BRAIN新章 哀の王子と太陽の女神編 EP1「夜明けの世界」

ハァハァハァハァ

なんだこれ。どうなってるんだ。

やめろ。近づくな。触れるな。

ハァハァハァハァハァハァ

ァァまた。僕は。

僕じゃなくなっていくんだ。


EP1「夜明けの世界」

 脳学秘匿室。

ニュースキャスター「では。続いてのニュースです。昨夜、東京都新宿区歌舞伎町で謎の生命体が出現し、暴走する事件が起こりました。
 死者12名、重症者36名となっております。
 謎の生命体は、風鈴会館裏の路地に突如現れた、赤いゲートから出現した模様です。
 ZEX無き現在、警察が総動員で原因追求している。とのことです。」

 ピッ。

脳学校長 冴島「ふむ。やはり。ゲートが開かれてしまっている。」

 ZEX隊員 青龍寺「冴島さん。どういうことですか。私が休養している間に、何が?
あの不死鳥がこの学校の教師になれば、こうなることは防げていたのではなかったのですか?」

 冴島「……。誤算じゃった。まさか、乙神の器が絡んでいたとは。
アンシー君はこうなることを分かっていたのであろうか。」

 六波羅「ォイ。ジジイ。あんな熱血野郎が死のうが生きようが、俺は知らねえ。どういうことだ?六波羅部隊まで、てめぇの一存で壊滅したじゃねえか。
 さぞ、不死鳥に甘えていたようだが、
 こんなんじゃ溜まったもんじゃねえぞ。」
 
冴島校長「70年の時を経て、様々な思惑が交差しよった。
 近き日にこの世は滅びる運命。

 ZEXも六波羅もアンシー君も、守りきれなかったのは全て私の責任だ。」

 断罪魔チェイス「まぁ私達が今出来る事を探したとて、ZEXも六波羅隊も、そこの二人しかいない上に、最後の切り札。不死鳥さえもこの世にいない。

 どうすんのよ。世界破滅へのカウントダウンを指くわえて日々生きてくことしかできない?
 今すぐ死んだほうがマシだわ?」

 冴島「赤いゲート。あれは確実に、羅生門が開かれる前兆。そして何者かがBRAINを…
 完全開門にあと、半年といったところか。だがしかし、乙神の器はかなりの痛手を負っているはずじゃ。何故……。」

一同は黙り込む。

 冴島「あの子らには酷だが。
 やらねばならぬ。」

 六波羅「あ?何をするってんだ。まさかあの不死鳥のガキどものことをいってんのか!?あんなヒヨッコ使えるわけねぇだろ!」

 冴島「ふむ。確かに。今のままでは。な。」

 チェイス「あら?じゃあ何か考えがお有りで?」

 冴島「丁度、編入生を入れることになってのう。
 私の隠し玉じゃ。
 それに、新しい教師も見つかった。」

 青龍寺「隠し玉……?新しい教師……?」

 チェイス「もしかして…?」

 六波羅「ちっ。胸糞悪いぜ。」

 冴島「魔造人間じゃ。彼らは魔法だけではなく、それぞれ個々に素晴らしい力を持っている。きっと不死鳥の教え子たちの役に立つであろう。
ZEX無き今、彼らの力が必要じゃ。器としての才能。全てにおいて彼らは、間違いなく最強の戦士になる。
 新たなZEXの一員に。」

