BRAIN 脳学デスゲーム編 EP5 「DOLL」
かつて人を滅ぼし大地を崩し
破壊するために生まれた悲しい人形兵器があった。
無論、人形兵器。人とわかり合えることもない。
ただ、その人形兵器には心があった。
殺戮、この意思を脳に埋め込まれ、その人形兵器は動き続けた。
善悪の判断が無い。いや、分からない。
何が正しく、何が間違いなのか。
人々からすれば、ただの恐ろしい殺戮マシーン。
女。子供なんて、関係ない。
家族、友情、愛、関係ない。
嘆き、憎しみ、関係ない。
人形兵器は自分の、作られたでっちあげの正義を貫いた。
涙を流しながら。
西暦xxx年。
世界の半分が崩れ去り、人口は激減。
そしてある一人の大脳力者によって、人形兵器は無力化され、世界の破滅は事なきを得た。
目録幻想書 84598ページより。
はいてー「古代殺戮兵器………まさか、それがロンだと言うのか。」
ことぴ「許せねえなぁ。何がどうなって。あの伝説とまで言われているトイ・ソルジャーが今こうしてここでうちらと、クラスメイトやってんのかも分かんねえ。」
シン「ロンくん……」
ポポ「…………………………。」
くっか「どうりでおかしいと思ったんだよな。 以前、過去に飛んだ時、トイ・ソルジャーの記憶がどこを探しても見つからなくてね。
まさか、こんな所でお目にかかることになるとは。」
ロンは既にロンの姿では無い。
露出した電力盤やコード、まさしくそれは機械の姿であった。
くっか「んでもって、なんで今この状況、2対1が出来上がってるのかも、お前が現代で動いてるのかも分かった。」
くっか「そこの女。お前、なんかしただろ?」
くっかは笑みと睨みが混ざった表情で刹那に語りかけた。
刹那は少し震えながら声を絞り出した。
刹那「………ロンは、私が小さい頃家の押入れで見つけたの。」
今でも覚えてる。私の家系は、魔法使いが使用する魔法武具を作る工場で。
世界に一つしかないっていうのもあって、
両親はいつも仕事ばかりだった。
自分で言うのもなんだけど、裕福な生活をさせてもらってた。
だけどやっぱり寂しかった。
周りの家族とは違うのは分かる。
それでもやっぱり、時折心がギュってなるんだ。
そんなある日私は、家の押入れにこの子がいるのを発見した。
ボロボロのお人形さん。だけどすごく綺麗で。
私の中での、初恋だった。
それからというものの両親にバレないようにこの子といっぱい遊んだ。
遊べば遊ぶほど、この子が動いたら……人間だったらどれだけ素敵なことだろうって。
そんな気持ちがだんだん強くなって。
幸い、家は機械専門の家系だったから知識はそれなりあった。
そして、この子の体を改造したりした。
だけど勿論駄目だった。機械と人体は全くもって別物だものね。
そんなある時、お父さんの部屋にあった本を読んでいたの。
そこには目を疑う様な、でもこれが本当だったらどれだけ素敵なことだろうって。
はいてー「まさか。刹那………………」
刹那「私はこの選択を後悔していない。」
くっか「はっ。禁術を使ってその人形兵器に魂を受肉させたってことか。とんでもねえお嬢さんだ。
絆魂の命術は乙式の力だぞ?ただでさえ、乙式術者でも体が吹き飛ぶかもしれねえのに、魔法使いがやるとはなぁ。」
この術を発動すればこの子に命が宿るかも知れない。
私はこの術の恐ろしさなんてちっとも気に留めず、
沢山調べた、沢山勉強した。
そして、
術を発動したの。
人形兵器「ココハ………セイタイニンショウフノウ……コード……こーどヲニュウリョクシテクダサイ……あれ……ことバがしゃべレル。」
刹那「すごい…本当に、本当に、」
機械が動く音が聞こえる。成功したんだ。
私は命が宿った人形兵器に触れようとした。
早く触れたい。早くお話がしたい。
だけど。
刹那「あ、れ???」
いつもと、感覚が違う。早くこの子に触れたい。触れたい。
だけど、分からない。なんで?どこに居るの?
ポポ「まさか…………。」
刹那は当時の話をしながら、そっといつもかけている、ぐるぐる眼鏡を外し始めた。
一同は驚愕した。
刹那「私は、あの禁術の反動で眼がない、見えないの。」
続く。
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