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9 違っていい。違うからいい。

「みんなちがって、みんないい。」

金子みすゞの詩「私と小鳥と鈴と」の一節だ。
国語の授業で取り上げられていた記憶があるから、私と同じ世代くらいの人はよく知っているフレーズかもしれない。
私もよく使ってきたフレーズではあるのだが、なんとなく自分に都合よく使ってきたような気がしている。
というのも、“違い”というものに最近がっつりぶち当たったからだ(良い意味で)。

ゴールデンウィークに主演として立つ舞台「オリニフレテ。」は2バージョンあって、W主演だ。
もうひとりの主演は、インプロカンパニーPlatformの劇団員である植野龍二こと、うえぽん。
で、私とうえぽん。
この二人、マジで全然違うのである。

一昨年の12月に出演したPlatformの舞台「正義のみかた。−作戦決行!!ふたまるまる−」は、これも2バージョンあり、私とうえぽんはそれぞれ同じポジションの役を演じた。
ヒーローのお話で、即興で進んでいき、時には仲間割れしたり、悪役と仲良くなったりしつつ、一体主人公は敵味方どちらにつくの?どちらが勝つの?最後に主人公が選びとる正義とは!?という作品だった。(ざっくりまとめ)

私とうえぽんは、毎回お話のまとめと次回予告をしに出てくる役割、そして主人公を支える役割を持った、おねえさん・おにいさんの役だった。

黄色いりんごver.
主人公・黄太郎とおねえさん
赤いはっさくver.
主人公・こーことおにいさん

主人公がそれぞれ男女で違ったし、キャラクターも違っていたのもあるだろうが、まー全然違う存在になった。

で、もちろん別バージョンがどうやってやっているのか気になるから稽古や本番を観るわけだが…
「へー、そこをピックアップするのね」
「そういう言い回しをチョイスするんだなぁ」
「こいつやりやがった!!(カツラ回)」
と、私は思った。私の発想ではそれは出てこない、私ならそれはやらないという選択がほとんどだった。
多分、うえぽんも少なからずそう思っていたんじゃないかなと思う。(直接聞いてないけど)
だから、なんとなく私は彼とは相容れない、噛み合わないだろうなぁと思っていた。こうやって違う世界線に存在しているくらいがちょうどいいんだろうと。

それで、今回だ。
私とうえぽんは、殺害したのかされたのか、という非常に近しい役で組むことになった。
私は正直言うとちょっぴり心配だった。違いすぎて噛み合わない気がしていたから。

だから、稽古初日に、あえて思い切ってうえぽんに聞いてみた。

「私たちさ、考え方ってか価値観が全然違うよね?」

うえぽんもそう思っていたらしい。
そうして、色々話していく中で「その噛み合わない部分が活かせるかもね」ということになった。
殺すっていうのはつまり、何かが噛み合わなかったからなんじゃないか?と。そうでないケースも勿論あるだろうけれど。
というか、そもそもまったく同じ人間なんて存在しないんだから、違っていて当たり前なんだよね。見た目も、性格も、できることも、何もかも。その違いから綻びが生まれたり、違いを補いあうことで上手く関係が成り立ったりすることもある。
思い切って話してみてよかったと思った。

また別の日に、その日稽古に来ていたみんなでじっくり話をする機会があった。
今回は作品の題材が題材なので、非常に物騒なテーマではあったのだけれど、これが千差万別で面白い。
十人十色とは言うけれど、私は微細なグラデーションがあるなぁと感じた。似ている色はあっても、まったく同じ色は一つとしてない。
みんなの話を聞いているだけで、非常に興味深かった。
その興味深さは「役者という変わり者が集まっているから」という単純な理由だけではないと思う。きっとどんな人でもじっくり話を聞いたら面白いのだ。なかなか深いテーマで話す機会がないだけで。話したくない人もいるだろうしね。

今まで私は「みんなちがって、みんないい。」という言葉を「それぞれ違うんだから勝手にやってこうぜ」みたいな意味で使っていた気がする。文章にすると冷たいというか感じ悪いけれど。
でも、本当はそうじゃなくて。
「違いを認めて活かして、一緒にやっていこうよ」って言葉なんじゃないかと思った。
そうして噛み合わないことにすらOKを出していけたなら、もっと違う景色が見える気がするんだ。

そして、人と違うということに負い目を感じる節があることにも気づいた。
でも、違うのは悪いことじゃなくて、面白がっていいことなんだって。
違うものが混ざるから生まれるものがたくさんある。演劇だってまさにそうだ。
同じものばっかり揃えたって、面白くないもの。

だから、違っていい。違うからいい。
みんなの持つもの、それぞれ全開でいこう。
もちろん、私も。

というわけで宣伝でーす!


即興8割・台本2割のコンセプトインプロでえがく監獄を舞台にした物語で、主人公の新入り受刑者・ナマヌマ(生沼スズ)という役を演じます。
名前以外のすべての記憶を失っており、自分がなぜ投獄されたのかがわからないまま個性的な囚人たちと生活することになる…という役。

稽古で段取り部分がつきまして、も〜わくわくしてます!
めちゃくちゃインプロします!ヒョエー!!

インプロカンパニーPlatform
第23回公演「オリニフレテ。」

🦋あらすじ🦋

無自覚の罪で投獄された主人公は
奇妙な刑務所「ロフトランプ」で
個性的な囚人たちと共に生活することになる。
ある日、刑務所の地下に迷い込んだ主人公は
2人の男に仲間達の過去を聞かされる。

男を殺した女たち
女を殺した男たち
罰と赦しは表裏一体

世界にひとつ、観客と「おり」成す即興物語。


🦋公演日程🦋

2023年5月3日(水)〜5月7日(日)

5/3(水)  15時半♀+序章/19時半♂
5/4(木)  12時♀/15時半♂/19時半♀
5/5(金) 15時半♂/19時半♀
5/6(土) 12時♂/15時半♀/19時半♂
5/7(日) 12時♀/15時半♂+終章

♀女囚編(女性が囚人・男性が被害者)
♂男囚編(男性が囚人・女性が被害者)
※出演者は同じです

🌟上演時間は【90分程度】を予定。

🌟初回には序章、千穐楽には終章と本編に加えて15分程度の特別編が上演されます。

🌟村田結香がメインの回は『♀女囚編』ですが、♂男囚編にも出演があるので、どちらも観るとより楽しめます。


🦋劇場🦋
川崎H &Bシアター

〒210-0013
神奈川県川崎市川崎区新川通り11-17
サンシャイン新川3F

徒歩:JR・京浜急行【川崎駅】東口より15分
バス:【川崎駅前】→【貝塚】下車徒歩1分


🦋出演者🦋

村田結香 
植野龍二(Platform)

住吉美紅 
早さきえこ 
戸草内淳基 
斉藤らいふ 
石戸貞義(以上、Platform)

青木紫水 
池田一開(劇団だるま座)
伊藤綾佳(ファンタスティック学園)
小暮美幸 
椎木樹人(万能グローブガラパゴスダイナモス)
残間統 
橋詰龍(無情報)

日替わりゲスト
5/3(水)雅憐(はぶ談戯)
5/4(木)渡辺りえ
5/5(金)かわもとゆうき(劇団宇宙キャンパス)
5/6(土)稲垣杏橘(座・シトラス)
5/7(日)立夏(獣の仕業)

女囚編 登場人物
男囚編 登場人物


🦋チケット🦋

前売り4000円
当日4500円
はじめて割3500円(Platformの公演を初めて生で観る方が対象)
学生無料(要学生証。枚数制限あり)

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🦋クラファン🦋

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