 青龍寺「なっ、何を言ってるんだ貴方は!!かつて、在学中にZEXになった生徒なんて……ましてや、今の彼らの精神状況を考えろ!!」

冴島「運命とは不思議な程に恐ろしく重なる。
 ただな。
彼らを甘く見ないほうがいいぞ。

 戦闘経験が殆ど無く、それでいて魔法さえ使えない子もおる。

 だが、どうだ?失った命はあれど、彼らは今、世界の脅威に打ち勝ったのじゃ。」

 チェイス「あまりにも、無謀だわ。アホらしい。」

冴島「それに。」

 六波羅「なんだよジジィ。」

冴島が指を鳴らす。

 青龍寺&六波羅&チェイス「!?!?!?」

 冴島「新たなZEXを作り、人命。いや、世界をも守る。それだけじゃない。後継者を探さなければ。」

チェイス「本気かい……?」

 六波羅「ケッ。ふざけやがって。」

 青龍寺「何故……?不死鳥の魔魂が?」

 冴島「彼の強い意志によってなのか、わしにもわからんのじゃ。
 ただ、この不死鳥の魔魂を継ぐ者が居れば…
 必ずや人類の希望の矛になるに違いない。
 」


シン「ガルムの奴どこ行ってんだよ……。」

 あの事件から、既に3ヶ月の時が経っていた。

 僕らクラスメイトは様々な状況を考え、自宅待機を余儀なくされていた。

といっても毎日リモートで座学の授業。

 クラスメイトのみんなは、あの事件が起きてからしばらくは立ち直れる状況じゃなかったけど。

 今はみんな回復してきていて、元気に授業を受けている。

 ただ一つ最近、何故かガルムが帰ってこない。

忘れ物をしたって言って早2ヶ月。



明日は3ヶ月ぶりの学校だ。

こんな時に何してるんだか。

シン「先生…。」

 僕はあの時、何もできなかった。
大切なクラスメイトを傷つけられ、母さん、そしてアンシー先生までも。

 僕は強くならなきゃいけない。

 力があれば、魔法が使えれば。

僕は様々な思いを胸に明日の学校に備えて、眠りについた。

 

 目が覚め、僕は学校に向かった。

 毎日リモートで顔を合わせていたとは云うものの、久しぶりにみんなと会える。

ガラガラガラ

 ポポ「おっはよおー!!久しぶりシンくん!!」
 メルタ「おはよう!久しぶりだね!」

 ことぴ&こっこ「おはよう。」

 せつな「zzzzzzzzzzzz」

 シン「おはよう!みんな!!!」
 
 久しぶりにみんなと会えた。

 みんなあんなことがあったけど、
それぞれが自分の覚悟を背負い、元気に挨拶してくれたのが伝わった。

 ポポ「でもさ、学校始まるって言っても…先生ってどうなるんだろうね…。」

ポポがそう小さく呟く。

 その時。

 ガラララ

教室のドアが開く。

 ???「チャイム鳴ってるぞ。席に付け。」

 静かな声で男は放った。

  一同が席に着く。

 教壇に男が立つ。

 背が高く、赤い瞳に赤い髪。今時の言葉で言うなら、イケメンだ。

 ???「今日から、お前らの担任の

 ガルムだ。よろしく。」

 一同「ぇええええええええええええ!?」

シン「が、が、が、ガルム!?え、え!?人間じゃん!いや、え?ガルムは魔導犬で、え?え?」

 ことぴ「イケメン」

 せつな「zzzzzzz」

 一同(一部を除いて)は唖然としていた。 

ガルム「訳あってこの体だ。そして今、色々と訳有りだ。
 お前らなら分かるだろう。なんとなくは。」

 ガルム「いいか。今日からまた、学校での生活が始まる。
 最初に言っておく。これからお前らの毎日に青春なんてものは無いと思え。」

 一同の顔色が変わる。

 当たり前だと言わんばかりに各々の顔が物語っている。


 あんなことがあったんだ。みんな覚悟を決めている。 
 ガルムはいきなり笑いだした。

ガルム「って。うそうそ!お前ら!そんなに気張るなよ!」

 ガルム「安心したよ。覚悟はしっかりと。って感じの顔してるよお前ら。」

 ガルム「勿論、過酷な試練が待ち受けている。これは事実。だけど、アンシーはそれだけを臨んでたか?」

一同「………………」

ガルム「お前らにはしっかりと青春も味わってもらうぞ〜!
ってことで、その青春の1ページを更に彩らせる新しい仲間を紹介するぜ!!!」


メルタ「新しい仲間……?」

ガルム「入っておいで!!!」

ガラガラ

教室のドアが開き、3人の男女が入ってくる。

ガルム「今日からお前らの仲間になる3人だ!仲良くしろよ!んじゃ、電脳恋から自己紹介よろしく!」


一番先頭を歩いていた華奢な女の子が口を開いた。

電脳恋ヒメカ「はじめまして!電脳恋ヒメカです!え〜っと好きな食べ物は〜

グミ!!!ヒメって呼んでな〜??よろしくねっ♡」

ピンク色の姫カットに大きい瞳。可愛い。

 一同は拍手した。

ポポ(苦手なタイプ…)
メルタ(可愛い子だな〜)

