このマガジンについて

このマガジンは、2020年2月22日〜24日に、福岡きびる舞台芸術祭「キビるフェス」のプログラムとして上演予定の、下記の作品の制作プロセスについて、ドラマトゥルクの長津の視点からときどき綴っているものです。

村川拓也(京都)『Pamilya(パミリヤ)』
演出:村川拓也
ドラマトゥルク:長津結一郎
出  演:ジェッサ・ジョイ・アルセナス
公演日時:2020年2月22日(土)19:00
     2020年2月23日(日) 19:00
     2020年2月24日(月祝) 14:00
会  場:パピオビールーム大練習室

作品紹介文はこちら。

介護の現場を舞台に
そこに現れる、もうひとつの「家族」


ある「現実」を手がかりに舞台作品を立ち上げる、京都を拠点に活動する演出家、村川拓也。今回の作品制作にあたり村川は、福岡で介護福祉に関わる30名へのリサーチを行った。そこで出会ったのが、ある特別養護老人ホームで介護士として働く、フィリピンから来た外国からの介護福祉士候補生だった。
介護福祉施設の日常には、言語を通じた親密なやりとりと、身体同士の接触が入り混じる。その空間に目を凝らすことで、普段は気に留めることのない、しかしいまこの瞬間もどこかで毎日続いているかもしれないコミュニケーションに気づく。
今回の作品では、その介護士である女性が実際に出演し、彼女が働く福祉施設の日常が淡々と舞台上で再現される。その時間感覚に直面することで観客は、自分に近しい身内の人々や、もしかしたらあり得るかもしれない自らの姿に思いをめぐらせるだろう。
「Pamilya(パミリヤ)」はタガログ語で「家族」を意味する。フィリピンでは介護は家族が担うものという価値観があるが、そのスタンスは日本の状況とどのような差異を生み出すのか。
異なる年代、経験、国、言語――家族とも友人とも異なる「ケアをする/される」関係。フィリピンからやって来た介護士と、介護を受ける日本人の間で、もうひとつの「家族」の物語が始まる。

作品のチケットなど詳細情報はキビるフェスの公式サイトで。


*このリサーチは、令和元年度福岡県文化プログラム推進費補助金事業「演劇公演のアーカイブ構築とアクセシビリティの向上:障がい者・高齢者福祉や外国人労働者を題材とする作品創作プロセスを題材に」の一環で、九州大学大学院芸術工学研究院長津研究室によって行われています。

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