは
疲れなんてどこかに吹っ飛んでしまう。
辛いことも嫌なこともどうでもよくなる。


本当に、生きているだけで尊い。

以前は、役に立つ人間でないと存在する意味はない、と(特に自分に対して)思っていた人間が
最近は、自分含めて生きている人全員が、存在が尊いと感じている。

仕事ができなくても
うまく立ち回れなくっても
必要とされなくて悲しくなっても大丈夫。

最近は、そんなことを感じながら日々過ごしている。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?