メルタの脳内で呟かれた言葉を察知したかのようにポポがメルタを睨む。

メルタ「あっ、あはははは!よろしくね〜!!」

メルタを先導に皆で拍手した。

ガルム「じゃあ次!!もへじ!」

一同「はっ!?!?!?」

 ヒメカの横に立っている身長の高い男の子。
 顔を白い布で覆い、頭には学生帽を被っている。

 そしてその白い布にはへのへのもへじが描いてある。

への地もへじ「んっじっじっ。への地もへじだっじ。オラァ田舎っぺ大将サァ。趣味はカカシづくりに畑さ!もへじってよんでくれじ。
 よろしくやねん!すいとーよ!だべさ!がばいがばいてやんでぇ!」

全てが謎だし、全てぐちゃぐちゃ。

シン「情報量が…………。」

ことぴ「うっざ……。」

とりあえず一同拍手した。

もへじ「たがやせ〜たがやせ〜」

もへじはくねくねしながらダンスをし始めた。
みんなはガン無視した。

ガルム「じゃあ次!友我!」

そして最後。

 銀髪のウルフカットに綺麗な青い瞳。

 お人形さんみたいだ。

 音霊友我「名前は友我。ゆうが様とよべ。お前らに拒否権は無い。俺様が絶対。以上。」

ポポ(イケメン…!!!!)
メルタがジッとポポを睨む。

 ポポ「あっ、えっと、ゆうがくん!よろしくねー!」
ポポの拍手を先導にみんなが拍手する。

ゆうが「様をつけろって言ったろ。」

 シン(ぁあ……なんだかすごく、騒がしくなる気がする……)

ガルム「んじゃ、空いてる席について!!」

そして編入生の3人が空いてる席についた。

シン(うわ……こっち見てなんか言ってるよ…)

もへじ「きみはさ〜人参と胡瓜、どっちがなんくるないさ〜???」
 最悪だった。最悪。

隣の席についたもへじくんが永遠に話しかけてくる。変な踊りをしながら。

 何を言ってるのかもわかんない。

 ヒメカ「よろしくね?ヒメカ勉強とかわかんな〜いから!優しく教えてね……?メルタ…♡」

 真っ赤に燃え上がったポポがヒメカとメルタの方を睨む。

 メルタ「ぁ、えっと!よろしく!はははは!!」

ポポ「あっの女、呼び捨てにしやがって……!」
小さい声で大きな炎を燃やすポポだった。

ゆうが「てめえ。何寝てんだよ。俺様が横にいるんだぞ。表を上げろ。」

 せつな「zzzzzzzzz」

シン(あっちはっちで大変そうだ……)

ガルム「さぁ!今日入ったこの3人は非常に素晴らしい能力を持っている。きっとみんなを強くする糧にもなってくれるはずだ!ときには競い合いながら!仲良くするように!」

ガルム「そ、し、て、だ。

 みんなに一つサプライズ。」 

ガルムはニヤニヤしながらそう言う。

 一同「?????」

 ガルム「いいよ!入っておいで!!!」

 教室のドアが再び開いた。その瞬間。

一同「ぇっ!!!!!!!!!!!!!!」

そして、その刹那にせつなが起き上がった。


???「相変わらずお前ら。湿気た顔してんなぁ?

久しぶりだな。せつな。」

 せつな「うっうっうっ。ろぉおおおおおおおおおおおんんんんんんん!!!」

まさかだった。

ロンが照れ臭そうに立っている。

 せつなが号泣しながら扉に駆け出す。

 それと同時にみんなも、

一同「ろぉおおおおおおん!!!!」

ロン「んだよお前ら!!!うわっ、やめろ!鼻水ついた!やめろ!やめてくれ!!!」

ガルム「あらあら……」

 ヒメカ「あら。あんなイケメンいたのねっ。どーーーしよ。ヒメカ愛のラビリンスに迷い込んでしまうわ…!!」

 ゆうが「なんか、キャラが………被る………。」

 もへじ「んんんんんっなぁんと!キュッキュッ!お新香は茄子が一番すいとーやねん!」

 何故ロンがここに居るのかってことをガルムが僕らに説明する暇無く、ロンに泣きじゃくりながら、とびっきりの笑顔で飛びつく僕たち。

ガルム「まぁ授業が押してるが、今はこのまんまにしといてやるか。」

こうして騒がしい僕達の新しい学校生活が幕を開けた。

そう。これから更なる悲劇が起こるとも知らずに。




3ヶ月前。東京の山奥小屋。


りほ「ヤム。マンマの様態は?」

ヤムヤム「危ねえところだったな。あと一瞬ポットに入れるのが遅かったら、今頃あの世だ。」

はいてー「だとしても恐ろしい生命力だな。致命傷どころじゃなかったぞ?

おい。お前いつまで寝てんだ。くっか。」

 くっか「っぐ……。てめえはあたしの心配は無ねえのかよ…失せろカス……。」

りほ「大丈夫か。眼の調子はどう?」

 くっか「全然だな……。」

はいてー「なるほどねぇ。ちょいと私も遊びすぎたかの。」

 ヤムヤム「だがしかし、岩手県の街でゲートが開き始めている。
まぁ願ったり叶ったりだな。
 どのみち全ての死にゆく生命は、このポッドに送られてくる。」

 はいてー「まさか奴が動いているのか?まぁいい。死んだと思ったがまさか、あいつがトリガーになってるとは。まぁこちらとしては手間が省けて感謝してもしきれないくらいだ。
あと何人だ?」

 ヤムヤム「ざっと………500万人って所か…?」

奈落一同は静かに考え込む。

小屋の外から声がする。


???「ねえ!兄ちゃん!ここにほんとに時間操作ちゃんいるの?」

???「安心しろ。俺の鼻は最強だ。」

りほ「だれだ……!?」

勢いよく 小屋の扉が開く。

 はいてー「時間操作ちゃん……くっかのことか。」

 奈落一同が構える。

???「おっと。そんなに殺気立たれちゃ困るね。」

 りほ「乙式術 過重圧殺!」

りほが印を結び唱える。

 りほの目の前の空気が歪み始める。そして

圧縮された空気が謎の二人めがけて飛んでいく。

ドォォオン

はいてー「ふんっ。虫の息だな。」

ヤムヤム「いや、嘘だろ……?禁術だぞ今の。こいつら…素手で……。」

はいてー「なにっ…?」

???「なんだこれ。これが禁術なの?笑っちゃうね!?」

???「パンダ。そう云うな。可哀想じゃないか。」
 パンダ「えー。ほんとのことじゃん。でもさ!ほんとにいたね!時間操作のねえちゃん!」

???「ぁあ。だから言ったろ?」

りほ「なんなんだテメェーら。」

???「おっと失礼。名乗るのを忘れていた。」

 レイ「俺はレイ。よろしく。んでこっちのちびは弟のパンダ。」

パンダ「よろっ!!!」

ヤムヤム「聞いたことねえな…新手の魔法使いか…?」

 レイ「いや?魔法なんて物は使ったこともないし乙式なんて意味がわからん。
んー。六波羅って知ってる?知らないか……。」

 くっか「ろくはら………」

 りほ「っ!?六波羅だと……!?」

 レイ「あれ。知ってたんだ。ま。六波羅なんて名前使ってても六波羅流儀は使わないけどね。汚れる。」

 はいてー「私の脳にある知識が確かであるならば。六波羅の息子…?魔法も、六波羅流儀も使わない人間の底にある武を極めた双子が居ると聞いたことがあるが、まさか。お前らが?」

レイ&パンダ「正解!!俺らは六波羅流儀を捨てし者。
六波羅ブラザーズ!!一般人!!です!今からそこにいる時間操作を回収します!」


続く。






 



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